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序話 希代の悪女メリッサ(2)

 フリンゲールの王家主催の晩餐会に出ていた王女アリシアと聖女ユーリスの娘で、ノースウェル伯爵令嬢シェリルは、宮殿の広間でダンスが始まるやいなや、広間から離れバルコニーに出た。

 

 アリシアは、開口一番

「全くうちのお父さん様と来たら信じられないわ」

と憤慨して言った。

 フリンゲールの国王ノア14世は、今迄仕えていた聖女ユーリスを解任して、その地位にメリッサを据えただけでなく、宮殿の控え室までユーリスから奪い、メリッサに与えてしまったのだ。

 国王の側付きとして常に控えていた聖女ユーリスは、任を解かれてからというもの、ノースウェル領の屋敷に戻ってしまい、滅多に王家に出廷しなくなった。

 

「でもそのお陰で母は常に屋敷に居るので、思いっきり母に甘える事が出来るの。悪い事ばかりじゃないわ、アリシア」

とシェリルは言った。

「まあ」と大袈裟にアリシアは目を見開いて、

「その代わり私は、母親代わりに甘えさせてもらえる人を失ってしまったわ」

と芝居じみた喋りと手振りを交えて「よよよ」と嘆いてみせた。

 母親である聖女ユーリスが屋敷に戻ってからというもの、シェリル自体も宮殿に顔を出す回数が減ってしまった。

 親友の訪問が減ってしまった事の方がアリシアは堪えていた。

 王女という立場上、アリシアの周りにはおべんちゃらしか言わない貴族が群がる事が多い。

心を許せる親友がどれだけ大切であるか、しみじみ思い知った。

「あら、御免なさい。あなたの大事な人を私が独占してしまって」

「いいのよ……その代わり来月のユーリス様のお誕生日会には私を招待して頂戴。絶対よ」

「あら勿論よ、アリシア」

 二人は、固く両手を握り合い、そして笑いあった。


だが……この約束は果たされる事がないのだ

 

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