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34回目 悲しき弱小団体、それでも活動を続けられてるのだから幸せなのだろうか

「思い当たる連中にも声はかけてる」

「へえ……」

 意外な話である。

 そんな者がいるとは思わなかった。

「どういう人なんですか?」

「俺と同じ流派」

 それだけで他の者はすぐに納得した。



 ソウジロウが身に付けた流派、神伝流。

 それはかなり不遇な扱いを受けてるものだった。

 実際にはかなり使える技術を伝えているのだが。

 いかんせん、世間の評判が悪い。

 そのため、神伝流の使い手は探索者の間で不遇な扱いを受けていた。



「そういう連中なら、捕まえやすいと思ったんだよ」

「捕まえるって……犬やネコじゃないんですから」

「でもまあ、くすぶってる奴はいるはずだから」

「それはそうでしょうけど」

 むしろ、身の置き所がない者が多いはずである。



 成長すれば使えるようになる神伝流。

 しかし、それまでは防御に特化した戦い方をする。

 そういった者達を主戦力にするのは難しい。

 弓や霊気術により、後方から攻撃が主力ならともかく。



「だから、余ってるとは思うんだよね」

「まあ、いるでしょうね」

 どこにも入れないでいる者たちは、それなりにいるはずだ。

「そういうのを確保出来ればなって思うんだよ」

 とりあえず頭数は確保できそうではある。



「あと、町外れの連中。

 あいつらにも声をかけてもらってる」

 元は探索者だった者達である。

 意外なところに伝手があったりする。

 それを期待して、人を集めてもらうよう頼んではいた。



「その上でお願いなんだが」

「なんですか?」

 そう言われて、そろそろ新人を脱却しようとしてる旅団員達が身構える。

 何か無茶を言われるのではないかと。

「お前らの田舎にさ、探索者やりたいっていう奴がいたらつれてきてくれ」

「それなら、まあ、やりますけど」

 そこまで無茶な話ではなくて、誰もがほっとした。



 何にしても、人を増やしたいのは確かだった。

 この先に進むためには、どうしても頭数が必要だった。

 人が増えることでの問題も出てくるだろう。

 だが、基本的な戦力増強をはかるなら、人数を増やさなければならない。



「どうにかして、人を増やさないと」

 人間性に問題がなければそれでいいと思う。

 技術がないくらいなら、おぼえさせればいい。

 能力も、極端に低くないならどうにかなるかもしれない。

 だが、人がいないというのはどうにもならない。



「使える奴がきてくれないかな」

 贅沢を口にしながら、やる事をやっていく。

 いつか成果があがると信じて。



 それでも大過なく日々は過ぎていき。

 ソウジロウが樫山探索者協会に来て三ヶ月が経とうとしていた。

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