40回目 その頃、彼らは 7
ヨシフサだけが活躍してるわけではない。
傍にいる者たちだっている。
彼らはただ脇役になってるわけではない。
それぞれの場所で主役をはっている。
ヨシフサが通過させた化け物は、トシタカが処分していく。
そのほとんどが傷を負ってるので、倒すのにさほど苦労はしない。
相羽流の鋭い太刀ならば、ほぼ確実に絶命させることが出来る。
比較的地味ではあるが、これでほぼ全ての敵が倒れていく。
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『抜刀術』
鞘に収まった状態から瞬時に敵を切る手段。
その応用で素早く攻撃を繰り出すことも可能。
技術修正の分だけ攻撃命中が上昇。
<< 以上、機能情報 >>
この段階で欲しいのは、確実に敵をたおす事。
そのために、絶対に外さない命中が求められる。
相羽流の剣技はそれを可能とする。
だからこそ、最後の始末はトシタカがつけていく。
そんなヨシフサとトシタカの間に新規加入者が入っていく。
あえて漏らした敵であるが、出来るなら足止めはしておきたい。
そのために、壁になる者が必要になる。
それらが足止めしてる間に、トシタカが片付けていく。
これはヨシフサたち独自の戦術というわけではない。
探索者の間では基本的な戦い方になる。
基本的な陣形と言ってもよい。
ソウジロウのように、止めを刺す役の後ろにいるほうが例外なのだ。
だからこそ、ヨシフサたちはソウジロウに前に出るように求めていた。
ただ、ソウジロウはそれを受け入れることはなかった。
頑として後方に位置していた。
確かにそこにいれば、どうしても漏れる化け物も倒せるが。
それはトシタカのような確実に攻撃を当てられる者がやればよい。
ヨシフサたちからしてみれば、ソウジロウは基本を乱す問題児である。
おかげで作戦は思うようにいかない。
基本から外れてるから、立ち回りも考えねばならない。
余計な手間をかけさせられてきた。
ここに来て、ようやく一般的なやり方が出来るようになった。
それがヨシフサ達にはありがたい。
定番通りというのは、様々な試練を経て研ぎ澄まされたものである。
面白みはないかもしれないが、無駄や無理もない。
最も効率が良いのが基本であり定番なのだ。
そうであるから、定番や基本になったとも言える。
実戦で試され、修正や訂正をほどこされ。
そうして生き残ってきたものである。
仇やおろそかに出来るものではない。
(だから)
だからこそ、完成形で戦うことが出来る。
あるべき本来の姿で。
能力を十全に使える状態で。
(これで、更に前に進む!)
気合を入れてヨシフサは刀をふるっていった。




