ダンジョンハック
「よくぞ我が呼び声に答えてくれた異世界の者よ。どうかその知恵を貸して欲しい」
見るからにRPGのラスボスっぽい方に、見るからに魔王城っぽい所で恭しく礼をされる。
一瞬判断ミスったかな〜〜と思いつつも、俺も切羽詰まっているのだから仕方ない。
俺は一つ息を吐き出すと相手を見据える。
「あの条件は本当に守ってもらえるんだよな?」
「勿論だとも。成功の暁には必ずや貴公の望みを叶えよう」
「なら、良い。じゃあさっさと仕事の話をしようぜ」
俺がそう言うと相手はふっと微笑んで「ではこちらへ」と巨大な魔法陣が描かれた大広間を出て、別の部屋へと案内してくれた。
「確認のため改めて説明しよう。我はこの世界を創りたもうた神々より管理を任されている管理者だ。その為の権能も幾つか譲り受けておる。管理の主目的は明白、『この世界を存続させ続けること』だ。されど我が権能の一つ、未来視においてそれが難しい事がわかってしまった」
案内された部屋は真ん中の大きなテーブルに世界地図と思わしき物がデンっと大部分を占めていて、その周りに各種資料っぽい紙が並べられている。
管理者さんと一緒にそれらが見渡せる場所に並び立ち説明を受ける。
「あー、人間の発明が原因なんだっけ?」
「そうだ。今我らがいるのがこちらの大陸で、人間達がいるのはあちらの大陸の……まだこの辺りだ」
管理者さんの指が世界地図の右側の大陸を示したあとに、左側の大陸の僅かなスペースをトントンと叩く。
「今は牧歌的な暮らしをしているが、未来視で覗く人間達の発展は凄まじく、自分達の住まう大陸のみならず我らのいる大陸を含めた世界全てを支配しようとそのうち動き始める。それはまあ、良い」
「え? 良いんだ……」
「我は一応魔族として生まれ、権能として魔族や魔物を支配下に置けるが、先も申した通り真の役目は世界の管理である。世界が存続し続けられるのであれば、どの種が世界を治めてようと構わぬ」
権能によって空の上でも海の底でも、人間の中に混じってであろうとも我はどこでも存在出来るのだから、と言われてなるほどな〜〜と頷く。
「人間がこの世界を治めるというのであれば我は構わぬ。構わぬ、が…………世界を破滅させるのは看過できぬ」
さっきまで平坦だった管理者さんの声に僅かに影が落ちる。マジでそれだけは許せない感がビンビンだ。
「破滅の原因は、魔科学? とか言ってたっけ」
「そうだ。人間は魔法が使えぬ。だからあれこれ知恵を絞って人を襲う獣や魔物に対抗しようとしていたが、暫くして魔法を発現させる道具を編み出す。当初は倒した魔物から出る魔石を使用していたが、奴等はいずれ禁忌を犯す。……この星の生命力をエネルギーにしおったのだ」
「星の生命力……」
「人間で例えるならば血を抜かれる様なものだ。それが少量を偶にならば問題なかろう。だがそうではない。魔科学の普及に伴ってその量は飛躍的に増えていき最終的には……腕を切り落とされた傷口が塞がらずに絶えず血が流れ続けている程度の消費量、と言ったらどうだ? お主は無事で済むと思うか?」
「……絶対むり」
「そうであろう。故にこの世界は星の命とともに終焉を迎えてしまう。人間が、人間の文明が発展し続ける限りこの結末は変えられぬ」
「人間を滅ぼすのは……出来ないんだったな」
「異世界のとは言え、人間のお主からその言葉が聞けるのは何とも異な事だ」
「あんたも魔族なのに魔族が負けても良い的な事言ってただろ。変わんねーよ」
「確かに。して先の質問に答えるとすれば、人間を滅ぼす事は出来ぬ。人間のみならず、我の意思で、我の力で、どの種族であろうが滅ぼす事は許されておらぬ。あくまで管理なのだ。環境を整えたり方向性を多少示すことは出来ても管理者が管理対象を消す事は罷りならん」
「面倒な縛りだよなあ。まあそれがあったから俺が呼ばれたんだけど」
頭を掻きながらテーブルの上の資料を幾つか手に取って読み込む。
つまり、『人間を滅ぼさず』『人間に魔科学を使わせない様にする』というのが今回のミッションだ。
それは俺の世界で言えば石油を使わせない様にするのと同等としたら、これはなかなかに難しい話である。
俺はうーんと唸りながら資料の一つである管理者さんの権能とそれぞれ効果が書かれた一覧を眺めていて、ふと気になる記述を見つけた。
「この『創造』ってスキル見ると、滅ぼすのはダメでも新たに生物を作り出すのはありなんだな?」
「ああ。直接手が下せぬからな、環境の調整のために使う事がある。お主もサラマンダー──火を吹くトカゲが異常繁殖したら天敵を作らねばマズイと思うだろう? そういう時だ」
「世界中が炎の海になりそうだな……そりゃあヤバいわ」
「だがその作った天敵が今度は悪さをしては敵わんからな、他に打つ手がなく、未来視で何度も世界への影響を確認してから取り掛かる様なものだ」
「作った生物も管理対象になっちまうのか。そりゃあ確かにポンポン使いたくはねえわな〜〜」
こうして考えると世界を創造するって結構大変だな〜〜と思いながら資料をあっちこっち眺める。
人間と魔族の違い。権能によって支配下に置ける生物の条件。現在の人間や魔族の分布と、大まかな生態系、環境その他エトセトラetc……。
「あれ? この世界ってすげえRPGっぽいけどダンジョンないの? ああでもまだ人間の文明が原始時代レベルって感じだからあってもチグハグか」
「ダンジョン……というのは如何なる物だ?」
「えーっとダンジョンっていうのは……」
管理者さんにダンジョンについてなんとかあれこれ説明する。
基本的に地下に延びる階層構造で、魔物が蔓延っている。人間からすると有用な魔物素材がゲットできたり、宝箱から強力な装備やアイテムが手に入りお得である。十階とか二十階とか節目の階には強いボスがいたりして、それらを乗り越え最深層には一番強いボスや凄いアイテム、ダンジョンの核などがあるのも定番。核があるタイプのダンジョンは、一定周期でダンジョンから魔物が大量に溢れて近隣に甚大な被害を齎らすスタンピードが発生する場合が多く、ダンジョン核を壊してダンジョンを失くす事が推奨されてる場合もある。パターンによりダンジョン自体が巨大な生物で、ダンジョン内で死んだ生物を取り込み糧とするから餌となる人間を呼び込むために宝箱などが設置されてる、なーんて説もある。
ざっくりと俺がそう説明していると、管理者さんは「ふむ」と呟いてからこう言った。
「随分と人間に都合が良い物に思えるな。そのダンジョンという物は」
「へ?」
「払う労力に対して、得られる利益が少ない様に思う。そもそも何故人間を呼び込もうとする? これが一番わからぬ。生物の死骸を糧とするならば魔物を中で繁殖させるだけで良い。階層構造になっているのも各階層で違う種族を繁殖させ、ある程度増えた所で階層の垣根を壊して衝突させ、その縄張り争いによる死骸を作り出すためと思えば納得もいく。だと言うのにわざわざ宝箱なる物を配置し、我が身を危険に晒してまで人間を呼び込む利点がどうにも見つからぬ」
「た、確かに……」
管理者さんのご指摘につい唸ってしまう。まあ極論、主にゲーム内など娯楽に登場する代物だ。ダンジョンというシステムは、結局プレイヤーに都合の良い狩場でしかないのだろう。
そんな事を管理者さんと話していて、ふと俺は閃いてしまった。
「あれ? なあ、もしかしたらダンジョンで破滅対策、イケるんじゃね?」
普段よりも鮮やかな花や飾りで色取られた街並み、多くの人がごった返し、それ目当てに屋台が立ち並び、警備にあたる兵士達もどこか浮き足立っている。
そんな城下町のお祭り騒ぎがわずかに届く城の一室で、王が感嘆の溜息を吐いた。
「これが此度のダンジョン攻略で持ち帰った品か」
「はい、陛下。鑑定結果もこれこの通り。宮廷術師達も大興奮でしてな、これは歴代の秘宝、それも秘宝中の秘宝と勝るとも劣らない逸品ですぞ」
「であるならば筆頭術師の貴殿はさらに興奮しているという訳か」
王がニヤリとそう言えば「当たり前ではないですか!」と老いた見た目とは裏腹に生き生きと瞳を輝かせて筆頭術師と呼ばれた男が息を荒げる。
「我が国の起こりの元となり、今尚堅牢な守りとして機能する結界石『神盾』。それと同等の物が持ち帰られたとあっては興奮するなという方が酷というものですぞ!」
「ああわかったわかった爺。だから少し離れよ」
「おっとこれは失礼しました」
ずいずいと王に迫っていた術師はコホンと威厳を取り戻すように咳払いしながら離れると、されど瞳の輝きはそのままにテーブルの上、一目で上等な作りとわかる豪奢な箱の中に納められた結界石を見ながら口火を切る。
「しかし陛下、やはりこれは神の啓示としか思えませぬ。陛下も、そうお考えなのでしょう」
「うむ」
「魔族めとの戦いは増加するばかり。その一方で昔よりも魔術の才に恵まれた者が増え、戦線を維持するだけでなく押し返せる様になって参りました。あの魔族相手にです! そこに! さらに! これです!! これはもうさらなる一手、領土拡大も夢ではないとの啓示以外の何物でも無いでしょう!?」
「爺、爺、近い」
「おっとこれは失礼しました」
コホンコホンと咳払いしながら術師は居住まいを正しつつ再度王から離れる。
多少クールダウンしたかと判断した所で今度は王が口を開く。
「ところで爺や、魔研の方はどうなった? 以前、凄い物が出来るやもと話しておったではないか」
「おお、おお、そうですそうです。それも今日の夕刻には結果が出るとの事でしてな。かの神童により、もしかしたらとんでもない物が、それこそ技術革命……今後、対魔族における秘密兵器が誕生するやもしれぬのです」
「おお! それは素晴らしいではないか!」
「ええ、ええ、陛下。ですので儂はそれの手伝いがこの後ありましてな、それに関してはまた報告に上がりますので、そろそろお暇致しとうございます」
「うむ、大義である。行って参れ」
「はは! では御前失礼致します」
そうして術師は退室していった。
王は長い付き合いである術師の様子から、その結果というのはほぼ成功が確実なものなのだろうと理解していた。
だからこそ、夕刻より後に術師が満面の笑みでこの執務室に駆け込んで来るであろう事を予想して、苦笑いを浮かべていたというのに。
だというのに。いや、だからこそ術師が再び目の前に現れた時、王は訝しんだのだ。
「……今、なんと言うたか」
「はい、陛下。実験は失敗しました」
「なんと……それは本当か?」
「はい」
まるで人形のように感情がごっそりと抜け落ちた顔でそう宣う術師に、王は困惑した。
当然だ。だってこんな様子初めて見るのだ。
術師はこれまでどんなに研究が失敗しようとも、何が悪かったか、仮説かやり方か環境か、どうすれば成功しそうかを嬉々として語るような男だ。
それがどうだ?
ただ失敗した事だけを語るその姿。
常ならば婦人達のお喋りよりも早口に、どの様に失敗したのか、その状況から今後どうしたら良いかをいっそ楽しげに語り尽くすこの男が、ただ端的な言葉だけを語る。
これが異常と言わずしてなんとする。
「爺、そもそもその実験とはどの様なものだったのだ? まだ仮説止まりだからと妙に秘しておったがもう話しても良いであろう?」
「なりません。あんな物、記録に残すのすら大愚となります」
「……どうした爺。お主よく言っておったではないか。『如何なる失敗も、それは成功への轍である』と。『記録し、未来に託す事が、人類が魔族に打ち勝つ唯一の方法である』と、耳にタコが出来るほど私に語って来たのは貴殿ぞ?」
「なりません」
「爺……」
この時、王は言いしれぬ不安に襲われた。
これは一体誰なのか?
確かによく知る男だ。
王が幼い時分より優秀な宮廷術師として長年王家に仕えてきてくれた男だ。魔術の才には恵まれなかった王であるが、それでも治世者の務めとして魔術のなんたるかを熱心に教えてくれた師でもある。
そう、彼は魔術を愛している。
それこそ人生を、その命を捧げても良いと思っていそうな程に執心している男が、あり得ない事を言っているのだ。
故にこそ。
故にこそ王は同時に理解した。
"これは領分を超えた代物だ"と。
"神の怒りに触れる【禁忌】であろう"と。
「…………わかった。わかった爺。もう何も問わぬ。何も聞かぬ。その件は闇に葬れ。即座に忘れよ。王命だ。関係者全員に箝口令を敷け。徹底して記録を抹消せよ。……これで良いな?」
「はい、陛下」
「であればもう下がって良い。……爺、今日はゆっくりと休め。これも王命である」
「陛下、お心遣い感謝します。では御前失礼致します」
術師が退室し、その気配が遠ざかったのを確認してから王はどっと椅子に凭れかかると、片手で顔を覆った。
昔馴染みの男の姿を借りた、超常の存在。
どうしたってそうとしか思えないあの瞳、あの圧迫感、あの気持ち悪さ。
ドクドクと脈打つ心の臓と、滲む脂汗をそのままに王はポツリと、なんとも弱々しい声音で呟いた。
「だからどうか、どうか爺を返してくだされ……神よ……」
人間達に世界最大の大迷宮と呼ばれる様になったダンジョンの最下層。
異世界の人間から魔王城っぽいと評を得ていた内装そのままに広々とした部屋の奥で、魔王っぽい見た目の管理者が、その異世界の人間より仕入れた知識を用いて作成した映像投射魔導器で空中に映像を映し出していた。
「ふむ、順調に魔力を宿した人間が増えているな。これは大変喜ばしい事だ」
そこには現在の人間の分布図と、魔力を保有する人間の割合が表示されており、前年比からも魔術の才に恵まれた人間の割合が増加している事が見て取れた。
「この調子であれば主たる国も次期に染まろう。あとは辺鄙な場所に住まう者達であるが……何、冒険者という便利な存在がいるのだからこちらも軽く指示を出せば問題なく感染させる事が出来よう。誠、彼に協力を要請して正解であった。この上ない結果だ」
うむうむと大変満足そうに管理者は頷く。
ほんの僅かな時間であれど、あの衝撃、あの歓喜から、管理者は忘れ得ぬ彼の人間の顔を思い浮かべていた。
あの日、異世界の人間は彼にこう提案した。
『ダンジョンを作ろう』と。
魔族や魔物を支配出来るのはその身を巡る魔力に働き掛けて行っているから。
そして人間と魔族の違いは魔力の有無であるならば、人間に魔力を持たせられないか?
そうすれば魔科学に頼る必要性は減るし、万が一発明しようとしても魔力を通した支配が可能になっていればそれも阻止出来るだろうと。
だが魔力を生み出す器官を持たぬ生き物に突然魔力を持たせるのは難しい。であるならば様々なアプローチから影響を与えていくしかない。
そこで、ダンジョンだ。
魔力の満ちた空間に人間を晒す。
ダンジョンという過酷な環境で、魔力というエネルギーのある中で過ごさせ適応を促す。
その為にはそこに人間にとって利益のある物を用意すれば良い。そのアイテムにも魔力を帯びさせる。しかしタダでやっては人間も警戒するだろうから魔物や罠を配置する。危険を犯し、苦労の末に手に入れた物ならば、そして便利な物であるならば、人間は側に置く。例え誰が作ったのか得体の知れない物であろうと使ってしまう。人間はそういう生き物だ。
常態化してしまえばこっちのもの。さらに誰も疑問に思わなくなる。疑問に思う人間が現れても、一度味わってしまった快適さはそうそう手放せないから人間同士、同調圧力で潰してくれる。
トドメとばかりに菌でも寄生虫でも創れば良い。何か魔力を生み出す事の出来る、気付かれ難い存在で人間をさらに魔力を使える生物に進化できるよう働き掛ければ良い。
そうすればきっと、彼らの文明が真相に辿り着けるようになる頃には手遅れだし、その気付きも貴方の権能で潰せるであろう、と。
滔々と語ってくれた内容は管理者にとってまさに福音であり、早速未来視を使って影響を確認した所、ダンジョンは勿論、菌まで創れば完璧に破滅の未来が回避できる事がわかった。
あまりにも早い解決に管理者はただただ彼に感謝した。賞賛し、全身で喜びを顕にした。
彼も最初こそ「俺自身の為だ」と斜に構えていたが、最後は「そんな喜んで貰えたのなら良かったよ」と照れ笑いを溢した。
そうして彼と当初交わした約束の元、彼の望みを今度は管理者が叶えて、管理者と彼は短くも有意義な邂逅を終えたのだった。
管理者は遠く、遠く、この世界では無いさらに遠くにいる救世主たる彼に思いを馳せ、呟いた。
「どうか彼の、彼の世界にも安寧が降り注がんことを」
「…………ちゃんッ、お兄ちゃん!」
「……あ、ああ、すまん。ちょっと意識飛ばしてたわ」
「っ、良かったぁ……」
「ああ悪い悪い、泣くなって」
ぐすぐすと胸元に顔を埋める妹の頭をわしわしと撫でる。
すぐさま周囲の状況を確認し、妹の反応からも、どうやら自分はあちらに飛ばされた直後、数分も経っていない時点に戻されたのだろう事がわかった。
そして自身の手元には、飛ばされる直前には無かった物が。
管理者さんは約束をキッチリ守ってくれた様だった。
「心配掛けたお詫びと言っちゃなんだが、兄ちゃんこれからいっちょ、世界救ってくるわ」
「……お兄ちゃん?」
「だからな? ここでちょっと隠れて待っててくれないか?」
「ッやだ……お兄ちゃん。怖いよ、置いていかないで……」
「だーいじょうぶだ、大丈夫。すぐ戻ってくるさ。約束する。俺には秘密兵器があるんだ。さっき意識飛ばしてる間にな、あーー……神様から貰ってきたこれだ。ほらこれ。こーーんなキラキラ綺麗なの、さっきまで俺持ってなかったろう? だからな、これ使って外の怖いのぜーーんぶ追っ払ってくるから、ここで良い子で待っててくれ。な? 出来るだろ?」
「……ぐすっ…………本当? 本当にこれがあれば、お兄ちゃん、無事に戻って来る?」
「ああ! なんせ凄い神様に貰ってきたもんだからな! ほら、なんか凄そうだろう?」
「…………うん、わかった。絶対、ぜーーったい、戻って来てね、お兄ちゃん」
「ああ、絶対約束する。だからお前もここで隠れて待っててくれ」
「うんっ」
不安そうな、今にも泣き出しそうな顔で、それでも頷いてくれた妹の頭を安心させるようにわしわしと撫でて俺は、一つ力強く目を瞑ってから立ち上がり、外へと駆け出した。
山の中腹にある俺と妹だけが知る秘密基地。そこから飛び出せば見えてくるのは、至るところに煙が上がるが街並みと、そこで皆を襲うゾンビ達で。
「ああ、絶対救ってみせるさ。なんせ俺の手には異世界産の秘密兵器があるんだからな」
右手に持ったそれを目の前に掲げる。
気分はさながら伝説の勇者かな、なんて嘯いて俺は震える手と足に力を込めて街に向かって走り出した。
ダンジョンって危険っちゃ危険だけど人間側に都合良すぎるよな〜〜とか、魔物や魔族の【魔】が魔法を使える事を指すなら魔法が使える人間も魔族に分類されないの?とか考えてたらこうなりました。




