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よーし、出ていってやる ~使えないと言われ追放されたが、こちらからお断りだ、お前らなんざもう知らん、これからは能力は低くてももっと素直な連中と一緒に上手くやっていく、戻ってこいと言われても、もう遅い~  作者: よぎそーと
2章 再びここから始める迷宮探索、しかし遠回りになるのは悲しい

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33回目 探索自体は順調でも、別の部分に問題が出てくる

 決して安穏とは出来ない日々である。

 新人達は成長し、戦力として戦線を支えるようになる。

 生活も経験値も安定してきている。

 それでも、楽観はなかなか出来ない。



 成長してるといっても、まだまだレベルは低い。

 迷宮の入り口付近の雑魚ならよいのだが。

 少し強い敵が出てくると、途端に対抗するのが難しくなる。

 まだ最底辺を抜け出しただけ。

 迷宮で生き抜くには、もう少し強くならねばならない。



 また、稼ぎもある程度のところで頭打ちになる。

 倒せる化け物に限界があるからしょうがない。

 複数の敵を一気に殲滅できるならともかく。

 それが出来るほど強力な攻撃手段は、今のところはない。



 化け物の出現する数にも限りがある。

 定期的に決まった数が来るわけではない。

 呼び込むための香を焚いても、それで全て上手くいくわけではない。

 近づいてくるのは確かだが、時間や数の指定が出来るわけではない。

 いつ、どのくらいの数が来るのかは、そのとき次第だ。



 この為、どうしても揺らぎが発生してしまう。

 短い間隔で大量にやってくる事もある。

 時間が経ってもそれほど来ないこともある。

 このばらつきが、稼ぎの安定を阻む要員にもなる。



 無尽蔵にやってこられても困る。

 できれば無理の無い間隔で。

 手に負える範囲でやってきて欲しい。

 勝手な願いである。

 だが、これがソウジロウをはじめとした探索者の望みである。



 そんな都合の良い話があるわけもなく。

 ソウジロウたちの稼ぎは頭打ちになっていた。



「どうにかしないとな」

 地下迷宮から帰ってきて、新人達とそんな事を話す。

 それは会議や相談というよりは、愚痴やぼやきの言い合いだったが。

 とりあえず現状の問題を口にして、解決さくを求めようとはしている。

 それだけは生産的で前向きだった。



「でも、どうすりゃいいんですか?」

 新人としてもどうにかしたい。

 だが、どうすりゃいいのかなんて分かるわけがない。

 だから、話が前に進まない。

 もっとも、

「解決策は、一応ある」

 ソウジロウも伊達に人生と探索者生活を続けてきたわけではない。



「まずは、もっと強くなって、もっと強い化け物を倒す」

 手段の一つとしてはそれほど悪くは無い。

 ただ、時間がかかるのが難点だった。

 現状では、どんなに頑張ってもかなりの時間が必要になる。



「あとは、人を増やす」

 まだしも現実的なのはこちらだろう。

「でも、うちに来てくれる人なんていますか?」

「いないだろうなあ」

 この問題を解決できるなら。



 悲しいほどに弱小の協会である。

 そこに所属するソウジロウ達も、旅団としては無名だ。

 少しは功績でもあれば良いのだが、そんなものなど無い。

 樫山協会長があちこちで声をかけているらしいのだが。

 成果はあがってない。



 好んで弱小に所属したがる者はいない。

 たいていは大手に向かう。

 そちらの方が色々と有利だからだ。

 少なくとも弱小で無駄な苦労をする必要は無い。



 それでも弱小にやってくるのは、それなりの訳アリだ。

 人格・性格などに問題があるか。

 能力が極端に低いか。

 犯罪歴などがある後ろ暗いものか。

 そういう連中くらいしかいない。

 現在、所属探索者15人の樫山探索者協会のようなところに来るのは。



「それなりにまともなのが入ってきてもな」

「問題でも?」

「最悪、技術とかがなかった場合も考えておかないと」

「まあ、それは」

「だから、経験値用の霊気玉を確保しておきたい。

 成長がすぐ出来るくらいには」

「…………ああ、なるほど」



 迷宮につれていくなら、それくらいの下準備はしておきたかった。

 ある程度の研鑽を積んできた者達であってもだ。

 底上げが出来るならしておきたい。

 そうしておけば、より強力な戦力になってくれる。



「それに、本当に何も出来ない奴も入れる事が出来る。

 すぐに戦力になるからな」

「それで経験値ですか」

 手元にあれば、それを使ってすぐに成長させられる。

 武術や霊気術、偵察方法や野外活動能力などがなくてもだ。

「新人募集の幅を広げることが出来る」



 それもまた、ソウジロウが狙ってることだ。

 本当の意味での初心者を抱える。

 それでも問題なく戦力に出来る。

 そういう状態になればいいと。



「皆のおかげで霊気玉は結構たまってきてる。

 これなら、素人でもどうにかなる。

 一番必要なやる気があればな」

「まあ、確かに」

 何はなくとも本人の意思が重要になる。



 何をやるにしても。

 やってる事を完遂するにも。

 能力や技術や道具など。

 そういったものも確かに必要だ。

 だが、そういったものがどれだけあっても、人がやる気にならねば意味がない。



 そして、気持ちというのは他の者がどうにかできるものではない。

 本人が抱いてるかどうかだ。

 無い者はどうあっても抱くことは無い。

 だからこそ、やる気のある者が欲しかった。



 ただ、気持ちがあっても技術がないという者もいる。

 そうした者達を引き込むためにも、経験値が必要だった。

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