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3 片方の手のひら
僕はそれから毎日ニンゲンの家に行った。
だんだん、ちょうちょと同じぐらい可愛く思えてきたから不思議だ。
特に1番ちっちゃいニンゲンはすぐ転んですぐ泣いて、あとはずっと寝ている。歩くのが上手くないのは、きっと生まれてからそんなにたっていないからだ。ニンゲンは大きくなるのに時間がかかるって聞いたことがある。やっぱりニンゲンは大変だ。
僕らの国の食べ物を分けてあげたくて両手にいっぱい持ってニンゲンの家に行ってみた。
でも、僕の両手いっぱいはニンゲンの片方の手のひらに乗るくらいだった。
僕はニンゲンの女の子のエプロンのポケットに、持ってきた食べ物をこっそり入れておいた。
ニンゲンの女の子は最初、不思議そうにして、一口食べてみてびっくりしていた。
それも当然、僕らの食べ物はものすごく美味しいのだ!
僕は嬉しくなって、宙返りでくるりと回った。
ニンゲンは、それをみんなで分けて食べた。
片方の手のひらに乗るくらいのそれを。
キミにあげたんだぞ、って思ったけど、ニンゲンはすごく嬉しそうだったから、まあいいかなって思った。




