第一話 私、こういうものです
女性は何もないところから名刺を出現させた
「私、こういう者です」
その紙の職業のところには大きく「神」と書かれてあった。
「私はウイン この世界における神です」
第一話 私、こういう者です
俺は秋戸翔何の変哲もないただの高校生だ。
俺は今日もいつもと同じように学校へ向かうためいつもと同じ時間に出発し、最寄りの駅にいつもと同じ入り口から入った。
そこまでの記憶はきちんとあるのだが気が付いたら一面お花畑といういかにも天国という場所におり、中世の庭みたいな場所にある机に見知らぬ女性と向かい合って座っていた
そして向かいの椅子に座っている女性から名刺を渡されたのだ。
「あの…ひょっとしなくても何かの冗談ですか?」
「え?かなり真面目だけど?あれ?ひょっとして信じてませんか?」
「いや、いきなり私が神ですって言われても誰も信じませんよ!?もし仮に神様なら証拠を見せてくださいよ!」
「…とりあえず証拠を見せればいいのですね」
「…ええ、もし本当だったらあなたの言うことを三つまでなら聞きますよ」
するとウインが口に運びかけたコップが固まった
「その言葉は本当ですか?」
「ああ、男に二言はない!」
それを聞くとウインはコップを机の上に置き、
「では証拠を見せましょう、それ!」
彼女は言葉と同時に指をパチンと鳴らす。
するとその姿が見る見る大きくなっていく。それだけでなく机も椅子もそれに合わせて大きくなっていく。
「なんだ!?部屋が大きくなってる!?」
「いいえ、私たちが大きくなったのではなくあなたが小さくなっているのよ」
「な、なんだってー!」
「で、どうします?信じますか?
ちなみにこの庭には犬が数匹放し飼いされてまして、今日はまだご飯をあげてないからおなかが空いてると思います」
「信じます!信じます!信じますから戻してください!」
神様は再び指を鳴らす
すると風景が一瞬で元のサイズに戻った
「あ、ちなみに犬はここにはいません。ここはあなたと話すために用意した空間ですから」
鬼や…その笑顔の裏に鬼が見えるで…。
「何か?(笑顔)」
「いいえ!何でもありません!」
「さて、約束の件ですが」
「あはは、そんな約束しましたっけ?」
「だいじょうぶです、証拠は残ってますから」
そう言うとウインは足元から一台のノートパソコンを引っ張り出しその画面に映っている再生ボタンを押す
『もし本当だったらあなたの言うことを三つまでなら聞きますよ・・・男に二言は無い!』
「もう一度聞きます?」
「いえ、もういいです・・・」
「ふふふ、神相手に契約をしたのです、それなりの覚悟はできていますね・・・」
目の前の邪神様は不気味に笑った。
俺はこの時ほど自分の軽率さを呪ったことは無かった




