とある青年の戸惑い
「絶対入って来ちゃ駄目ですよ。」
バタンッ
「……」
三人で資料室の掃除をしていたのだが。リリアに閉め出されてしまった。
「何故だ?」
「俺達がスッゴい邪魔だったからじゃねーの?」
……そう言われると結構思い当たる節がある。俺達が資料を崩している間リリアは黙々と片ずけをし続けていたからな。
「まぁ追い出されちゃったもんは仕方ないか…」
「そうだな。と言う訳でエル、俺は一度仕事に戻るからお前はここにいろよ。」
「へっ?なんで俺だけここにいなきゃいけないのかな、アルト?」
「ただの嫌がらせだが、何か問題があったか?」
「おおありだ!アルトお前、本当にスッゴくいい性格してるよな。」
「じゃあよろしくな。」
「無視かよ!」
とりあえず、そんな会話をエルと軽く交わし、仕事に戻る事にした。仕事と言っても、昨日家でやっておいた書類などを軽くまとめておくだけなのだが……
戻って来たらエルとリリアにお茶でも届けよう。
※
前言撤回
さっきの台詞は無かった事にしておこう。
「……おい、エル。何をしているんだ?」
「あー…見てわかんない?」
「見ている光景を現実的と認めたくないから聞いているんだ。」
お前の今の状況は見ればわかる、見たくはなかったがな。
エルと別れてから数十分後、仕事も届け終わりさっきの台詞の通り紅茶でも持って行こうと戻ってくると……
ドアに耳を付けて中の様子を聞いていたエルがいた。つまりは『盗み聞き』をしていたのだ。
「エル……お前」
「いやいや、アルトちょっとお前も聞いてみろよ。」
「断る」
「いや、違うぞ。中からリリアちゃんの声が聞こえてきたから心配で聞いていたんだって……その剣をしまってくれないか?」
「だからってお前な……」
すると、扉の向こうからかすかにリリアの声が聞こえてきた。
『…って……んだけど……』
「……」
「な、何か聞こえるだろ?そんでもってすっげぇ気になるだろ?」
「まぁ……な」
結局、エルと二人で中の様子を聞いてみる事にした。不本意だが、リリアに「絶対入って来ちゃ駄目ですよ」と言われたからな、仕方ないな、仕方ない……よな?
しかし、リリアは一体何を言っているのだろう……
『ここの騎士団、こんなんで大丈夫なのかな?』
「……これは、どう言う事だ?」
「つまりは、この騎士団が駄目過ぎるから心配になっちゃったんじゃない?」
まぁ、あの資料室の片ずけをしていたらそう思うのも仕方ないのかもな。
『もう駄目かなぁ?』
「……これは、まずくないか」
「だ、大丈夫…かな?」
『あぁー!』
「?」
「?」
その声が聞こえた後、リリアがドアから離れたのかリリアの声が小さくなった。
『窓から落ちて……所に……』
「……かなりまずくないか?」
「うーん…まさかとは思うけど、リリアちゃん、なんか色々呆れてここにいるのが嫌になっちゃったのかも。」
つまりはこうか?
騎士団に来たらあんな資料室に嫌気がさす。
→『ここの騎士団、こんなんで大丈夫なのかな?』になる。
→『もうだめかなぁ?』と諦める。
→ドアから離れる。
→窓に向かって叫ぶ。
→『窓から落ちて……所に……』と言う。
「エル…最悪の単語が頭に浮かぶのだが……」
「いや、まだそうときまったわけじゃ……ないといいんだけど…」
『よし!行こう!』
「「あぁあああああ!!」」
気がついたらエルとおもいっきりドアを開けていた。中には窓から身を乗り出しているリリアが驚いた顔でこっちを見ていた。
「アルトさん、エルさん?」
「リリア……」
「リリアちゃん、はやまっちゃ駄目だって!」
「…………………………………はい?」
「そうだ、リリアが死ぬ事なんて無い!」
「あのぉおアルトさん?エルさん?」
今思えば、この時リリアは訳がわからないと言うような顔をしていた。しかし、俺達はそれに気がつかなかった。
「「飛び降り自殺なんて駄目だーーー!!」」
「何のことですかぁああああああ!?」
だからこの時の記憶が無いのかもしれない。
さて、ここで問題です。
アルトさんの頭に浮かんだ最悪の単語とはなんでしょう?(ヒント;『じ』から始まって、『つ』で終わる単語)
答えは本編の中ですよ。




