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第六話 カツ丼二杯で手を打とう!

「どうなっている・・・?」


完全にダウンしているサキを背負って小高い丘をぜーはー言いながら登ると

そこには軽装の鎧を着た兵士がその場に呆然と立ち尽くしていた

とりあえず声をかけてみる


「すみません、何かあったんですか?」


「お前たちここでモンスターを見なかったか?」


「え?」


「ここにモンスターが集結しているという報告を受けてここにやってきたのだが一匹も見当たらないんだ」


「これはまずい」と本能が告げている

先ほどこの世界に降りてきた俺には当然だがまともなプロフィールなんて無い

そんな状態で職質のようなことをされたら・・・

・・・ここは知らない振りして立ち去るのが賢明だ


「いや、モンスターなんて・・・」


「連中は私が一匹残らず断ち切った」


こらーーーーー!!

人がせっかく危機回避を行なおうとしてたところで!!


俺の熱演は顔だけ持ち上げたサキの言葉によって水泡へと帰す


「・・・少し詳しい話を聞かせてはもらえないか?」


あっという間に事態は最悪の展開へ突入する


まあ何はともあれ・・・


「こいつの腹に何か入れてからにしませんか?」




第六話 カツ丼二杯で手を打とう!



「で、その子が報告にあった63体のモンスターを討伐したと?」


俺たちは町にある衛兵の詰め所で軽く尋問を受けていた

俺の隣ではサキが七杯目のカツ丼を平らげていた

ちなみに俺の前には二杯の空になったどんぶりがある

というか、なんで異世界まで来てカツ丼を食う必要があるんだよ


「はい、間違いないです」


「と言われてもねえ、あそこにいた大型はベテランが三人でようやく倒せるような奴なんだぜ、それを一刀両断って」


「事実なのだから仕方がないでしょう」


「まあいいか、そういえばそちらのお嬢さんの名前を聞いてなかったな 名前は?」


隣を見るとサキが八杯目を食べ終えたところだった

というかお前いったい何杯食べるつもりだよ・・・


「何で私が名乗らなくてはならないんだ」


「いや、報告資料に書かなきゃならないってさっきも言ったよね?」


サキはその話をしたときは三杯目のカツに幸せそうにかじりついてて全く聞いてなかった

ちなみに俺はトレジャーハンターといったら簡単に信じてくれた


「向こうの人も困ってるみたいだし名乗ってあげなよ」


とりあえず衛兵さんに助け舟を出す


「・・・まあ、お前が言うのなら カツ丼二杯で手を打とう!」


え?カツ丼?


「というかお前もう八杯も食ってるじゃないか」


「これはここに拘束された分だ!ちなみにその二つはテイクアウトする!」


「・・・分かった 二杯用意させよう」


今の間は何?カツ丼ってそんなに重いもの?


「サキだ サキ=アマハラ」


へえ、苗字はアマハラっていうんだ

日本っぽい苗字だな・・・


あれ?なんか周囲の空気が固まってるんだけど

え?なんで目の前の衛兵さんは地面に手をつけてんの?


「「申し訳ありませんでした!!」」


後の兵士さんも袋に入れたカツ丼を机の上に置き同じく土下座をしている


「・・・私はここには来なかった」


「は!かしこまりました!」


「見送りはいらないから」


そう言うと机の上にあるカツ丼を受け取ると


「いくぞ、ショウ」


と言うといまだに話についていけない俺の腕を引き、出口のほうへ歩いていく


「え?報告書は?本部への言い訳は?」


「もう済んだ、そうだろう?」


「は!左様に御座います」


ここにいる全員が敬礼しているのは何故だろう?


「ほら、いくぞ!」


「どうかお気をつけて」


衛兵の声に振り返ることなく俺の手を引く少女の背中は苦しそうで、どこか寂しそうだった


読んで頂きありがとうございました

誤字脱字、感想等がありましたらお気軽にどうぞ

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