4 キラキラしている
僕は毎日、ニンゲンのところに食べ物を持っていった。
友達には心配されたし、手伝ってって言ったら嫌だって言われたけど、僕はやめなかった。だってあの子がすごく嬉しそうだったから。
森の精霊には注意された。
「人間には人間の生き方や役割がある。人間は世界と、自分たち人間という種族を発展させなければいけないのだ。この世界の食べものがすぐに悪くなるのにもちゃんと意味がある。それは新しいものを生み出すためだ。古いものがいつまでもたくさんあるようだと、新しいものが生まれて来ない。食べ物だけでなく、道具や考え方もそうだ。人間は、この限られた世界の中で、より良いもの、素晴らしいものを生み出していくために存在しているのだよ」
なんかそんなことを言っていたけど、やってはいけないとは言われなかった。
ただ、よく考えなさいと言われただけだった。
でも思うんだ。ぼくらの世界には食べるものがいっぱいある。だったらあの子に分けてあげるくらい別にいいだろ、って。
あの子は僕たちの食べ物を食べて元気になって、前よりよく笑うようになった。
僕は、他のニンゲンをいっぱい見て、なんであの子が気になるのか分かるようになった。
あの子は他のニンゲンと違って光って見える。
他のニンゲンは灰色だったり、色が付いていたりするけれど、あの子はキラキラ光っている。
光っているのはあの子だけで、僕はニンゲンの中であの子が1番、特別に好きだった。




