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25回目 出てきた結果と成果、それが評価を変える、実に現金なものである

 ソウジロウが考えこんでるうちに、霊気玉の回収が終わる。

 それを持って馬車型トラックに戻る。

 まだ休憩時間なので、作業には入らない。

 だが、警戒は継続しつつ、次の準備にとりかかる。



 その間に霊気玉がどれだけ集まったのかを確かめる。

 手の空いてる者達が一つ一つ数えていく。

 その結果は、

「54個…………」

 とんでもない数だった。



 新人達からすれば信じられない数である。

 これだけの数を一回の戦闘で手に入れたのは初めて。

 全員興奮している。

「凄い……」

「嘘だろ」

 誰もが呆然としていた。



「嘘なもんか」

 信じられないという顔をする新人にソウジロウが伝える。

「これくらいなら、お前らでも出来る。

 ただ、やり方を知らなかっただけだ」

 事実だ。



 新人達も探索についての情報や知識はある。

 だが、それらは断片的なものだ。

 間違ってはいなくても、正確とは限らない。

 全体の一部だけをとりあげてる事もある。

 そして、それらを上手に活用する智慧がなかった。



 また、戦い方もお粗末なものである。

 一人一人の戦闘力も、今の段階ではまだ低い。

 しかし、それ以上に集団での戦い方を知らない。

 そういったものを知る機会はほとんどないのだからしょうがないが。



 今までの彼らには、こういった戦い方をする機会も無かった。

 彼らの探索は、足で歩ける範囲に限られていただろう。

 入り口からそれほど奥まで入ってくる事は無い。

 泊まりがけであっても、それほど奥まで向かう事は無かったであろう。



 そんな入り口近くは、探索者であふれている。

 必然的に競争相手が多くなる。

 その分、化け物も次々に駆逐されるので、死亡率は低い。

 だが、稼ぎは少なくなる。



 今いる場所は、そういったところとは違う。

 入り口から10キロともなれば、徒歩でやってくるのは大変だ。

 遠出してくる者達もいるにはいるが、それほど多くはない。

 競合相手は一気に減る。



 そんなところで、化け物をおびき寄せたのだ。

 大量に集まってくるのは当たり前だった。

 撃退したときの報酬も多くなるのも。



「今度から、これくらいの敵を相手にする事になる。

 大変だろうが、やってやれない事はない。

 お前らはそれを実際にやったんだしな」

 その言葉に新人達は自信を持っていく。

 確かにこれだけの数と戦って勝ったのだ。

 それは紛れもない事実である。



「次も同じように行くとは限らんが。

 それでも、変な不安を持つ必要もない。

 やり方を間違えなければ、ちゃんとやっていける」

 ソウジロウの声に全員が頷いた。



 この段階でソウジロウを疑う者はいなくなっていた。

 どれだけ出来る人なのか分かってなかったが。

 実際にやってる所を見たのだ。

 その能力を疑う理由はない。

 全てを認めないまでも、探索者としては信じる事が出来る。

 新人達はそう考えはじめていた。



「予備の武器にかえろ。

 さっきの戦闘でダメになってるかもしれない。

 一回の戦闘でガタが来るなんて事もある」

「はい!」

 言われて前衛は新しい武器を取り出す。

 ソウジロウが事前に用意したものだ。



 これも最初は必要なのかと疑問を抱いていた。

 今までの探索ではそこまで武器がダメになる事もなかったからだ。

 しかし、今さっきの戦闘でそんな考えも吹き飛ぶ。

 途切れる事なく襲ってくる敵。

 それを片っ端から撃退していたのだ。

 武器にも相応の負担がかかってるだろう。



 そんな武器を手放し、予備を取る。

 数打ちと呼ばれる量産品だ。

 粗悪とはいわないが、それほど質が良いわけではない。

 戦闘にはそこそこ使えるというくらいだ。

 その分、値段は安い。



 ソウジロウはこれを結構買い込んでいた。

 そんなものどうするのか、と思っていた新人達だが。

 今ならそれが正解なのだと分かる。

 これだけ大量に化け物を倒すなら。



 それで分かる事もある。

 ソウジロウは確かに経験者だ。

 それも、単に経歴が長いだけではない。

 本当に探索者としての実績を積み上げたきた者だと。



 単に長く探索してるだけのうだつの上がらない輩。

 そのくせ先輩面する屑とは違う。

 偉そうに説教をかまし、そのくせ言ってることに何の価値もないような。

 何かと指図してくるが、その全てが的外れで有害無益な。

 そういった連中とは違う。



 確かな実績と、それの裏付けとなる実力。

 それを持ってるという事を。

 その知識や経験、手法を用いて結果を出している。

 やり方はきついが、決して無理はしてない。



 そんな事を感じて、新人達は次の指示を待つ。

 今はソウジロウに従った方が良いと、無意識におもいながら。

 そんな新人達にソウジロウも、次の指示を出す。

 彼らに成果を出させ、決して死なせないように。

「それじゃ、行くぞ」

「はい!」

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