癒やしの時間は夕日へと消え去った。
「さて、どうしたものか……」
私はフローリア家の書斎……いやここはもう図書室レベルだな。とにかく広い広い書斎にいる。
日が沈み始めている時間だ。窓から入る日の光は赤く、本棚に並べられた本からは微かに紙とインクの香りがする。本が好きな私には心地いい時間……
「やぁ、リリア!何?なんか読むの?」
ならよかったんだけどなぁ~……
「ミキ……仕事に連れ戻されたんじゃなかったの?」
「その仕事が全部終わったけどフレアに会わせて貰えないからここでリリアを待ってたんじゃん。」
待ち構えてたの間違いな気がするんだけど。
フレアさんの話しを聞いた後、結局私は気まずくなってしまったのでフレアさんとは別れ、直ぐに部屋に戻る気にもなれずここにいるんだが……
よく私がここに来る事が分かったね。ミキはエスパーなのかな?予知能力でもあるのかな?それとも透視?ミキならそれを使って良からぬ事でもしてそうだけど。主にフレアさんの事で。
「えっ?何その不審者を見るような目?」
「気のせいだよ。」
「えー……」
「それより、ミキ。」
私は本棚から適等に本を選ぶとその本に目を通しながらミキに聞く、勿論ミキとフレアさんの事についてだ。
「ミキはさ、何でずっとフレアさんの事が好きなの?」
「えっ?何?恋バナ?」
「さて帰るか。」
「すいません、ふざけすぎました。帰らないで下さい。」
こういう所がまたエルさんに似てるんだよなぁ。
そんな事を思いながらなかなか読み進められない本に目を通し続ける。
「まぁ、そりゃあフレアの全部が好きだからだけど?」
「………違うよミキ。」
予想通りの答えに私の本当の質問の意味を伝える。
「何で“ずっと”好きでいられるのかを聞いてるんだよ。」
「……」
「私には好きな人とかいなかったからさ、よく分からないけど、でもずっと好きでいるっていうことが凄く辛い事だっていうのは流石に分かるんだよ。」
一方的な思い。それはどの位不安になる物なんだろう。
しかもその好きな人に拒否され続けているのならなおさら。
「私には分かんないよ。」
それでもなお、思いを伝える続けられる事が。
「リリア?それ本気で言ってんの?」
「えっ?」
目を通していた本から視線を外しミキの方を見る、夕日の光に当たり紫がかった銀髪が赤く輝いている。
ミキは、真剣な顔で私を見てた。
「本当にリリアは恋を知らないんだね。」
「なっ!どういう……」
「恋を辛い物だとしか感じてない。」
「……っ!」
そんな事は……
「無いなんて言える?」
「……そりゃあ、幸せな事もたくさんあるんだろうけど、でも私には…やっぱり分かんないよ。」
私は知らない、恋も恋愛も愛も。
私には知らないそれらは辛い所しか見えない。自分が思っていても相手が思ってくれているのか不安になって、悩んで、辛くてそして……そうしか見えないから。
「リリアはさ、いつか分かると思うよ。」
「なにそれ。」
「相手がちょっと笑ってくれただけで嬉しくなったり。自分に教えてくれる事全てがあったかくなれる事をだよ。」
「あったかく……か。」
どうやったら分かるかな?今は辛くしか見えない恋がいつかは嬉しくなったりあったかくなったり出来る、そう思えるようになるまで私はどれくらいかかるんだろう。
「意外と直ぐに分かるかもしれないよ。」
「うーん……」
「例えばリリアの近くの人とか!」
「うぅ~ん??」
「(……わぁ、まさかかすりもしてないなんて、可哀相ー。)」
分かりそうで分からない。そんなモヤモヤする感情を私はまだ何なのか分からない。
「あぁっもう!」
私は書斎から出るとちょっと速い足で廊下を歩いていく。
そんな私の後ろからミキがびっくりしながら追ってきた。
「なに?どこ行くの!」
「悩んでも仕方ないからもう一回フレアさんに話してくる!」
「えっ!?話すって何を……」
と、ミキが言い終わる前にミキは服の首筋の所をガシッと捕まえられ……
はい、サリアさん再登場ですね。お疲れさまです!ミキはああ言ってたけど、まぁ仕事は終わってなかったのだろう。怒ったサリアさんからの仕事が数分で終わるはずがないからね!
「もう!ミキ、あなたは真面目にやればバカみたいに早いんですから、真面目やりなさい!」
「メイド長様!ちょっと今は!」
「ミキ!後でねー!」
「えぇっ!?」
サリアさんに捕まったミキにそう伝えると私はまたフレアさんの所目指して歩いて…いや、もう走っていた。
「客間……にはもういないか!じゃあフレアさんの部屋か?」
私は走る、ミキの思いが本当に伝わってないのかを確かめる為に。
「フレアさん!」
「ひゃぁあ!」
バンっ!と、開かれた扉の向こうには本を閉じようとしていたフレアさんがびっくりして本を落としてしまっていた。
「リ、リリア様!?」
やっと見つけたフレアさんに心なしか少し安心し、私はフレアさんの落としてしまった本を拾いながら話した。
「あの、フレアさん。ちょっと話しが……」
「あっ!リリア様それは!」
フレアさんが止める数秒前、私は本を拾う。大きく開かれた本は拾おうとする私の目にその中身を映し出した。
そう、その中にある思い出と思いを……
※
「作る!絶対に僕が作る!」
「ミキ君が……?」
「魔法……魔術師になるんだから!それくらい出来ない訳無い!!」
「じゃあ……約束…して?」
「約束だ!絶対に守る!」
「うん、待ってる。」
……ここは何だろうか。
何処だろうとは言いません。だってここ私のよく知っている場所だもん。フローリア家の庭にある森の中だもん。
だから敢えて言おう。ここは何だろう?
「ところでミキ君、どうやって帰るの?」
「……あっち?」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫!」
……質問内容を2つほど増やして聞き直します。
ここは何だろうか。
ここは何時だろうか。
そしてこの子達はフレアさんとミキなのだろうか。
走馬灯かコレは、私に何らかの危機が起きたがら私は走馬灯を見てるのか?
いやいや、どう考えてもコレ私の走馬灯じゃありませんね。私の過去にフレアさんとミキは出て来ませんからね!
「じゃあ帰ろ!」
「……うん。」
小さいフレアさん(?)と小さいミキ(?)、二人はそう言うとミキがフレアさんの手を引っ張るようにしてこちらに向かってきた。
……えっ?ちょっと待って。まさか私気ずかれてない?二人共ずんずんと向かってくるんですけど。ぶつかるよ!?ぶつかっちゃうよ!
……結果から言うと、私は二人にはぶつからなかった。
それは私が避けたからでも、二人が避けたからでもなかった。
………。
……うん、私どうにかしてるな。無い無い、そんな事あるわけ無い。そんな……
私の体を二人が通り抜ける事なんて。
無ですよねぇえええええええ!!!?
Let's ファンタジー☆




