20.巨人狩り
宝物庫に侵入したレオルドたちは、そこで待っていた騎士らしき中年男と対峙する。お頭とその男は知り合いのようだったが賊であるレオルドたちを処分するといって戦闘が始まるのだった。
「はあああ!!」
「ふんっ!!」
ガキンッ!!という金属音が宝物庫の中に鳴り響く。
お頭と男の2人はそのまま剣で押し合う。
やや男のほうが力が強いようでじりじりとお頭は男に押され、そしてそのまま後ろへ吹き飛ばされた。
「くっ……!」
吹き飛ばされたお頭は何とか受け身を取るが膝をついてうなだれる。
「お頭!!」
俺は急いでお頭のほうへ駆け寄ろうとするが、お頭は「くるな!!」と叫びそんな俺を静止した。
「あたいは大丈夫だ!それより早く構えな……!」
お頭のその言葉に俺はハッとして男のいるほうに振り向き手を前に出し構える。
それと同時にお頭も立ち上がり、男のほうへと走り出した。
「風弾!!」
俺は魔法をそのまま発動し、その魔法は先に走り出したお頭より先に男へと到達する。
しかし、それをそよ風でも吹いたかの如く男は剣で簡単に切り捨て、にやっと笑みを浮かべた。
「嘘だろ……。」
自分の魔法を簡単に消し去られたことに俺は驚き呆然とする。
「ほう……。そっちの坊主は魔法使いねぇ……!はっはっは!面白いじゃないのぉ!」
そう言って笑う中年男性の騎士に向かい、到着したお頭は走った勢いのまま斜め上から剣で切りつけた。
「はああああああああ!!!」
男はそれを剣で受け、またも剣で押し合う形になる。
しかし、先ほどとは違い勢いの乗ったお頭の攻撃に次は男が後ろへずりずりと少し押し飛ばされた。
「おっ……!とぉ…………。ほんっと、お前は体に見合わない馬鹿力だねえ……!」
「うるっさい!!その減らず口すぐに黙らせてやるよぉぉぉ!!」
お頭はそう言って、体を振り子のように振りさっきと同じようにその勢いのまま斜めから切りつける。
右左右左と、まさにボクシングのデンプシーロールを思わせる動きで反撃の隙間なく攻撃を続けた。
しかし、男もうまくそれに合わせて剣を出し防いでいる。
しかし防がれてもすぐに勢いを止めずお頭は何度も何度も右左右左、交互に振り子のように斜めから剣を男へ叩きつける。
「はあああああああああ!!!」
「ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!」
ガキンッガキンッと何度も何度も金属音が鳴る。
しかしそんな鬼気迫るお頭の連撃も男はすまし顔で防ぎ続けていた。
俺はその様子をしばらく眺めていたがすぐにはっと我に返った。
(くそ!!俺もなんかしなきゃ!!)
そう思いながら急いで魔法の準備を始める。
しかし、魔法が出来上がっても二人の攻防は激しく、どこで魔法を打てばいいのかわからずに結局ただ茫然と俺は立ちすくむことしかできなかった。
「あっちの……!坊や……!困ってるみたいだけど!た……!すけなくて!いいのか!!」
お頭の剣を防ぎながら男はそう話しかけた。
その声なんて聞こえないかのようにお頭は気にすることなく連打を続ける。
「きい……!てんっ……かっ!!!?」
そう言って弾き返そうと男は力を強める。
しかしそれでも連撃は止まらず、気にせずお頭はたたき続ける。
「うるっ……さい……!!聞こえてるよぉぉぉ!!」
そう言ってお頭はたたきつける勢いのまま回転しそして、次はその回転も加わった今までよりも強い一撃で男をたたきつけ男を壁へ大きく吹き飛ばした。
「ぐっ……。」
ドゴォォン!
男はそのまま宝物庫の壁まで吹き飛んで衝突した。
「ぐはっ……!!」
男はそのまま床にへたれこんだ。
「すごっ……。」
俺はお頭の強さに驚き感嘆の声を上げた。
(ゾフたちに聞いてはいたけど……ほんとにここまで強いとは)
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ー時はさかのぼり作戦会議中ー
「要するぅにぃ。俺らぁは陽動てぇわけだなぁ……?」
ゾフがマイルーンにそう言って確認をする。
「そうよ。私らは陽動……奇襲とはいえ、一国を相手に私たちが真っ向から戦いを挑んでも騎士たちに秒で制圧されるわ……。だから、本体はうちで最強のお頭と……。透明化の魔法を使えるレオルド君この日二人に任せるわ。この二人がアーティファクト奪えればあたしらの勝利ってわけ。」
うんうんと全員うなずく。
俺も同じように納得してうなずいた。
(ん?)
しかし、そこで俺はある違和感を覚えた。
(お頭がうちで最強……?)
俺は、お頭のほうを見る。
そうして俺の目に映るのは小学生かと思うくらい小さい背丈のポニーテールをした女性の姿だった。
そんな華奢な体をしたお頭が、230cmの身長、そしてすごい筋肉を持つゾフよりも強いというのだ。
そんなわけがないと疑問に思うのは当たり前のことだった。
「え?いや、え?一番強いのはゾフさんじゃ……?」
俺は気になりみんなに向けてそう問いかけた。
全員キョトンとした後、全員でお頭を見てそして大笑いをしはじめた。
俺はいきなりのことに驚く。
「え?え?なんで笑うんです……!?!?」
「いやいや!ごめんごめんそりゃ知らないか!ははは!」
レミィは俺の背中をバンバンとたたきながらそう言った。
「新人だものね!最近はそんな表立った争いもなかったし、そりゃ知らないわね!ごめんね!」
マイルーンも笑いながらそう言った。
俺はそんないきなり大声で笑いだす人たちをただ呆然と見ることしかできなかった。
そんな俺の頭にゾフは手を置いてなでながらしゃべりだした。
「確かにぃあんな図体をしてるがぁ……。強さは本物だぁ。俺が保証する。」
そう言ってゾフは俺のほうに笑いかけた。
(あ、あのゾフがわらった……。)
「ええ!私も保証するわ!あの人昔は少女の様な姿で自分より大きな魔物や人を殺していくことから巨人狩りなんて呼ばれてたこともあるほどなのよ!」
そう言ってマイルーンも俺に笑いかけた。
「レオ!俺も、一回だけ一緒に戦ったことあるけどね……。まさに猛獣だったよ。ほんとに強いんだ。だから安心しな!」
レミィもそう言って俺の背中をばしんとたたいた。
(巨人狩り……。みんながそういうならそうなんだろうな……。まあ、時が来ればわかるか。とにかく今はみんなを信じよう。)
「わかりました。信じます」
俺はみんなの目を見てうなずいた。
しかしお頭だけは少し不服そうな顔をしていた。
「まったくひどい言われようだね……。まったく!ほら!決まったことだし!準備するよ!時間はないんだ!」
その一言に全員うなずきそして会議室は終了した。
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<宝物庫>
「はあ……はあ……」
身長は120cmくらいの華奢な体で水色の綺麗な髪をポニーテールにした、小さな鎧を纏い自分の背丈ほどの長剣を息を切らしながら構え続ける彼女の姿を見ながら俺はそんなことを思い出していた。
「あ、お頭!!だいじょっ……!」
「油断すんじゃないよ!!」
「え!でも……」
「その油断……。悪い癖だよ直しな!こんなんでやられるような玉じゃないんだあのじじいは!!」
俺はその言葉でわれに返り、すぐに男の飛んでった方向に構えなおした。
(そうだ……。また繰り返すところだった……。その油断のせいでリヒトは……。)
俺はこぶしをぐっと握りしめた。
「油断もしない……。ほんとに可愛げのない女だな。小娘……。」
「う、う」と声を漏らしながら、きつそうに男は立ち上がる。
「ほらね……。言ったろ。あのじじいは不死身なのさ。」
「ああ、いてぇいてぇ。くそッ。もう遊びは終わりだ。望み通り殺してやるわ」
そう言って男は剣を上段に構えた。
「ちっ!レオルド!あんたは一番強い魔法を作って待ってなタイミングはあたいが言う!いいね」
「はい!」
俺は大きく返事をして魔法の準備を始める。
お頭は男にさっきと同じように突っ込んだ。
それに合わせ男は上段の剣を振り下ろした。
ガキンッ!!!
甲高い金属音とともに戦いの第二幕が幕をあけた。
すごく遅れてすみません次は急ぎいます。




