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13.鬼

レオたちは宝物庫に入る準備を始めた。

ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


大きな扉は大きな音を立てて開いた。

中に入ると、そこはまさに遺跡……

もともと迷宮自体が自然生成とは思えないくらいのものではあったが、まあ洞窟にも見えなくもないくらいの内装と言われればそうだなという感じだった。


しかし……

(これは、人工物だろ……)

そう思わされるほど、宝物庫は精巧な作りだった。


中の広さは例えるなら体育館くらいの広さで、大きな柱が均等に二列で奥まで立ち並び、床は石レンガ造りのように長い道を作っている。

そしてその奥には一つだけ大きな宝箱が置いてある。

まさに神殿のような見た目であった。


「す……すごい……」

俺は一人、この神秘的な建造物に警戒心もなく呆気に取られていた。


そうして何秒かそのまま呆気にとられあたりを見回し、そこで俺はあることに気づいた。

(あれ?そういえば、宝物庫には遺物(アーティファクト)を守る番人がいるって言ってなかったか?どこにいるんだ?)


そう見渡せど見渡せどどこにもそんな影はないのだ。

(実はいないのか?)


リヒト達はいるって言っていたし、きっとそれは本当だろう。

2人がそんなウソをつく必要はないし、実際2人も異変には気づいているが警戒を解いていない。

でも、やっぱりいないのだほんとに居ないのだ。


そのまま、入ってから1分ほど経過したが物音ひとつ一向に聞こえてこなかった。

(これは、あれだな……)


俺は一つの結論にたどり着いた。

そう、イレギュラーというやつだ。

要するに、きっとあのトロール、あれが番人だったのだろう。

よくは分からないけど、イレギュラーで宝物庫の外にたまたま出てきてしまって、それを倒してしまった。

だから、いないのだ。


「いないですね。リヒトさん。これはきっと……」

俺が気を抜き、そう言おうとした瞬間、俺の体は中に浮き後ろに吹き飛んだ。

リヒトに思いっきり蹴り飛ばされたのである。


(は……?)

俺は壁に当たり背中を強打した。

「ごほっ……ガッ……ぁはっ……いって……」


何が起きたのか理解ができず俺の頭は混乱した。

(な、なにがあったんだ?なんでいきなりリヒトさんに蹴られた……なんで……)


そんなことを考えながら俺のもともといたところを見てみた。

「え……?」


俺は驚愕した。

そこには、うずくまるリヒトと知らない黒い鬼がいたのだ。


大きな太刀を手に持ち、見た目はまさに鬼。

そう鬼がいたのだ。

(な……なんだあれ……)


そしてよく見るとリヒトは足から血を流していた。

いや、それ以上に足がきれいに太ももの途中で切れ、先がなくなっていたのだ。


「ぐああああああああああああああああああああああああ……」

リヒトは大きい声で叫び声をあげた。


そんなことはお構いなしに黒い鬼は太刀を振り上げ、リヒトに振り下ろそうとしていた。


「リヒトっ!!」

「くそォ!!」


それを見たゾフとレミィは急いで鬼に向かっていく。


ゾフはリヒトの前に入り斧でその刃を受け止めはじく。

体制が少し崩れたところに、それに合わせてレミィは手に持ったナイフでわき腹を切りつける。

しかし、体制が崩れながらも鬼は後ろに飛びレミィのナイフをよける。

少しかすったがほぼ無傷で鬼はまた体制を立て直した。


「クソッ……」


そしてまたすぐ鬼は太刀を振り上げこちらに突進してくる。

それをまたゾフが止め。

次はそのままゾフが相手をする。


鬼の動きは素早く、ゾフは遅い。

相性が悪く防戦一方で振り下ろされた刃を斧で防ぐ、それだけが関の山だったが時間稼ぎとしては完ぺきだった。


そのすきにレミィがリヒトを抱え、俺の元まで走ってきた。


来てすぐレミィは、リヒトを俺の元へ降ろし

「レオ!リヒトを頼む。」

そう、一言言い残しレミィは、鬼のほうへと戻っていった。


俺は呆然としていた。


何もできなかったのだ。

油断だった。

実際今も何をしていいかわからずただ茫然と見てることしかできなかった。


(だめだ……何も変わってない……)

俺はあの頃のままだと知った。

気づかされたのだ……


俺は呆然とすることしかできなかった。


「レオ……気を抜くな……」

俺の下からそんな声がした。


見ると、そこには苦しそうにしながらも俺を見るリヒトがいた。


「リヒトさっ……!大丈夫ですかっ……!」

俺はすぐにリヒトに話しかけた。

どうしていいかわからずいきなりのことと、また自分のせいで誰かを失うのではないかという恐怖で、涙をボロボロ流しながら俺はそういった。


「止血を……したい。何か縛れるものをくれないか。」

リヒトはそういった。


俺はすぐさま自分の服を破りリヒトに渡した。

リヒトは慣れた手つきで自分の足を縛り、止血をした。


「これで、いったん大丈夫だ……」

リヒトは尚もつらそうにしながらそう俺に言った。


「すいません……俺のせいで……リヒトさんの足が……」

俺は泣きながら、そう告げた。


「そんなこと言っている暇はないよ……レオ、俺はもう大丈夫だからおまえも戦え。」

リヒトはそう言った。

「でもっ……!どうすればいいかわからないんです。」


俺は自信を無くしていた。

あの時は父を目の前で亡くし、そして今は仲良くなった仲間を亡くしそうになっている。

もうメンタルが戦える状態じゃなかったのだ。


「リヒトさん。俺ダメダメなんです。俺戦えないです。」

俺は思ったそのままを告げた。


「だめだ、お前の力がいる。戦え。」

リヒトはそれでも告げた。


「でもっ……」

(やっぱり俺は弱いんだ。何もできない。俺が戦っても、またどうせ俺の代わりに誰かがまた……)

もう無理なんだ。


「それでも。お前は戦え。お前は強い。だから頼む。助けてくれ。」

リヒトはそんな俺に尚も伝えた。


(だから無理だって!)

もう戦意なんてなくなっていた。


俺はリヒトの問いに無言で答えた。


「頼むよ。レオ」

それでもまっすぐお願いしてくる。


「僕はもうこの足じゃ戦えないんだ。僕は、もう何も失いたくないんだよ……」

リヒトは最後に振り絞るようにそう告げた。


俺、はっとした。

そして鬼と戦う二人を見た。

二人はボロボロになりながら、戦っていた。

明らかに押されていた。


きっとこのままだと俺ら全員殺される。

また失うんだ。

そんなの。

「そんなの俺ももう嫌だ。」


気づくと俺はそう言っていた。

そしてまた決心した。

もう折れない。

何があっても、大切な人を守るために……戦う


「そうか。頼んだよレオ。お前ならできる。大丈夫だ。」

リヒトはそう言って俺に微笑んだ。


俺はすぐさま走り出した。

そして、俺は魔法を唱えた。

もう迷いはなかった。


そうして、本当のボス戦は今始まった。



もう一話!

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