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とある青年の感情

「じゃあ、私はこれで……」


バタンッ



「いいのアルト、リリアちゃんに何も言わなくて?」

「……言えなかった」

「?」


まさかあんなに当てにされてないとわな……


「リリアにかける言葉がなかった。」

「まぁ……そうだろうねぇ、俺達は,何も知らないしわからないから。」


励ます?違う。きっとリリアはそんな空の言葉をうれしいとは思わないだろう。


「それに、あれは本当の孤独を知っているの目だったしね」

「目か……」

「なぁアルト、お前さ……」

「なんだ?」

「あー…いや、やっぱいいや」

「お前のその発言は怪しい過ぎるんだが」


真面目な話をしてる時にそんな怪しい発言をするな、話がズレる。お前がその手のセリフを言うと大体困るのは俺なんだよ。


「アルト」

「だから、なんだ」

「リリアちゃんの事なんとかする気なんでしょ?」

「当たり前だ」


このままでいいはずがない。異端者と言う扱いも、リリアの事も、なんとかするに決まってる。


「はは……やっぱアルトは面白いな」

「おい」

「悪い悪い、俺はもう帰るよ。お前に頼まれた事もあるし」

「そうか」

「あぁ……じゃあなアルト」


バタンッ



     ※



まったくアルトは……


「その感情にまだ気ずかないのか」


その独り言を言うとエルはその部屋の前から立ち去って行く。



     ※



リリアを一人にしたくない……か


「これはなかなか難しいのかもな。」



そうして俺は部屋を出た。先ほどリリアが母が呼んでいる言っていたのでそこに向かうためだ。すると向こうの方からメイド長がやって来た。


「メイド長?どうしたんだ?」

「アルト様、少々よろしいでしょうか?」

「構わないが、手短に頼む。」

「実はミキに手紙を書いて出そうとしましたら……」

「したら?」

「ミキから手紙が来ました。」


なんなんだあいつは、なんでこんなタイミングで手紙が出せるんだ、予知能力でもあるんじゃないのか?


「こちらがその手紙です……」

「あぁ……」


ちなみに、家に来る手紙は軽い内容だろうと判断された物は、まずメイド長が目を通し、俺達が読む必要があるならその手紙は俺達に届く。

この手紙もメイド長が一度読んだのか封が開けられていた。


読んでみた


「……」


ぐしゃ、


潰してしまった。しかし、これは仕方ないな。内容自体は予定より早くこっちに帰って来ると言うまさに予知能力的な内容なのだか、なんでこんなにイラつける手紙が書けるんだ。しかも、よりイラつけるタイミングで。


「メイド長」

「……はい」

「ミキが帰って来た時にうんと仕事を浴びせてやってくれ。」

「わかりました」


まぁ、自業自得だな。


「そう言えばメイド長、リリアを見なかったか?」

「リリア様でしたら先ほどお会いしましたよ、お風呂の方に行くと言っておりましたが。」

「……そうか、ありがとう。」

「いえ、それでは私はこれで。」


その場をあとにするメイド長にもう一度礼を言い、再び母の所へ向かった。


「さて、どうするか……」



     ※



母の部屋の扉を数回ノックし、母の返事を合図に部屋に入った。


「失礼します。」

「いらっしゃいアルト。今お茶を入れるから座って頂戴。」

「はい……」


言われたように母の前のソファーに座り母の入れた紅茶を手に取る。


「それでお母様、何の用件で俺は呼ばれたのでしょう?」

「あらアルト冷たいわね。用件が無いと呼んでは駄目?」

「なら、わざわざリリアに頼んで呼ばなくても。」

「そのリリアちゃんの事よ」


一瞬、カップを持った手が震えたのがわかった。


「そろそろ、説明してくれないかしら?」

「リリアを連れて来た理由をですか?」

「違うわ」


そう言って母は紅茶を一口飲み、ゆっくりと言った。


「全部よ」

「全部……ですか」

「本当はもう少し待つつもりだったのだけどね、でも止めたわ今話して頂戴」

「……わかりました」


だが、俺は嘘をついた。


リリアは、あの黒髪と黒目のせいで異端と扱われ精霊様召還の儀式の巻き沿いに会い行く所も無いと言うので引き取った。……と


「そう……」


その大嘘をただ黙って聞いていた母はカップを机に置き喋り出した


「アルト、私がリリアちゃんを引き取って来たと聞いた時に言った事を覚えているかしら?」

「リリアを引き取ったと聞いた時ですか?」


はっきり言ってあまり覚えていない。


「私はリリアちゃんを娘のように可愛がると言ったわ」

「言いましたね」


確かに言っていた、まだ会った事もない人を大事にすると言っていた母をいい母なのだろうと思った時だ。


「でも、会った今は少し違う感情を持っているの」

「リリアを『娘のようにではなく娘と同じように可愛がりたい』ですか?」

「あら、よくわかったわね。でも『娘と同じように』じゃないわ、同じ家に住む家族として、もうリリアちゃんは大事な娘よ。」

「……そうですか」


少し、母に嘘をついた事に罪悪感がある。おそらく母なら本当の事を話してもリリアを大切にしてくれるだろう。

だが、今はまだ早いな……


「アルト、リリアちゃんの事はそれで全部かしら?」

「えぇ」


「そう、今はそれで全部なのね。」ボソ……


主人公以外の語りのタイトルは、『とある…の…』で行きたいと思います。

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