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映像研究部

作者: オセロ

初めまして宮元です。


実は彼女ができました。


まぁそれだけなら喜ばしいことですが、普通の彼女じゃないし、ついでに映像研究部に入部させられて困ってます。


誰も聞いてくれない僕の悩み、どうか聞いてください・・・・・・・。





「凄い美人がいるんだってさ!!」


全ては悪友のこの言葉から始まった。


「マジで!?どこの部活?」


高校生になり三日目の朝、まだどこの部活にも入っていない俺に智樹が言った。


「映研!!」


自分の前に座って得意げに言う。


「映研?」


「そっ、映像研究部!隣のクラスのヤツに聞いたんだけど、そこの部長がメチャクチャ美人なんだってよ」


どうやら社交的な智樹は、もう他の組のヤツらとも仲がいいらしい。


「どうせ、ガセだろ」


「いや、それを教えてくれたヤツは結構な情報通でな多分ほんとだって!!」


随分、個性的な人とお友達で・・・・・・・。


「それより俺、サッカー部に入ろうかと思ってんだけど・・・・・。」


まだ、名前は書いてないサッカー部の入部届を見せる。


「とにかくだ!今日見に行こうぜ!!!」


智樹の暑苦しい熱意に負け、しかたなく放課後行くことに。


まぁ本当に美人だったらラッキーだし。入部届をズボンのポケットにしまった。




「ここだここだ映研!」


智樹に案内されて来たのは4階の一番すみにある開き教室。札には『映像研究部』と書かれてある。


「さぁーっているかな・・・・・・?」


エロ親父のようにドアを少しあけ中を覗き込む。


「アレ?」


そう言って少し開けたドアを開ききる。


「誰もいねーじゃん」


横から中を見ると、後ろに机や椅子ダンボールが無造作に積み上がっていて、前にはパソコンが2台あるだけで誰もいない。


「おかしいな、もう部活動の時間なのに・・・・・」


教室の時計を見ながら智樹は頭をかく。


「やっぱりガセ「あなたたち入部希望者?」


俺の声が、後ろからのカワイイ声にかき消される。智樹と同時に勢いよく振り向くと。


「ぎゃぁぁ!!?」


智樹が奇声を発して硬直した。


「映像研究部の部長だけど要件は何?」


声がカワイイのは認めよう。しかしだ、この容姿を見てどこがどう美人に見えたんだ・・・・・?


映研の部長と名のる女は、この寒いのに何故か体操着、しかも太りすぎのせいかピチピチだ。


頭はお団子でくくっててより顔の大きさが引き立って恐いし、何より目だけが大きいのは逆に不自然だ!!


ほんのちょっとでも期待してた自分が虚しくなった・・・・・・・・。


「黙ってないでなんか言いえ!!」


気が付けば智樹と一緒に硬直していた俺の足にメガトンキック!。見かけどうり、いいパワーをお持ちで・・・・・。


下からガンも飛ばされて、猛獣に襲われてる気分だ


「いえ、何でもないデス・・・・。すぐ返りマス・・・・。」


あまりの痛さに涙目になりながら、深々と頭を下げた。


「まぁまぁ、落ち着いて、入部希望者でしょ?」


俺を蹴ったのはどこのどいつだ!ってか入部希望者じゃないし!!


「いえ、けして僕は入部「希望者でしょ?」


恐ろしい肉の塊で俺の視界はシャットダウン。目の前には凶悪なゴリラ。


「僕は違います。」


なんとチキンの王様、智樹が口答えした!


「実はコイツがどうしても一人で行くのはヤダって言いまして、付き添いで来ただけなんですよ〜。」


なんて口からデマカセをお前が来たいって言ったんじゃねーか!!


「それに僕はサッカー部に入ろうと思ってて。」


そう言って取り出したのは俺の入部届、コイツいつの間に!!?


「まて、智「頑張れよ映像研究部員!!」


それだけ言って智樹は走り去っていった。


「裏切り者〜〜〜!!」


「今は外で撮影中だから速く来て。」


叫び倒れた俺を引きずってゴリラ部長は歩き出した。




連れて来られたのは体育館横の倉庫前、リンチでもされるのか?


「みんな!新入部員だよ!!」


ゴリラ部長がそう叫ぶと、倉庫の後ろから女子が3人ほど出て来て俺たちを取り囲んだ。


「男子じゃん男子!!」


怪力自慢て感じの黒髪ロン毛。


「本当に連れて来たんだ〜!!」


パーマかかった茶髪セミロングなおっとりした人。


「しかも一年生!?」


金パショート化粧有り小柄な人。


三人とも2年生のようだ。そこそこカワイイと思われる。


「当たり前じゃん!部長に出来ないことはありません!!」


「じゃぁこれでやっと映画作れるね!!」


「さっそく役有りだから頑張れよ」


ポンッと肩を叩いて、またみんな倉庫裏に行ってしまった。


「何やってんの?速くきてよ」


金パに呼ばれ俺も倉庫裏に行くと、そこにはアマチュワ映画で使うような機材が置いてあった。


「さっ、ちゃちゃっとやっちゃお」


ロン毛がカメラを持って金パがデカイ鏡を持って立つ。その真ん中にゴリラ部長。


「はい、これ台本。」


パーマから台本を受け取ってパラパラと見てみる。


「あの〜・・・・・。」


「なに〜?」


「さっきロン毛の人が役がどうとか言ってたんですけど、どういう意味ですか?」


まぁ大体予想はつくが間違いかもしれないため聞いてみる、てか間違いであってほしい。


「だから〜、アスカが主役の映画作って学園祭で発表するの。それの男役をキミがやるんだよ。」


予想的中。俺の高校生活こんなはずじゃなかったのに。


普通にサッカー部で活躍して、普通に成績優秀な優等生で、普通にモテたかったのに・・・・・・!


今鼻で笑ったヤツ即刻立ち去れ!!


「ってかアスカって誰!?」


「アスカは〜「いで!!」


後ろからロン毛にペットボトルで殴られた。父ちゃんここにはゴリラが多いようです。


「いって〜」


「先輩にタメ語使うな!それにあたしはロン毛でもゴリラでもない!」


「あたしも金パじゃないよ!!」


エスパーまでいるのか!!?


「人の名前聞きたかったらまず自分からでしょ?」


ゴリラ部長が満面の笑みで言ってきた。その前に聞いてないし!!


「1年3組宮元敦です。」


だがしかし、4対1では適うはずもなく名のってしまう。


この後かるく自己紹介。


ゴリラ部長→佐々木アスカ。


金パ→守田繭。


パーマ→飯塚まどか。


ロン毛→中村雪。


アスカちゃんと雪ちゃんは顔と名前が一致しませんね♪。


でも言ったら殺されるだろうから黙っとこう。


って、ことでその場で台本読んで無理やりスタート。


設定は、

主人公は好きな人に「デブはちょっと・・・。」と振られてしまう。ダイエットして美人になって見返してやろう!と言うお話。


「てか、俺の役めっちゃやなヤツじゃん!!」


「台本よく見ろ。もう一つ男の役あるでしょ?」


ロン毛。でわなく雪ちゃんに叩かれて台本を見直す。後の男役はその他の人と・・・・・。


「あっ、この主人公励ましてる人ですか?」


「そうそう敦だけ一人二役だから」


はぁ?今初めて台本と言うものを持った僕に二つも役をやれと?


「大丈夫髪型とか服装を変えれば分かんないって!」


顔をグリンっとつかまれ鏡の前に座らされる。


「ちょっとまっ「眉もっと剃ったら?」


「髪ツンツン!」


「スプレーで色つけようよ」


「少し化粧しよっか」


確実に遊ばれてる!!。お願いだから化粧はやめてください・・・・・。


30分後。


「眉毛薄く細くてヤンキー風、腰パンにさせられてシャツもダルンダルン。何よりリーゼントって!?格好悪っ!!」


「もんく言わないあたしだってこんな格好してるんだよ!!」


と、自分の体を叩く。部長は体操着着てるだけじゃん。


そーいえばダイエットの映画だけど、このデブデブ部長をどうやって痩せさせるんだろう・・・・?


ヤッパ映画みたいにダイエットすんのかな?部長の腹を見ながら少し考えてみる。


でも、この腹なんか違和感が・・・・・・・・。


「何?」


「いや、何でもないです」


「3秒前、3・2・1・スタート!」



「○○○くん私前からあなたのことが・・・・」


「あっ、ごめん。細めの子が好きだから。」



「カッーーーーーーーーートッ!!」


「セリフ言うの早い!まだ肝心なとこ言ってないでしょ!?」


「真顔ダメ、もっとすまなそうに!」


「何か妙にリアルだったね〜」


激しくブーイングの嵐。しかもまどかさんが言うようにマジで断ってしまった・・・・・・。


その後も何度かリテイクしてようやくOKがでた頃にはもう6時過ぎ。


「この大根!!!」


雪ちゃん先輩にお説教されながら機材を片付けるへめに。


男だからって重い物ばっかり渡しやがって。部長は「着替えてくる」とか言ってどっか行っちゃったし。


繭さんとどかさんは「頑張れ〜」って言いながらサボるし、仕事は増える一方だ。


「さすが男!繭たちより何倍も役に立つよ」


ドデカイ板らしき物を3枚。これを4階まで運ぶのは結構疲れる。


「雪ちゃん先輩もあの人たちに動くよう言ってくださいよ。」


「・・・・・あのさぁ、何であたしだけ雪ちゃんなわけ?まどかたちはさん付けなのに」


「ミスマッチなところがいいんです。」


面白いし。


「・・・・・喧嘩売ってる・・・・?」


「まさか、負けますって・・・・・・・。」


いや、マジで。殴り合いでも負けそう。


「やっと着いた〜!!」


「それはそこに立てかけといて。さき下行ってるから」


「はーい」


終わった!よし、帰っか。


「手伝いに来ました!」


そう言って教室に入って来たのは繭さんだ。


「もう、終わりましたよ。」


今更くるとは、さては終わるのを見計らってやって来たのだな。


「それがまだあるんだな〜、この教室明日授業で使うから、そこのダンボールを全部廊下に出してください!」


あっ、疑ってごめんなさい・・・・。


まだ、あるのかもう7時だってのに。春なのに汗だくになりながら、ダンボールの山を廊下に運び出す。


「ずっと思ってたけど敦くんて体格いいよね、なにかスポーツでもやってたの?」


「サッカーを少々・・・・。」


ずっとサッカー命だったのに智樹のせいで・・・。


「じゃぁ、何で映研入ったの?」


「あはははは・・・・・・・。」


ゴリラ部長の肉厚に負けたとはとても言えない・・・・。


ダンボールもキッチリ片付け先輩たちにも挨拶して。ようやく俺は映研集団から解放された。


あとは、お家に帰るだけ!そして明日智樹をどう叩きのめそうか考えよう。


「おそい!!」


ルンルン気分で校門を通り過ぎると、横から超美人が俺の方を見て怒鳴った。


「え、俺?」


自分以外に誰かいないか辺りを見渡す。


「何やってたんだ!遅すぎる!!」


美人さんは俺に近付いて来て、ガン飛ばした。


・・・・・この声にこのガン飛ばし・・・・・・。いや、ちょっとまて。そんなことはないだろう。もっと冷静になるんだ俺。


今日はいろんなことがあって頭も疲れてるんだ。幻聴、幻覚。


「黙ってないでなんか言え!!」


超美人が俺の足にメガトンキックを決める。見た目以上の力をお持ちで・・・・・。


「ア、アスカ部長・・・・・!?」


「何?」


部長はメチャクチャ不機嫌そうに足を抑える俺を睨み付けた。俺の頭はパニック状態。


「ヤッパリ・・・・。ヤッパリ部長は宇宙人だったんっスね・・・・・。」


「はぁ?」


「隠したって無駄ですよ!地球外生命体でもなきゃこんな短時間で痩せられるはずがない!!」


「はっ、もしかしてお前、部長が肉いっぱいで美味そうだからって食ったのか!!?」


俺は部長から遠ざかりながら叫んだ。


「そんなわけないだろ!!アレは特殊メイクだ!」


「特殊メイク・・・・?あんなリアルなのに?」


「繭の姉貴がそっちの方のプロで手伝ってもらってるの!」


「なっなんだそうかぁマジでエイリアンかと思ったぁ・・・・・・。」


だとしても凄い変わりようだな、智樹の話は本当だったのか。


今の部長は最初に会ったゴリラ部長と比べ物にならないくらい美人だ。


髪もカツラだったのか肩ギリギリの長さでショートに近く、顔も小顔。服の上からでもクビレがあるのが分かるし、


手足も通常より細長く綺麗だ。だが筋力も中身も変わってないのだからやはりゴリラか?


ともかく明日、智樹を叩き潰すのに使えるネタなのは確かだ。


「それで、部長は何んでおれを待ってたんっスか?」


「うん?ああぁ、あたしと付き合って。」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


唐突だ。唐突すぎる・・・・。


それよりさっき演技でもマジで断っちゃったのに、ここでOKしたら俺って顔で選んでるってことになるよな。


それって最低じゃねー?でも、今の部長超美人だし、付き合ってもいいかなって思ってたりして・・・・・・。


俺ってこんなその場その場で変わるヤツだったけ!?


「あっ、言っとくけど敦に拒否権無しね。」


強制ですか!!それはそれで酷くない!!?


「これは訓練なんだから」


「はい?」


訓練とは何んでしょうか、部長殿。


「敦とは今日、知り合ったばっかりじゃん?」


そっちが無理やりね。


「今回の映画で最後は結ばれるわけだしその前だって仲のいい友達じゃん?」


「つまり役作りのためにお付き合いしろと・・・・・?」


「ものわかりがよろしい!」


そんなことで誉められても嬉しくないです・・・・・・。


「ってことで今日からよろしく!」


「・・・・・・はい・・・・・・。」


『別に付き合わなくたって、役作りはできるでしょ。』と言えなかった自分がとても悲しいです。








暇があれば続きも書きたいな・・・・・・。

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― 新着の感想 ―
[一言] すごく面白かったです!!スピーディな話の展開に、つい夢中になって読んでしまいました! ぜひ、続きを書いてほしいです^^これからも執筆がんばってくださいー!それでわ。
[一言] 続きがメチャクチャ気になります。是非、連載してください。お願いします。
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