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12回目 登録証・経歴・実力

 探索者は登録証というものを持っている。

 これは政府が発行する免許のようなものだ。

 取得自体は簡単に出来る。

 何せ、申請すればすぐに得られるのだから。



 免許と言うよりは、人数把握のためにあると言える。

 ただ、賞罰なども記入される。

 このため、簡易な経歴書としての機能もある。

 もちろん、登録した探索者の能力なども記される。



 こういった機能は、霊気術(魔法や魔術の呼び名)によって行われる。

 設定を限定した鑑定の霊気術により、所有者の能力を表示する。

 現代日本の運転免許証くらいの大きさの金属板。

 それを起動させると、能力が空中に立体画像として表示される。

 この表示、所有者によって設定する事も出来る。



 それにより示された情報を見て、新人達が驚く。

「おい、嘘だろ」

「すげえ」

「本当に、経験者なんだ」

 実際、表示された経歴と能力は、歴戦の猛者と言うにふさわしいものだった。



 登録証には、当然ながら名前や生年月日、登録日などが記される。

 先に述べたように、賞罰も。

 この賞罰には、地下迷宮における功績なども載せられる。

 当然ながら、犯罪行為や迷惑行為なども、やらかしたら記される。



 また、個人の素質を示す能力値に、身に付けた技術も。

 これらが数値化される事で、能力差が簡単に分かるようになってる。

 新人達はそれを見て、ソウジロウと自分の差をいやでも理解した。



 それに加えて、探索者としての活動履歴である。

 これは簡単に三つの数値であらわされている。



 どこまで迷宮の奥まで進んだのかを示す、到達深度。

 迷宮内で動き回った距離を示す、総移動距離。

 迷宮にて活動した時間を示す、迷宮潜入日数。

 それらが新人達と段違いである。



 明白な証拠を突きつけられ、新人達は反論できなくなった。

 口の減らない奴はそれでも何かを言おうとしてるが。

 しかし、純然たる能力差と積み上げた経歴は覆しようもない。

 登録証に細工でもしたならともかく。

 そのためには、ある程度高い霊気術の能力が必要になる。



 仮にソウジロウがそれだけの能力をもってたとしよう。

 ならば、それはそれでソウジロウが高い能力を身に付けてる証拠になる。

 登録証を改造できるくらいの霊気術の技術を持ってるという。

 それが出来るとなれば、新人探索者の領域を超えてることになる。



「納得したか?」

 問われた新人達はぐうの音も出ない。

 ただ、どうしても簡単には納得できない者だっている。

「いや、まだだ」

 登録証の表示を見ていた一人が、一点を指す。

「これでこんなに強いわけない」

 その指は、ソウジロウの身に付けてる技術の部分につきつけられている。

 他の者もそこを見る。

 見て、怪訝そうな顔をする。



「確かに」

「そうだよな」

「じゃあ、なんで」

 疑問が口から出てくる。

 彼らの目は、そこに注がれていく。

『神伝流』という文字に。

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