14.参戦
[3分前、リヒトを置いた後のレミィ視点]
(くそっ、リヒトがやられた……。ゾフももう満身創痍……レオは……)
後ろを振り返る
そこには呆然と座り込むレオが見える。
(使いものにならねえ……な……)
「ウガァァァァァァァァァァァッ!!」
ゾフは雄たけびをあげながら必死に鬼の攻撃をさばいている。
しかしさばききれず、体中が切り傷でボロボロになっていた。
「ゾフっ!!加勢するよっ!!」
レミィはそう言って鬼のほうに走っていく。
それを横目で確認したゾフは一度完全に攻撃を受け止めそしてそれを大きく上へ弾く。
鬼はさっきよりも確実に大きく体制を崩し、そのタイミングでやってきたレミィが、低い姿勢で鬼のわき腹をナイフで切り裂いた。
今回は鬼もよけることができず、しっかりとわき腹をナイフで切られた。
「よしっ!」
(今回はちゃんと入った!!)
「グウゥ……」
鬼も腹に手を当て少し苦しそうにしている。
「レミィィ!リヒトはだいじょぶかぁ!?」
ゾフはハアハアと息を切らしながら聞いた。
「わかんねえ……!でも息はあった。意識もな。」
「そおぉかぁ……」
ゾフはそれを聞き拳にさらに力を込めている。
「じゃぁぁ、早くしねえとなぁぁ!!行くぞレミィィ!!」
そう言いながらゾフは手負いの鬼に突進していく。
「ああ!」
レミィもそれに続く。
鬼も体制を立て直し同じように太刀を構える。
突進してきたゾフを鬼は冷静に何度も切る。
ゾフは何とか受け止め、そして弾く。
体勢を崩したところにレミィがナイフで攻撃する。
しばらくその攻防が続いた。
浅くはあるがしっかりと鬼にダメージを与えていっていた。
(いける!!)
レミィはそう思っていた。
しかしいきなり均衡は崩れた。
ゾフが鬼の一太刀を同じように弾こうとしたとき、攻撃に耐え切れずゾフが膝をついたのだ。
「グウゥ……!!」
ゾフは苦しそうな声を上げる。
しかしそれも、当たり前のことだった。
力ではゾフのほうが上だが、早さは圧倒的に鬼が上。
刃を何度も体に受けながらしのぎ、刃を止められたタイミングではじく。
それを続けていたゾフのほうがダメージが蓄積しているのは当たり前だった。
だから鬼よりも先に体にガタが来てしまった。
そして、そのすきを鬼も見逃してはいなかった。
鬼はゾフが膝をつくや否や、振り下ろした太刀を構えなおし膝をついたゾフめがけて力よく振り下ろした。
「ゾフッ!!!!!」
レミィは急いで救援に向かう。
しかし間に合わず、ゾフもよけきれずその一太刀を胸からしっかりと受けた。
「グウァァァァァァァッッ……!!!!!!!!」
ゾフは叫び、胸から大きく出血をし、そしてその場に倒れた。
鬼はまた太刀を振りかぶり、ゾフにとどめを刺そうとする。
「くそっおおおおおおおおお!」
レミィは止めるために鬼まで全力で走る。
(くそ!間に合わない……!!ゾフ!!)
「ああああああああ!」
雄たけびをあげ走るレミィ。
しかし届かず鬼の刃が先に当たろうとしていた。
(もうダメだ……)
レミィがそう思った時だった。
「風弾!!」
その声とともに鬼は吹き飛んだ。
そしてそのまま鬼は床に膝をついた。
「俺も戦います!」
そうしてレオが戦いに参戦した。
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「レオ!!」
レミィはうれしそうな顔をして俺の名前を呼んだ。
「状況は?」
「ゾフがやられた……多分まだ息はあると思うけど……」
「もう戦える状況じゃない……か……」
「ああ……」
くそ……思ったより事態は深刻だな……
経験豊富で前で戦闘できるリヒトとゾフが戦闘不能になり、残っているのは経験の少ない俺とレミィ……
2人の頑張りとさっきの風弾で鬼にもダメージはあるけど……
(キッツいな……)
「どうするレオ……?」
レミィもいつになく不安そうに俺に尋ねてくる。
くそっ……
なんか手はないか、考えろ……
レミィに一対一でやり合えるパワーはない。
俺も魔法以外はてんでダメ……
とはいえスピードの早い風弾みたいな初級の魔法じゃ当たるけど火力不足……
かと言って、遠くから中級魔法を撃っても、初級より遅いからよけられるだろう……
打つ手なし……だな……
せめて、動きを止められさえすれば何とかなるんだが……
俺はふとゾフを見た。
そして俺はあることを思いついた。
(あ、思いついた……これなら……)
そんなことをしているうちに鬼も起き上がり体勢を立て直していた。
「レミィ、何とかして10秒足止めしてくれ。俺が中級魔法で吹き飛ばす。」
「わかった、けど当たるのか?」
「何とかする。」
「わかった。」
そうしてレミィは鬼の元へと走っていく。
鬼も太刀を構えレミィに向かっていく。
俺は魔法の準備を始める。
魔力を集め……形作り……
強力なあの風大槍を作り始める。
まずはこれを作ってそれで……
「レオ逃げろっ!!」
突然レミィがそう叫んだ。
鬼が俺のほうに向かってきていたのだ。
迫りくるレミィをよけ、レミィには目もくれず俺の元へ来ていたのだ。
俺のほうが脅威だと判断したのだろう。
まだ、魔法は完成していない。
このままじゃやられる。
しかし俺は逃げなかった。
「レオ!!!」
鬼は太刀を俺に振り下ろした。
俺は全力で後ろに飛び退き。
直撃を回避した。
しかし回避したのもつかの間……
体勢を崩した俺に、構えることなく鬼は突きを繰り出した。
俺は無残にもその刃をよけられず、腹を串刺しにされた。
「っ…はっ……」
「レオ!!」
レミィは絶望した。
刺された、ああ、終わった。
負けた、と。
その時だった。
レオは鬼の腕を思いっきりつかんだ。
鬼は驚き離れようとするがレオににつかまれていて離れられない。
「俺らの……勝ちだ……」
そう言ってレオは刺されながらも鬼の顔にもう片方の手を近づけた。
「火球……」
レオの声とともに鬼の顔は爆発した。
「ァァァァァァ!!!!」
鬼はさすがの痛みに叫び暴れた。
「火球……」
しかしレオは薄れゆく意識の中何度も唱えた。
「火球火球火球火球火球火球火球火球」
宝物庫の中に鬼の悲鳴と爆発音だけが響き渡った。
しかし次第に爆発音だけが聞こえるようになり、そして鬼はその場に倒れた。
そして爆発音も聞こえなくなり、レオも倒れた。
そして、意識を失った。
迷宮編完!!




