理由を知りたい年頃なんです…
「教えてほしい事があるんですけど。」
シスターさんに恋…じゃなかった、助けてもらってから今、私は王宮騎士団の控え室に居る。
「教えてほしいって何を?」
何って…
ここは何処なのかとか。
なんで私がここに居るのかとか。
騎士団って何なのかとか。
私はこれからどうなっちゃうのかとか。
……とりあえず場所だ、場所を聞こう!
「…あの、シスターさんの事は何と呼べばいいんですか?」
ちげぇえええ!
なんで?口から勝手に言葉が出たよ!シスターさんびっくりしてるよ!これが美人さんパワーですか!?凄いですね!
違う違う。とりあえず場所を聞き直そう。
「あの…」
「そうだね、アルトでいいよ」
答えてくれました…
「アルトさんですね、素敵な名前です。」
「そうかな、ありがとう。」
「えぇ、とても可愛いくて素敵ですよ。」
アルトさんは、ちょと嬉しそうにした、その後少し考え込んでいました。
はぅうう…考え込んでいる姿もなんだかとても綺麗です。
……違う違う違う!!
私の聞こうと思っていた事が聞けてない!ここは何処なんだよ!よし聞こう!
「あ、あの…」
「私からも一つ聞いていいかな?」
「え、あっ、はい…」
逆に聞かれてしまいました…私、誰にも聞けない呪いでもかかっているんじゃないのか?
「君は本当に精霊様なのかな?」
それですか、あの変人集団が言ってたが……だから精霊様って何!私が聞きたいよ!よし!聞いてやる!
「そもそも、精霊様って何なんですか?」
「…やっぱり君は精霊信仰じゃないんだね。」
「精霊信仰?」
信仰ってあの神を崇めるやつ?
すみません、私もう神様信じてないんです。(あの変態神にはもう永遠に会いたくねぇ……)
あぁ、でも精霊様なら信仰するのもいいかもなぁ…変態じゃなければ。
※
その後アルトさん話を聞いてわかった、精霊信仰って言うのは、『この世界は大精霊様とその娘とされている精霊様が創られた』、と言う聖書を下にしている信仰でだそうで、この国のほぼ全てがこの精霊様信仰なんだそうです。そして…ここはやっぱり私のいた場所では無いらしい。
この世界の名前は、『ユージア』
また、私の居るこの国の名前はこの世界では最も大きな国…『王都アリアナ』
※
「そして私はどうしてここに居るんでしょう?」
なんとか話しも進んだな。私がここに来るまでの事を大まかに話す事が出来た、流石にあの変態神の事は…話しませんでした。あいつの事は考えたくも無いからな!
「いや、それは私が聞きたいんだけどね……君の話では落ちた所までは覚えてるんだっけ?」
「はい。あっ、そう言えばあの、変人…じゃなかった、黒ずくめの人達はなんだったんですか?」
確か、あいつら私を捕まえたって言ってたよな…もしかして!全ての原因はあいつらか!?だったらもっと指曲げてやればよかった!惜しい事をした……
「あいつらは精霊様召喚の儀式をした大罪者だよ、その為に私はあの場所にいたんだ。」
「精霊様召喚の儀式?」
「『精霊様に出会うと願いが叶えてくれてる』と言う伝説があってね、それをあいつらは儀式と言う形で必然的に起こそうとしたんだ。」
だから私が精霊様だと思われたんだ、すっごい迷惑だけどね!
「儀式自体は紛い物みたいな物で、過去に一度も成功した事が無いんだ。君以外はね」
そーですね!
そんな物の初登場が私って…魅力不足ですいません。
「あれ?だったら何で大罪になるんですか?」
失敗するような事に重い罪はいらない。
「儀式をするだけならばそんなの子供の遊びみたいな物なんだけどね、過激派なんかになると生け贄だとか言って大勢の人を殺めてしまうんだ。」
……えっ、じゃあ私の時の儀式も…
血の気が引いたのがすっごいよくわかった。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
せ、精神を安定させないと……あっ、紅茶あるんですか…はい下さい。…ありがとうございます。(ごきゅごきゅ)
…落ち着けるかぁ!!
アルトさんはそれに気づいたようで…
「安心して君の儀式に人の犠牲者は出ていないよ」
…人の?
「君の時は12匹の動物の心臓だけどね。」
「心臓…」
気絶しかけましたよ今!そんな 怖い事をサラッと言わないで下さい!ナーバスになっちゃうよ私!!
「調べてもらった結果によると、結局その儀式も失敗するような物だったそうだよ」
「じゃ、じゃあ何で私はここに来たんでしょうか?」
「話しによると、あの儀式は空にある物を捕まえる位しか出来なかったと、言っていたから多分それが逆に君を連れて来ちゃたのかも。」
じゃあ、なにか、あの変人集団は全ての原因なんかじゃなくて、むしろ死ぬ筈だった私を助けてくれたのか?
…変人集団なんて言ってごめんなさい…
何て言うかぁ!!そうだとしても変人は変人だぁ!!
そしてもう一つ…
さっきアルトさんが心臓って言ったタイミングがすっごいジャストだったんですけど…
わざとじゃないですよね?
「ところで、さっきから紅茶こぼれてるよ?」
「にゃああ!!」
「大丈夫だった?」
「…いつからですか?」
「ん?ちょっと前かな?」
そう言ってアルトさんはとってもいい笑顔をしてくれました。
……やっぱりわざとですよね!!
くぅ、綺麗なお顔でそんな笑顔を振りまかないで下さい!
なんか今日、人生でもっと疲れた日かもしれない…。うぅ…