29回目 能力と技術の組み合わせがもたらす姿
技術だけではない。
ソウジロウの能力もかなりのものである。
これもまた、隔絶した戦闘力につながっている。
もちろん、身に付けた技術との組み合わせが効果を増大させているが。
技術とは、能力を向上させるものである。
+10%なら、能力をこれだけ増大させる。
元になる能力が高ければ高いほど効果は大きい。
そのため、ソウジロウの戦闘力は新人達を大きく引き離す。
なお一般人で、この能力値はおおよそ100。
これを基準に体力や智慧などが決まっていく。
新人探索者達もだいたいこのあたりだ。
一般人と大差はない。
ただ、身に付けた戦闘技術により、修正が加わる。
新人と言えども、攻撃の命中などが普通の人よりも高くなっている。
そのほとんどが+10%程度だが。
それでも、全く何も身に付けてない者達よりは有利になる。
例としてあげると、次のようになる。
まず、能力値の大雑把な説明から。
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霊気:生命力、持久力などをあらわす。
健康:体の健康さ、病気や怪我への抵抗力。
体力:力の強さなど。
反射:動きの素早さ。
作成:物を作る際の能力、手先の器用さなど。
直観:第六感的な感覚。
智慧:頭の回転の早さ、情報処理能力。
共感:親しみやすさなど。
意思:困難に直面した場合の強さなど。
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この中で、霊気はいわゆるHPやMPのような役割を果たす。
そして、すべての能力の基本値となる。
これをもとにして、各能力が決まっていく。
たとえば、ソウジロウと共に探索に来てる新人探索者。
その一人の能力を見てみると、
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霊気:100
健康:102
体力:108
反射:104
作成:98
直観:95
智慧:98
共感:91
意思:104
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だいたいこのようになっている。
身体能力と意思が強いが、他はやや低い。
これに戦闘関係の能力を加えると次のようになる。
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攻撃命中値:114
(104×10%=反射×技術修正)
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僅かに思えるかもしれないが、一般人よりこの新人はかなり有利になる。
戦えば、素人の一般人より攻撃が当たる可能性が高くなる。
これに対してソウジロウの能力は次のようになっている。
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霊気:237
健康:237
体力:237
反射:237
作成:237
直観:237
智慧:237
共感:237
意思:237
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能力だけで新人を大きく引き離してる。
素の能力だけで新人達を圧倒できる。
更にここに技術が上乗せされる。
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攻撃命中値:379
(237×60%=反射×技術修正)
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この数値を見たからこそ、新人達は協会で驚愕した。
それでも神伝流という事で侮ったのだが。
しかし、それも実力ですぐに間違いだと思い知ることになった。
加えて、神伝流の本来の姿もあり、ソウジロウの戦闘力は他を圧倒する。
これに比べれば、人面虫などとるにたらない。
その能力は一般人の半分程度と解析されている。
霊気術による鑑定ではっきりしている。
見た目は不気味だが、能力はその程度だ。
そんな人面虫相手にソウジロウが遅れをとることはほとんどない。
よほど運が悪いか、油断でもしてない限り。
今も新人達の先頭に立って、次々に撃破していっている。
それはもう、戦闘ではなく一方的な蹂躙でしかなかった。
あるいは、単なる作業か。
どちらにせよ、新人達からすれば頼もしいことである。
次々と人面虫が葬られていくおかげで、危険はかなり下がっている。
(強い人が入ると、こんなに違うのか)
そのありがたさを実感していく。
そして彼らもやれる事はやっていく。
わき道にそれてくる人面虫を倒していく。
ソウジロウに任せきりにしたりはしない。
新人達にもそれなりに意地がある。
全て任せっきりにするつもりはなかった。
そうして一日の作業が終わる。
戦って休んで戦って。
霊気玉を回収してその日は帰還した。
罠なども忘れず回収する。
そうした結果は、新人達が驚くものになっていた。




