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ある朝  作者: いづる
2/5

リリカは何も悪いことをしてないよ

ある朝


その朝は妙だった。


(今、何時?少し寝過ごしたかも)


と 感じるほど薄暗く 


カーテンの隙間から差し込む強い光もなかった。肌寒さを覚えるほど体感温度も低く


いつもと違うと感じた。



どんより曇っているのだろうか?


それとリンクしたように


我が家の雰囲気はいつもとは違った。


(勘違いであってほしい)


その違和感を感じた理由は


ママが作った卵焼きの匂いや


コーヒーの匂いも、食器の音すら聞こえず


私は一人寂しさを覚えた。


まさか、、、



私の脳内に昨日の出来事がよぎる。



私は聞いてしまった。


父のトーンが沈んだ


ただいまという小さな声と


同時に何時だと思ってんのよ。


というママの怒鳴り声を、



昨日のパパはいつも以上に


帰りが遅かったらしい。



しばらくの静寂が終わると


時の経過と共に


言い争う声も必然的にエスカートしていき、


色々な音がそれに入り混じっていく。



ママのすすり泣く音


それを遮るパパの怒鳴り声


部分的な会話の端々


(当然、いつまでも聞いていたいものではなく。できれば聞きたくなかった)



そんな願いと裏腹に


パパとママの声が私の耳にはっきり届く。


「私だって、疲れているわ。あなただけじゃないのに、あなたは酒で誤魔化せていいわね!」


(もうやめてママ)


「僕だって、努力しているんだ。家族のために」


(聞きたくない)


今までは私のそばでは、


喧嘩もした事なかったのに、、


今まで聞いたことのないバシンという


ママを引っ叩いたような音が、部屋中に響き渡る。



(ねぇ、どうして)


その後も騒がしい声が耳をつん裂く。


(こんなことになったのは私のせいなの?私何も悪い事してないよ?)



その瞬間


彼女の中に優しかった両親との思い出が崩れこんできて、


雫が頬を伝う。


彼女は怒りや悲しみというどうしようもない感情を、


どこにもぶつけることが出来ないもどかしさを抱いたが、


当然。何もできなかった。


唯一できた事といえば


その恐怖から目を背け、くまさん柄の布団を頭からすっぽり被り隠れることだが、心臓のドクンドクンという動悸だけは隠せず彼女の少ないながらの抵抗に変わる。


両親の口調は優しかった頃と比べると


真逆という言葉が相応しかった。



そして、また睡魔に誘われ意識が遠のいていく。

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