表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

わるい魔女は死んだ

作者: あんぶれら

脳裏に浮かんだ言葉をそのまま。初投稿です。

わるい魔女は、いつの間にかひとりぼっちになっていました。かつて彼女がいじめ、殺したこどもたちが成長し、おとなになったのです。彼らはわるい魔女を指差して言いました。「魔女だ!」と。「殺せ!」と。


 そのとき、彼女のそばには誰も居ませんでした。かつてを共にした魔物たちはすでに亡く、巨人たちは彼女に見向きもしませんでした。


 彼女はひとりぼっちでした。世の中の寓話では、ここで彼女は悔いて、それをこどもたちが受け入れてハッピーエンドになるのですが、世界はそう優しくありません。


 彼女を捕らえたこどもたちは口々にこう言うのです。「悪い魔女を殺せ!」


 そうして彼女は広場の断頭台にのぼりました。かつて、たくさんのこどもたちがここで死んでいった、その断頭台には血が染み付いています。それを見た時、彼女は恐怖に震え必死に命乞いをします。


 それを見て、みんなは笑います。あざ笑います。無様だと笑います。誰も彼女を助けてくれません。


 断頭台のロープが切られました。落ちていく刃が首を落とす寸前、彼女の脳裏には様々な思い出が去来します。ですが、その中で本当に仲間と呼べる存在はいませんでした。友達と呼べる存在もいませんでした。それに気づいた時、彼女の両眼からは涙が溢れます。


 彼女の視界が急に逆さまになりました。くるくると世界が回ります。彼女は最後に何かを伝えたかったのか、口を開くそぶりを見せました。


 彼女は何を言おうとしたのでしょうか。コトン、と言う音と共に地に落ちた首に貼りついた虚ろな目で、最後に何を見ようとしたのでしょうか。


そして広場には歓声が響き渡り…ませんでした。首が落ちた瞬間、みんなは興味を無くしたように足早に去っていきます。


 彼女の死を喜ぶものも、悲しむものも誰1人いません。彼女はもう死んだのです。それ以上、彼女に興味を持つものはいません。

 

 かつて、数多のこどもたちを殺した驕慢の魔女は、誰からの思いも、怒りすらも向けられることなく終わったのでした。


おしまい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ