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序話 希代の悪女メリッサ
黒いフードを被った祈祷師の周りから光のオーラが放たれる。
宮殿の謁見の間で、その様子を見ていた貴族達からどよめきが上がる。
光の輪の中に包まれたフリンゲールのノア王は、感嘆の声を上げた。
「素晴らしい、そなたこそ真の聖女よ、メリッサ」
「有り難きお言葉でございます、陛下。これからも私はフリンゲール…いえ陛下御身のために微力ながらも力を発揮したいと存じます。どのような陛下のご命令にも馳せ参じますれば、どうかお見知り置きを」
「よくぞ申してくれた。世は深く感激した。これからは世の宮殿に住まい、世の側近として使えるがよい」
こうしてただの一介の祈祷師に過ぎなかったメリッサは、フリンゲールのノア王のお気に入りとしてフリンゲールに君臨するのだ。
やがて影の女王とまで呼ばれ、フリンゲールを腐敗させていく希代の悪女としてその名を残す事になるのだった。