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8.決心

初めての殺しの仕事を依頼されたレミィとレオルドは支度を始めるのであった。

殺害…

とうとう人を殺す仕事が来てしまった。

山賊である以上仕方のないことなのかもしれないがいざそれをするとなるとつらい気持ちになるものだった。


「さあ、行くよ。支度しな。」

レミィはそういいながら自分も準備を始める。


「いや、やっぱり殺しは良くないですよ。」

「あ?今更何を言ってるんだい?」

「やめましょう。まだ遅くないです。盗みならまだしも殺人なんて……」

「アンタねえ、何度も言うけど俺らは山賊。盗みも殺しもなんでもするのさ。目的のためにはね……」

「でも…」

「うるさいよ。つべこべ言わず準備しな!いくよ!」

「……」


そうして俺はいやいやながらも準備をし、そして前回とは違う町まで歩いた。

着いた先は、前回のようなきれいで活気のある町ではなく、薄暗く不穏な空気のする町だった。


「今回の仕事はここでするんですか?」

「ああそうだよ。」


本当に不気味な街だ。

外にいる人は少数で皆畑仕事をしている。

希望なんてないような目でただ黙々と体だけを動かしている感じだ。

そう、まるで…

「死んでるみたいだ…」

俺はそう呟いていた。


「……そうだね。さあ行くよ。」

レミィは俺の言葉にそう反応した後改めて歩き始めた。

そしてまた街に入り、その町の奥一番大きな屋敷の前に到着した。


「着いたよ。今回のターゲットの家だ。」

「これは誰の家なんですか?」

「この町の町長…この領土を収めている貴族の家だ。」


貴族…前回もそうだったがやはりお金を持ってる家を狙うんだな。

お金持ちほどセキュリティもすごく難易度は高いはずだし……

山賊は弱いものから奪うイメージが強かったから少し意外だ。


「何をぼーっとしてんだよ!早くいくぞ。」

「あ、はい」


そうしてついて行く。

しかしレミィは途中で足を止め顔をしかめた。

「ちっ、いつもより警備が多いな……」

「大丈夫そうですか?」

「……」

レミィ俺の問いに無言で答える。

さすがに厳しそうな様子である。


というかこれはさすがに俺の目で見ても明らかに厳しいとわかった。

入り口には警備の騎士が2人、屋敷の周囲を巡回しているのが3人、見えるだけでも屋敷内にも4人はいる。

もう前回とは比較にならないほど多かった。

(これは……無理だな……)


「無理だな……」

「ですよね。今日のところは帰るしかなさそうですね。」

「いや、でも行こう」

「え。?」


そう言ってレミィは屋敷のほうへ歩き始めた。

俺は急いで手をつかみレミィを止めた。


「ちょっ!待って待って!待ってください!」

「……なんだよ」

「いやなんだよじゃなくて!こんな中、真正面から突っ込んだらつかまっちゃいますよ!」

「そんなこと言っても他に方法がないだろ?」

「いや、だから引き返して作戦を練ろうって……」

「それはだめだ」


(はあああああああああああああ?)

なんでだよ。

死ぬって無理ってわかってるのに突っ込むってバカなのか?

そんなに殺し……仕事が大事なのかよ。

くそ、また目の前で人が死ぬなんて嫌だ。


「とりあえず止まってください。」

そう言って止めようとするがレミィは止まろうとしない


「そんな時間はないんだ。死ぬ気でもなんでも今日行かなきゃ……」


(どうして……!)

「どうしてそこまで?」

「人の人生がかかってるんだ!もしここで諦めたら大勢が不幸になる。大勢が死ぬだから、行かなきゃいけないんだ!」


レミィは俺にそう叫んだ。

(大勢が不幸に……どういうことだ……でも…)

よくわからない。

分からないことばかりだが、これがただのお金目的じゃないことは今ので分かった。

だから……


「とにかく俺は行く、あんたは好きにしな。」

「待って。」

「ん……?」

「わかった。俺も覚悟を決めた手伝うよ。」


だから俺も本格的に手伝うことを決めた。

実際ずっと山賊になった時から乗り気じゃなかったけど……

彼女の熱意に何か理由があることが分かったし、何より数日間一緒にいて悪いやつじゃないのは分かった。

助けてもらった恩もあるし、少なくとも今回は手を貸そうと決めた。


「そんなこと言ったってあんたに何ができるってんだい?正直変についてこられるほうが厄介なんだけど。」

「任せてください。俺なら何とかできます」


俺はそう言い放った。

実際自信もあった。

「わかったよ。でもどうするんだい?この数で」

「正面から突っ切ります」

「はあ?馬鹿かい?それは無理って……」

「まあ、任せてください」


レミィは最初疑いの目で俺を見ていたが、俺の強い目線に彼女は首を縦に振り任せると言ってくれた。

正直まだ実践経験はないし不安しかないが……

やるしかないのだ。

(父さん……やるよ……)


そうして決心をし一言俺は唱えた

「水中級魔法 ハイド」


そうして久しぶりの魔法を唱え俺とレミィは水の中へと姿を隠した。




また遅くなってしまいましたあごめんなさい。

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