エピソード4 エリーゼ姫
魔王城・地下牢
魔王城の中、その中で人間たちを地下牢に閉じ込めている。
だが、魔王エヴォルの方針により、人間だからといって不当な扱い、そして奴隷のようなことをすることを許していない。
それに関してはかなり不満因子があるらしいが、それは四天王、魔王の側近達などの魔王至上主義の存在達の手によって消している。
そして、魔王は何も人間が全て大切にしているわけではないのだ。
前世でのとある一件によって《一部の人間以外》全て敵という認識になっている。
エヴォルは魔王に転生したのは、偶然ではなく、必然だと考えている。
エヴォルは地下牢の方に向かっていく。
そして、一つの牢の前に立つと……
「我に話とはなんだ?
セレスタイト王国王女・エリーゼ姫よ」
──────さて、俺になんのようなんだ?
この世界の人間の醜さはよくわかっているつもりだ……
その姫君は俺になんの話をする気だ?
命声か?泣き事か?それとも俺に対する罵詈雑言か?
どれも俺にとってはどうでもいいことだ。
《前世》とはいえ、俺の大切なものを奪っていった人間らを……苦しんでいる人を見捨てるような貴族共を………俺は……!!
エヴォルは怒りの表情を隠すことなく、姫君を見る。
しかし、姫君……エリーゼは何も言わず、怯えずに微笑みながらエヴォルを見ている。
「貴方は……人間に対する慈しみと、怒りをいつも感じているのですね……」
「!!!!!?
何を言っているのだ?我が人間を慈しむ?何をばかな……」
「貴方が憎んでいる人間の特徴は理解があります。
貴方が滅ぼしてきた王国は全て《人を人とは思っていないような》クズが多かったと父上より聞いておりました。
そして、なぜか、被害者となっていた国民達は逃したり、隣国近くに捨てていたとも伺っております。」
「偶然だ。何を根拠にそんな────」
「何よりの証拠としては家臣に殺されそうになっていた私を攫ったと称して逃がしております。」
なんなんだ……この子は……まるで俺が善意で助けているかのような言い方じゃないか……
俺はそんなつもりで助けてなんかいない……
たまたま偶然そうなったに過ぎない……人と違うだけで理解も話も聞こうとしないクズ共なんかどうなったって構いやしないんだ……!!
エヴォルが何を思っているのか理解しているのかわからないがエリーゼ姫は微笑みながらいった。
「私が貴方をここに呼んで話しをしたかったのには理由があるのです。
現状、このまま人間と魔物達が戦争を繰り返していったら、いつか共倒れになることは明確です。」
「それがなんだ?
まさか、戦争をやめろと申すのか?我らとの会談を無視し、攻撃してきた貴様ら人間が……!!」
「いいえ、私のお願いそれは……私を魔王軍の参謀にして欲しいのです!!」
………………………
はっ?
はあああああああああああ!!?
何いってんの何いってんの!!!?目の前の王女さん何いっちゃってんの!!?
人間が何魔王軍の参謀になろうとしているわけ!!?
おかげで色々と警戒していた俺がバカみたいじゃん!!
「………なぜ、人間の貴様が魔王軍に手をかそうという気になったのだ?」
「簡単です……エヴォル様の考え方が良いというのもありますが……
まず、現状の腐った政治を破壊するところから始めようかと!!」
何この姫様怖い……超怖いんだけど……
そのために人間裏切るとか考え方が超やばい………
「腐った政治と王族貴族を廃止し、何よりも、民衆を守ることこそが大事なのです!!
保身を守るだけの貴族王族なんて全て壊すだけですわ!!
貴族と王族が人間社会を壊すぐらいなら私が壊し、民主主義の時代を作り上げるのです!!」
ゴオオオっと背後から炎のようなもの感じさせるエリーゼ姫
そして、段々とテンションが高まっているのか……
「平民達は王族や貴族が羨ましいとおっしゃっておりますが、それは何も知らないワガママ娘達だけの話です!!
窮屈なお勉強、お稽古、政治について、社交界でのうるさい貴族のボンボン達のご機嫌を伺う!!
そんな人生なんて糞食らえです!!」
エリーゼはそう拳を握りしめてそういった。
そして、元平民で、前世では普通の人生を送ってきた魔王エヴォルは思った
「(超リアルなお姫様の苦悩を今聞いている俺って一体なんなんだ……?)」
エリーゼというよりもお姫様と貴族のお嬢様の裏事情を嫌でも理解してしまった。
「魔王様は人間の王族貴族を甘く見過ぎです!!
魔族や魔物ではそうそうおきないことでしょうが、人間とは欲深さだけでいえば、世界一なのですから!!」
「いや、それはわかっているつもりだ……だが、貴様は本当に人間なのか……?」
エヴォルはエリーゼを人間の振りをした魔族ではないかと思ってしまっていた。
(かなり失礼ではある……)
「では魔王様、私を魔王軍の参謀にする件、考えておいてくださいまし
それと…私がなぜこんなことを考えているのかは、《隣国》の《ガーネスト公国》に行ってみてください
なぜ、私がこう考えていたのかすぐにわかることになりますから」
エヴォルは何も言わずにそのまま牢獄から出ていった。
階段を上がっていくと
「魔王閣下様……」
「ガルムか……」
現れた存在は《魔王四天王・鬼人のガルム》だった。
「あの人間の姫はなんと?」
「世迷言ばかりだ……だが、今の人間の状況は我らが思っているのとは違うのかもしれないな……
近いうちに人間社会に調査に行くとしよう……」
エヴォルは何を思っていたのかそう呟く意味がガルムや他の魔王達もわからないでいた。
今日はシリアスとギャグの二つでした
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