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大誤解のその後は…

薄暗い天井。窓から吹く暖かい風。舞い上がる資料。そして……


私の体の上に倒れている謎の物体。


思考停止中。


「……いやいや、落ち着け私、大丈夫だそんな最悪の想像は現実では起こっていないはず……」


ですよね?……怖くて目が開けられないんですけど。大丈夫、大丈夫さっき呟いたように、私が想像している最悪の事態は起きないって、私の上に乗っているのは倒れてきた本の山だ。

ゆっくりと目を開ける。


目の前にあるのは、アルトさんの顔……


バァアッン!!





「……………あっ」


あれ、まさか私……

薄暗い天井。窓から吹く温かい風。舞い上がる資料。先ほどとほとんど変わらないこの部屋。


私が分厚い本を手に持って、アルトさんの前で仁王立ちしている事以外は。


……もしかして私、やっちゃった?


「……ヤバい」


すっごくヤバい、ものすんごくヤバい。だって、目の前にアルトさんのキレイな顔があったからついその辺にあった本でバッァン!!って……確かに昨日の朝に似たような事はあったけどさ!その時とは距離が違ったもん!不可抗力ですよ不可抗力!!

元の世界で危険を感じたら攻撃する習慣がこんな事になるなんて思ってもいなかった……


「とにかく、なんとかしなきゃ…」


こんな状況が誰かに知られたら私生きていけない。なんとかしてアルトさんを……


「うぅ…あれ?」


――エルさん?まさか起きて……


「なんで俺達こんな所に……」


バッァン!!




「はぁあ、はぁあ…………あっ」


またやっちゃったぁああああ!!

エルさんをも口封じのためにやってしまうだなんて。駄目だ、罪に罪を重ねてしまったぁあ!なんでこんな事にぃい!


でも、さっきのエルさんの台詞からするとエルさん達はなにが起こったのかはっきりとわかっていない、つまり今ならまだ間に合う!

あぁ……私の思考がどんどん犯罪者化している気がする。



さて……この状況で私が出した解決方法それは、『無かったことにする事』つまり、

さっきみたいなハプニングは無かった。

アルトさん達が訳の分からない台詞を言いながら突っ込んできたことも無かった!

そもそも、私が一人でこの部屋を掃除さえもしていなかった!!


と、言う事にしよう!うん、この資料室を三人で片ずけて疲れて寝てしまった事にしておこう!!

そうと決まれば早速……


偽装作戦タイム中。



     ※




「うぅ……」

「……あれ?」

「あぁ、アルトさん達起きたんですか?」

「頭がガンガンする……」

「あら、大丈夫ですか、風邪でしょうかね?」


「……なんか違う気がする……なんでだろう?あれ、リリアちゃん……」

「何ですか?」

「なんで俺達はこんな所で寝てたのかな?」


……エルさん、早速核心を突きますか。落ち着け私、冷静に冷静に…


「フタリトモツカレテネチャッタンデスヨ」


我ながら、嘘をつくのが下手すぎると思う。今のすっげぇ棒読みだったのが自分で分かっちゃうし、嘘つくような場面に会ったことないからなぁ(話す相手がいなかったからなんだけど)……


「そうか、寝てしまっていたのか俺達は……」

「なんか、記憶が曖昧なんだよなぁ。」

「……それは大変ですね。」


こんな事言っちゃあいけないとは思いますが、でもいいます。

まさかあんな嘘に騙されてくれるだなんて……まぁ、騙されてくれないと困るのは私なんだが。いや、本当に色々とごめんなさい。


「ここ、こんなに広かったんだな。」

「床を見るの何年ぶりだっけなぁアルト。」

「……そんなに長い間放置されていたんですかここ。」


到底真似出来ないレベルですよそれ……


「リリアが片ずけてくれたんだよな。」

「あれ?そうだったけ?」

「そうだが、違ったか?」


「えっ……あぁ、はい」

「……スッゴく曖昧なんだが……何かおかしかったか?」

「いえ……別に」


まさかアルトさんがそこは覚えていたなんて……


「リリア」

「はい?」


「ありがとう」




にゃあああああ!アルトさん、そんな無邪気に感謝しないで下さい!私……さっきアルトさん達をバッァン!!ってしちゃったばかりなんですから!罪悪感が!罪悪感がぁあああああ!!




その時の少女の心の叫びを聞いた者は一人としていなかった。



まぁ、心の叫びなので聞こえたら逆に怖いですけどね……

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