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ただいま・おはよう・こわいです

「きゃぁああああ!!」

「……あの、フレアさん…ちょっと落ち着いて下さい。」

「だって、リリア様その包帯……」

「たいした怪我じゃないそうですから大丈夫ですよ。」


だから落ち着いて下さい。頭にちょっと包帯巻いて帰って来ただけで悲鳴を上げなくても。

すると悲鳴を聞いてテナさんもやってきた。そりゃあ、あれだけ大きな悲鳴上げたらやってきますよね。


「テナさん、すみません帰るのが遅くなって。ちょっと色々あったので……」

「きゃぁああああ!!リリアちゃんのかぁわいい髪に白い包帯が!」

「えぇえ!テナさんもですか!?」

「激カワ!!」

「テナさん!?」


そっちの意味の悲鳴だったの!激カワってどう言う意味ですか!?隣りでフレアさんは青ざめてるのにテナさんは大興奮、アルトさんはテナさんを落ち着かせているけど…って!ルウちゃんまでやってきちゃったよ!?……


「きゃぁああああ!!リリアお姉ちゃんが包帯と黒髪と白と可愛さと大怪我がぁ!!」


もう、何なんですかこの状況。



     ※



「―――ょぅ……。」

「うぅ……何ですか?」


まだ眠いです。昨日は結局バタバタしてなかなか眠れなかったんですよ。フレアさんは必死に看病しようとするし、怪我に気ずいたテナさんも大慌てだったし……とにかく眠いです、寝たいです。


「ぉ――ょ―……。」

「むー……」


起きなきゃ駄目ですか?もう少し寝たいですが、そんなワガママ言ってられないですし……仕方ない、起きますか。


「おっはよーございまーす!」

「……はっ?」


だれ?


「いっやー、なかなか起きないから大丈夫かなぁ?って思ったけど起きてくれて良かった。」

「あの……えっと……」


どちら様ですか?


「ところで君は鈍感なのかな、はたまた鈍いだけ?」

「な!どう言う意味ですか!」


あと鈍感と鈍いは同じ意味ですからね。一体私のどこが鈍いって言うんですか!


「いやさぁ、普通の女の子はここで悲鳴上げてるとおもうんだ。」

「……悲鳴?」

「朝起きて男の子に馬乗りされてたらびっくりして…ぐはっぁあ!」


「はぁあ、はぁあ」


今気ずいたよぉおお!!私馬乗りされてたよ!真上しか見てなかったから気ずかなかったけどさ、この男の子、私の顔の横に手を置いて身体をまたがってますよ!なんですか!何なんですか!


「ぐぅっ……まさか悲鳴じゃなくて蹴りがとんでくるなんて……」


ええ蹴りましたとも、蹴らせていただきました!盛大に蹴っちゃいましたよ!仕方ないじゃないか身の危険だったんだから!!はぁあ…最近こればっかし……


「むぅ、リリアお姉ちゃん?おはようございます。」

「あ、うん。おはようルウちゃん……ルウちゃん!?」


いつの間に私のベッドに入ってたの!ま、まさか今の見た…?


「にゅー?ミキ君?」

「ルウちゃん様……お、おはようございます……」

「ミキ君だぁ!久しぶり!」


すると、ルウちゃんはベッドから降りてミキ君と言う男の子の所に近ずいて話しかけた。

そしてミキ君はフラフラと私に蹴られた所を押さえて立ち上がった。て言うか、ルウちゃん様?言葉おかしくないですか?


「おっはよー!フレアはぁ?」

「ん、フレアはそこにいるよ。」


そしてミキ君は私のいるベッドの方を指差した、よく見るとベッドの隣りにある椅子にはメイド服を着てボサボサの髪を一つで結んでぐったりと寝てしまっているフレアさんがいた。

昨日私が寝るまでバタバタ!きゃあ、きゃあ!と騒いでフレアさんはずっと私の看病をしてくれてたからなぁ……寝ちゃったんですね。どうしよう、起こすべきか寝かせておくべきか。

私が迷っていると、『ぱぁああ』と明るくなったミキ君がテナさんの目の前に来て大きな声で挨拶をした。


「おっはよーございまーす!」

「ひゃぁあう!?」ガッタン!


あっ、落ちた。


「おっはよーフレア。」

「……お、おはよう…ミキ君…」


あれ?フレアさん顔ひきつってません?しかもだんだん後ろにズリズリと後ずさりしてませんか?

フレアさんが後ずさりをする、ミキ君が追いかける…ets……。


「コレどう言う状況?」

「これからまた面白くなるよ。」


フレアさんはミキ君を見ないように顔を背けて部屋の中をグルグルと逃げている。

ミキ君は14…15歳?って言うか私と同じ位か?銀髪にうっすらと紫がかった髪で目も同じ紫色。一言で言えば美少年。何となく雰囲気がエルさんに似てます、特に言動が。


「ミ、ミキ君……何でいるのかな…?」

「フレアに会いたくなったから。」


はっ?あれ?今サラッとおかしな発言が……


「何でかな?……」

「好きだから!」


「はぁあ……」

「って、えぇえええ!?」

「わーコレ久しぶりだねぇ。」


全員の反応がバラバラ過ぎる!

なんで驚かないの!?今この人告白しましたよね!普通にさも当然のように告白しましたよね!!


ちなみに。

「はぁあ……」と溜め息をついたのがフレアさん。

「って、えぇえええ!?」と驚いたのが私。

「わーコレ久しぶりだねぇ。」と明るく微笑んだのがルウちゃん。


そしてフレアさんの反応は……


「嫌です!」

「即答!?」

「好きです!」

「嫌です!」

「好きです!」

「嫌です!」


……いつまで続くんだろうコレ。


「コレ……いつもの事なの?」

「うん、そうだよ。」


いつもの事なんだ。そしてこのやり取りはそのまま20分程続いた。


「あー…、今日は暑くなりそうだなぁ……」



     ※



あの告白&拒否の無限ループは、異変に気ずいたアルトさんが部屋を訪れて、グルグルと歩き回ってフレアさんを追いかけているミキ君を見た瞬間真っ黒なオーラを出してミキ君をズルズルと拉致したことにより終わった。


「結局何だったんですか?」

「さてリリア様、着替えの準備を致しましょう。」

「……はい」


無視ですか、よほど触れてほしくないんですね。

そして私は鏡の前に座る。この前、着替えぐらい一人で出来ますとフレアさんに言うと「奥様からよろしくね。と笑顔で言われましたので、お手伝いしないわけにはいきません。」と肩をブルブルさせて言っていた。テナさん……一体どんな言い方をしたんですか。


「あら、リリア様。今日はその髪型なのですか?」

「いえ、出来れば今すぐサイドテールにしたいんですけどね。」

「ならサイドテールと言う髪型にいたしましょうか?あれだけ、あの髪型にこだわってらっしゃったのに。」

「えっと、じゃあいつもと逆に結びます。」

「はい?」


昨日。無理やりエルさんにサイドテールをほどかされ、めちゃくちゃ恥ずかしい中なんとか治療が終わった後アルトさんが……


「傷があるからしばらく髪をあげては駄目だからな。」

「それは無理です。」

「わぁあ、すっごい勢いで拒否した。」

「……何故だ?」

「私はサイドテールじゃないと外を歩けません。」

「傷が治るまで外には出さないから安心しろ。」

「…………………………えっ?」

「うん!リリアちゃんって意外と危なっかしいからいいんじゃない。」

「決定だな」

「にゃぁああああああああ!!」



……と言う事があった。でもほら!傷は右上にあるから右じゃなくて左に縛れば問題ないよね!本当は右のほうがいいけど背に腹は代えられない。


「フレアさん、左側で縛るので私の髪ゴムとってください。」

「えっと……リリア様、それはやめておいた方がよろしいかと……」

「ん?何で?」

「あのぉ……鏡……」


なんだかよくわからないけど、私はフレアさんに言われたとおり前にある鏡を見た。私とフレアさんが映っている、しかし、そのフレアさんのさらに後ろにさっき出したオーラをいまだに出し続けてニッコリと笑っているアルトさんがいた。


「あー…」

「リ・リ・ア?」

「フレアさん、今日はこのままで良いです。いえ、むしろこのままにしておいて下さい!」

「はい、分かりました。アルト様、リリア様のお着替えを致しますので外でお待ち下さい。」

「分かった。」


私は今日、朝起きたら馬乗りされていた事より、フレアさんとミキ君が告白の無限ループをしていた事より恐ろしい思いをした気がする。


昨日の犯人より確実に怖い。



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