扉はしまった
「自分の事ばっかり考えやがって」
私はそう言って扉を閉めた。
扉の先にはもう一つの扉。
友人が住んでいる城に続く扉。
「少しは反省しろ」
閉め切った扉の中で私は呟く。
これは一種の恒例行事だ。
何せ、私は友人の勝手気ままな行いに辟易しているのだ。
こちらのことを少しも考えない自分勝手な人間性に。
「私の事も少し考えてほしい」
苛立ちながらそう呟いた。
大体こうしていると、大抵は友人の方から私の城の扉を叩く。
『ごめんね。言い過ぎた』
『あなたの気持ちや心に寄り添っていなかった』
そんな言葉と一緒に。
そうなればこちらも拳の落としどころが出来るというものだ。
私は小言を一つ言いながら許してやる。
『反省したならもういいよ。だけど、気を付けてね。そうしていると誰もあんたを相手にしなくなっちゃうよ』
これでおしまいだ。
だけど、時々相手が意地になって謝ってこないこともある。
そんな時は仕方ないからこちらから会いに行ってやる。
意地になっていても仕方ないから。
そうやって私たちの仲は続いていた。
だから今回も相手が謝ってこなかったものだから、私は渋々と会いに行こうとした。
仕方ないか、なんて思いながら。
「は?」
扉は閉まっていた。
「え? 何で?」
扉を叩いた。
だけど、反応はない。
しばらく待ってみた。
声をかけてみた。
扉は開くどころか声一つ戻ってこない。
「なんで?」
呆然としたまま私は仕方ないので城に帰る。
困惑しながら私は仕方なしとばかりに自分の城の扉を開く。
いつでも友人が訪ねてこられるように。
だけど、今日も友人は訪ねてこなかった。
――もしかして、もうずっと。
浮かんだ言葉を思い切り打ち切った。
私は今日も友人が訪ねてくるのを待っている。
多分、開かないだろうな、って知りながらも。




