表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/22

プロローグ

一般企業に勤める1人の男 田中篤 27歳は毎日の仕事のストレスで病み今、会社のビルの屋上へとやってきた。

ああ、つかれた。もう疲れてしまった。


毎日毎日同じ時間に起きて準備をするのも、同じ道を歩いて行きたくもない会社に向かうのも。

好きでもなければ恩もない上司に毎日叱られ嫌な気分になるのも。

全部。

もう疲れた。

嫌になった。

だから今日、終わりにするんだ。


そんなことを考えながら一歩足を踏み出してみる。

すると重力にあらがわず体がどんどん下に落ちた。

落ちれば落ちるほど当たり前にどんどん地面は近づいていく。

近づくたびに死が近いことをどんどん意識していく。

でも俺はちっとも怖くはなかった。

もっと怖いと思っていたのに、逆に清々しいくらいに気持ちがよかった。


ああほんとに疲れてたんだなあ。

なんでこうなったんだろうか。

そう思いながら死を待つ。


もし次があるのなら。

本当に来世があるのなら。

次こそはうまくやろう。

楽しく生きよう。


そんなことを考えながら俺の体は地面と激突した。


【27歳 社畜 田中篤】の人生はここで幕を閉じたのであった。


そうして意識が徐々に消えていく。

視界は暗くなり。

何も考えられなくなり、そうして天に昇るのだ。

あー、死んだのか。

行くのは地獄かな、天国かな。

いや、もしかしたらそんな所なんてなくて幽霊になったり、もしかしたら何もならずにただただ意識が消滅するかもしれない。

逆に意識は実は消えずにずっとこの動かない体で、真っ暗な世界で意識だけ残ったまま過ごしていくかも……。

いやそれはないか。

燃やされたら意識もくそもないもんな。

うんうん。


てか、何にしても長くね?なんかずっと暗闇から変わらず意識も途絶えないんですけど。え?まさか、ほんとに意識だけのパターン?

え?うそ。

え?きついって。

真面目に生きてきたつもりなのに死んでもこの仕打ちなんて……

こんなところに一生いるなんていやだ!

まあ、一生も何も死んでいるんだけれども。

ってそれどころじゃないわ。


だれかー

助けてー

このままじゃおかしくなっちゃうよー


「うるさいぞ。」


おーい、だれかー!

って、ん?なんか声がした気が……

いやそんなはずないか

おーい!おーい!


「だから、うるさいと言っている。聞こえぬのか?バカめ」


おい!誰が馬鹿だとー!

俺は馬鹿じゃない!この状況ならみんなこうなる!

普通だ!


ん?って、やっぱり誰かいる?


「さっきからいるであろうが、バカめ。いや、阿呆のまちがえか」


やっぱり誰かいるみたいだ。

誰なんだ。

誰かいるってことはここは何なんだ。

意識だけ残った体の中じゃなかったのか?

何か知ってるなら教えてくれよ。なあ。


「我は何もしらぬ。逆になぜ我以外の者がここにいるのか知りたいくらいだ。お前は何者だ?何をしに来た?」


何をしにって……俺はただ死んで、気が付いたらここにいただけで……別に何をしに来たってわけでも……


「ほう。死んだらここに……たまたま迷い込んでしまったわけか。はたまた我と同じく封じられたか……どちらにしろ助けではないわけだな。」


なんだよ封じられたって

そんな漫画みたいな。

中二病でもあるまいし、そんなことあるわけないだろ。


「希望ではなかったか……さてどうしたものか……ん?漫画...!おい!お前今漫画といったか?」


ん?ああ。

うん。漫画って言ったけど。

さすがに知ってるでしょ?同じ日本人なんだし。

え?それとも他の国の人だった?

あー!確かにそれなら納得だな!海外の人ってアニメ好きな人多いもんな!


「日本人...!そして漫画、か…もしやとは思っておったがやはり…」


おーい!聞いてる?

海外の人かって聞いてるんだけど?

それにもしやって?やはりって?


「お前、異世界人だな?」


異世界人?いやいやただの日本人だけど…


「だから異世界人だと言っている。異世界人の転移者はみな口をそろえてそう言っておった。」


いやだから、異世界人なんかじゃないって!

そもそも異世界ってなんだよ。

そんなのないって漫画でもないんだから!


「いや、異世界人で間違いない。お前はこの世界【ユートフィア】の人間ではないだろう?」


異世界?【ユートフィア】?なんだそれ。

ほんとに日本じゃないって?

そんな馬鹿な。


「そうか、なるほど。死後の魂がこの世界にどういうわけか迷い込んでしまったわけか…。偶然とはいえ世界を渡ってしまうというイレギュラー、魂が輪廻ではなくここに流れ着いてしまったというわけか。」


さっきから何を一人で言っているんだ?

世界を渡る?輪廻?

そんな馬鹿な。


「物わかりの悪い奴だな。だが、それならば使える。役に立つ。可能性が見えたのだ。異世界人よ。力を貸してくれ。」


可能性?力を貸せ?

ほんとに一体何なんだ。

それになんでお前に力を貸さなきゃいけない?

赤の他人のお前になぜ俺が力を貸すんだ?

とりあえず他のやつがいることで意識があるのはわかったんだ。

死んでたとしてもどうにかしてここを出れば生き返れるかもしれない。

なら俺は落ち着いてから出口を探してここを出る。

自力でやる。

もう誰かの下になんかつかない。


「本当に馬鹿な男だ。」


うるさい!

独り言の多いおかしな奴の言うことを聞くほうが馬鹿だと思うけどな!


思い通りになると思うなよ!


「ならば、勝手にしろ。だがまずどう頑張ってもお前はここから出ることはできない。万が一出れたとしてもお前は輪廻には混じれず魂は消滅するだろう。それでもいいのなら勝手にするがいい。」


待てどういうことだ?

俺じゃ出れない?消滅?

おい!説明しろ!


「まずこの空間には出口がない。どこまでも続く空間だからな。だから出ることはできない。」


どこまでも続く無限の空間…うそだろ…。


「残念ながら本当だ。見て確かめた。そして万が一出れたとしてもお前の魂は輪廻に混ざれず消滅する。なぜなら、お前は異世界人であるからだ。」


それはなんでだ?

俺以外にも異世界人はいるんだろ?

なら可能なんじゃないのか?


「いいや、不可能だ。確かに他の異世界人はいる。だが奴らは転移者だ。お前とは違い偶然ではなく故意的に召喚された者たち。だから彼らは消滅せずにこちらにくることができる」


それはなんでだ?

偶然か故意かだけの違いだろ?

出身が一緒なら関係ないんじゃないのか?


「いいや関係ある。召喚される場合、術者が召喚する相手の魂と肉体の形をこの世界に適合できるよう召喚時に変更する。だから転移者は消滅することはない。」


なるほど…

でも、もしかしたら消滅することなく輪廻に混ざる方法が何かあるかもしれないじゃないか。

あきらめなければきっと。


「それでも良いが、そんな猶予はないと思うがな。」


なぜだ?


「何度も言うがお前は異世界人、この世界の人間ではない。輪廻に限らず、この世界にお前の魂は適合していない、言うなれば異物だ。そんな異物を世界が許すと思うか?」


それは……


「お前の魂は遠くないうちに徐々に消滅していき、輪廻にも混ざれず次の生もない。本当の死を迎えることになろう。」


くそ、うそだろ。

せっかく次があったかもしれないのに…次こそはって…

くそ、もうどうしようもないのか。


「どうしようもなければ協力しろなどと言うわけがなかろう馬鹿め。」


なにか方法があるのか…?


「ある。お前をこの世界に順応させ、この【ユートフィア】で生きさせる方法が我にならできる。」


マジか。

それはどんな方法なんだ?

教えてくれ!


「転生だ。」


転生?


「そうだ。我の力でお前の魂の形を変え新たな体に転生をさせる。」


そんなことができるのか?


「できる。我に協力するならの話だがな。」


誰かの下で働くのはいやだが、背に腹は変えられないからな。

でも一つ聞きたい。

協力って一体何をすればいいんだ?


「お前にやってもらうことはただ一つ。憎きあの竜どもを見つけ我の封印を解く。それだけだ。」


竜?

お前を封印したのは竜なのか?



「そうだ。そしてこの世界の敵でもある。まあ行けばある程度は理解するだろう。」


そうなのか…

俺で相手になるのか?

俺は普通のサラリーマンだぞ?


「まあ普通人間では相手にならんだろうな」


ならどうすればいいんだよ?

それじゃあ転生しても意味ないじゃないか。


「バカめ。だから我の力を少し渡し転生させる。まずはその力とともに自分を鍛え最強になれ。そして我の封印を解け。」


むりげーだな。

竜と戦うならば生き返れるなんて。

とんだブラック企業だ。

最悪だ。

でも、やるよ。

それでも俺は生きたい。

少しでも今回は今回こそはうまくやって楽しく生きるんだ!


「ふん。良い判断だ。協力さえしてくれれば後は好きにして構わん。頼むぞ。異世界人。」


ああ。任せてくれ。

えっと。

今更だがお前は誰だ?


「我は人間だ。ただ最初にこの世界に生まれただけの人間だ。」


ほう…

ってそんなことじゃなく名前だよ!

知らないと目的にも差し支えるだろ?


「そうか。そうだな。私は【エルクトゥス】だ。」


【エルクトゥス】か。

俺は【田中 篤】だ。

よろしく。


「ああ。頼んだぞ。田中篤」


任せといてくれ!


大変なことになったし、また上司はいるけど。

今回は恩もある。

だから絶対にやり遂げて今回こそは、うまくやって絶対に楽しく生きてやる!


そう思ったと同時に光に包まれた。


そうして俺は、新しい生を受けた。











初めての作品で言葉のおかしいところも多々あると思いますが、温かく見ていていただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ