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5回目 以前とは違うのだよ、多分きっとおそらくは

 嘆いていても始まらない。

 人も物も黙っていて集まるものではない。

 とにかくそれらを揃えていかねばならなくなった。

「また旅団作りか…………」

 懐かしさを少々、それに伴う面倒くささを多大に思い出す。



 ソウジロウはこの町に来て、自分で旅団を立ち上げた。

 と言っても、理由は残念で情けないものだ。

 仲間に入れてくれる旅団が無かった。

 ずぶの新人だった事もある。

 だがそれ以上にソウジロウが学んだ流派が懸念対象になった。



(まったく……)

 思い出したくも無い事を振り返る。

 理由は分かるが、そこまで忌避する事も無いだろうにと。

 いまだに腹が立つ出来事だった。



 そのせいでこの町に来たばかりの者達と組む事になった。

 それがヨシフサ達だ。

 それから数年、なんとか今までやってきたのだが。

 結果はこれである。



 だが、今はその頃とは違う。

 何をどうすればいいのかは分かってる。

 伊達に迷宮探索者を続けてきたわけではない。

 探索だけでなく、その周辺の様々な事も見聞きしている。

 以前よりは手際よくやれるはずだった。



(やるか)

 気持ちを新たに、迷宮探索に臨んでいく。

 その第一歩。

 人捜しに向かっていった。



 迷宮探索に向かうのに、明確な資格が必要なわけではない。

 極端な話、その気があるならそのまま入っていく事が出来る。

 一応、入り口には中にいる化け物対策で警備施設はあるが。

 それも人の出入りを阻害するわけではない。

 お尋ね者なら話は別だが。



 しかし、探索の便宜を図るなら、やっておいた方がよい事がある。

 探索者協会というものへの登録だ。

 これは探索者への便宜提供を基幹にした商売だ。

 登録者同士で仲間を引き合わせたり、探索者に変わって様々な装備品を揃えたりする。

 探索者から得た情報を提供したりもする。

 また、治療者をそろえて大きな怪我の治療などにも対応している。

 更に宿屋などの日常生活で必要な施設を運営したりもしている。



 この探索者協会、様々な者達が運営している。

 個人から法人まで、規模も様々だ。

 探索者の利便を図るという点において事業内容は共通する。

 しかし、細かなところで差が出ている。



 大きな所は便利なサービスが揃っている。

 しかし、それだけに会員費も高い。

 逆に会員費は安いが、サービスもほどほどな所もある。

 どこを利用するかは探索者の懐具合次第となっている。

 ただ、探索者の多くは規模が大きく有名なところに所属したいと思ってる。

 得られるサービスが違ってくるからだ。



 ソウジロウもそこそこ大きな協会に所属していた。

 しかし、これからはそうもいかなくなる。

 収入が減るのは目に見えてるので、会員費が払えなくなる。

 嫌でも安い協会を利用するしかなくなる。

 となれば、得られる便宜も相応のものになってしまう。



 普通に考えればこれは良いことでは無いだろう。

 しかしソウジロウは、それはそれで利用しがいがあると考えていた。



 そうして向かうは町の外縁部。

 中小規模の探索者協会が集まってる地区だ。

 その中でも、特に注目してる協会があった。

 リストラを予感して事前に情報を集めて知った所だ。



 この際、協会の規模や便宜はどうでもよかった。

 無能では困るが、何より大事なのはただ一つ。

 正直で誠実であること。

(まーた切られたらたまったもんじゃねえからな)

 今の今までやってきた仲間に切られたのだ。

 そんな事をしないような所であればどこでもよかった。



 そんなソウジロウの目にとまった協会である。

 そこは今にも潰れそうなほど閑古鳥がないていた。


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