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ある朝  作者: いづる
4/5

外伝ー我が子への想い

空は澄み切ったように青い


そんな事さえ


今の私達にはどうでもよく思えた。 




6年前のあの交通事故が


私たち家族を変えてしまった。




(一人娘のリリカはもう帰って来ない‥)


その想いが頭の片隅にこびりついて離れない。


でも最初からそう思っていたわけではなく、


いつの日にか目を開けて満面の笑みで呼んでくれる日を願っていた。




(ママ!!ってね、、)




でもその度に目の前の現実に落胆する。


我が子は寝てるだけに見えるのに6年間ずっと起きることはない。


(生きている事自体、奇跡に近いことだとわかっている。でもあらぬ期待をしてしまう)




「もう、心身共につかれた‥」




寝てるだけの娘には多額の医療費がかかる。


金銭的にも辛く苦しい




それでも、尿や便の匂いを感じる度に


自分に言い聞かせることしか出来なかった。




(諦めないで、ママ)というように、年月とともに身体は年々と成長をつづけている。それが余計に胸をしめつける。




周りの母親を羨んだ、




(どうして私の子だけ!?)




嫉妬に狂いそうな時もあった。


でも心のどこかでは、


そう。奇跡が起きてくれることを信じていた。




我が子が植物人間になるという形でも、希望は簡単に捨てられるようなことではない。夫と話し合った末、リリカの部屋はそのままでリリカが生活しているかのように振る舞った。




神様は残酷です。


10歳ーまだまだ幼さが残る我が子がなぜ!?


言葉にできない感情が込み上げてくる。






「あなた、朝よー」


リリカのいない朝が日常的になってから、朝早くから夜遅くまで二人とも働きづめである。


ロボットのように、日常をこなしている。




そんな私たちを見透かしたように担当医は、安楽死を提案する。


何をばかなことを。


可愛い我が子。


まだ生きているリリカを、見捨てることなんてできるわけないと涙ながらに訴えていた。




それでも、夫の疲れきった様子が鏡のように感じられる頃。


どちらかともなく、安楽死の言葉が出てくる。




3人であの世であえるかも、ふとそんな考えが二人の頭をよぎった頃…。

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