僕達喧嘩中
今日は初めて学園に行きたくない。アーサーとはギクシャクしているし、アリスには人殺しって事を教えてしまった。
良く考えたればアリスに言う必要は無かった。
けど、仕方ない。
「アーサー、おはよう」
アーサーは僕の挨拶を無視した。やはりそう来たか。
そしてアーサーは周りの男子達といつものように喋る。
男子はアーサー中心に仲がいいから僕があの輪に入るのは無理だろう。
アーサーと仲直りするまではひとりぼっちだな。
「それでは5人1組で班を作って下さい!」
2時間目。こういう日に限って先生は変な事をする。
男子はアーサーが平和的に班を作ってくれるだろうが···今日の僕は平和的の一員じゃない。
班が決まるのを待とう、そしたら余った僕は自動配分される。
「ジャック君は男子班に入らないの?」
「え?あ、入れないの」
1人で男子達の班決めを見ていると4人の女子が僕に話にかけて来た。
確かこの4人は、女子の仲良し4人組?誰とでも仲良くなれる僕やアリスとは違うアーサータイプ。
「もしかして喧嘩してるの?」
見るからに4人の中心みたいな女子が少し笑いながら言う。
「いや、喧嘩ってより怒らせたって言うか···」
「あんな優しいアーサーを怒らせるなんて、意外と人を怒らせるタイプなんだね」
「かも知れない」
「良かった班に入らない?1人足りないんだ」
なんだ。笑っているから小馬鹿にしていると思ったけど、誘いに来てくれただけか。
「勿論」
「アーサーと仲直りするまで一緒に居てあげようか?」
「なんで、そこまでしようとするの?」
「優しいからに決まってるじゃん!」
怖い人に見えたけど、優しい人なだけか。
「優しい人は自分で言わないよ〜」
「じゃあ私は優しくないって事?」
4人で話してるのを見てると友達からも信頼がある人付き合いが上手いタイプ。
アリスには悪いが、アリスと反対のタイプだ。
昼休み。いつものようにアリスがやって来て僕とアーサーを連れて行こうとする。
「アーサー、食べよう」
「アリス、す、ごめん、き、今日は行かない」
喧嘩中でもアーサーの女子苦手は変わらないらしい。
「良いから!お弁当せっかく作ったんだから!」
アリスが強気にそう言うとアーサーの周りに居た男子達が笑いながらアリスを見て、
「お弁当食べて貰えないからって、しつこいと振られるぞ!」
「そんなにアーサーが好きかよ?」
だがアリスは1歩も引かずに、
「そうよ、悪い?それにアーサーはお昼の約束を破った、悪いのはアーサーよ!」
どの世界も女は強いな。だが男子達は再び、
「ヒューヒュー!これって告白じゃない!?」
「やめろ!あ、アリスの好きは、皆が思っている好きと違う····」
男子達の言葉を止めるようにアーサーが言う。
だが男子達はまだ、
「もしかしてアーサーも好きだったのか?」
「ヒュー!お熱いね〜!」
さすがにアーサーもアリスも恥ずかしそうにしている。
やはり、男は嫌いだ。どうしてこんな最低な事を平然とできるのか、理解し難い。
「はぁぁ、ちょっ」
「男子最低ー!モテないからって友達までバカにする?」
僕の言葉をかき消すように言ったのは僕を班に誘ってくれた仲良し女子4人だった。
そして女子の1人がアリスの両肩に手を置いて、
「アリスちゃん!アーサーとお弁当食べて来な?」
「え?」
「良いから!」
そしてその女子はアーサーとアリスの手を取り、2人を教室から追い出す、
「ジャック君も!」
「あ、ありがとう」
僕も教室を出ようとしながら横目で男子と女子の様子を見る。
「なんだよ?」
「なんでアーサーはあんた達みたいな奴とも関わるかな〜?」
そして女子は自分達より多い男子の前で強気に男子の机に座り、
「ほら?クラス全員見てたよ?まだイキっちゃうの?」
「う、うっせぇ!」
男子達は周りを見渡し自分達が恥ずかしくなる。
女子4人はそれを見て満足そうに男子達から離れる。
「ほら、お弁当」
その頃アーサーとアリスと僕の3人で中庭でお弁当を食べていた。
だが僕とアーサーはアリスを挟んで気まずくなる。
「さっきは、庇ってくれてありがとう、けどしっかりお弁当食べに来てよ。私はアーサーと違って友達が2人しか居ないんだから」
「ごめん」
アリスとアーサーも気まずそうだ。
無言でお昼ご飯が終わると思っていたがアーサーが、
「ジャック、アリスの前では仲良くしてやる。だけど、俺の目的を変える事はしないし、俺からジャックに関わらない」
アーサーなりに妥協してくれた。やっぱり優しい奴だ。
僕は嬉しくなって、
「分かった!じゃあ僕はアーサーから話すまで話さない!あとアーサーに殺しをさせない!」
「···お前、なんかズレてる。」
アーサーは僕やアリスの前ではいろいろな表情をするようになった。
いつも笑顔なのに、今日は困った表情をしている。
「ははははは!確かにズレてる!」
少なくとも僕とアーサーはアリスに心配かけるマネをしてはいけない。
それはお互いよく分かっている事だ。
完全に仲直りした訳じゃないがアリスとクラスの女子ーズのおかげで僕とアーサーの離れた距離が少し縮まった気がする。
学園に居ると学ばされる事だらけだ。
その日が終わり翌日は休日だった。
「今日は、遊びに···いや、ジャックに止められないように修行しなければ···いや違う、先に七つの大罪を探して殺す」
アーサーは元々の七つの大罪のアジトを突き止めていた。
アーサーが住んでいる国では無い国にあるお城。
そこが七つの大罪と交戦した元のアジト。
アーサーは魔導師協会の手を借りて飛行機を使い、その城がある国まで行く。
そして城を突き止め城の中に潜入する。
城の中はアーサーの天気魔法により焦げていた。
「ここにヒントが有れば良いんだが····ん?」
城の奥の階段に2人誰かいる。前交戦した時にはリーダーのラースが居た場所だ。
だが部屋が暗い為、顔が良く見えない。
「誰だ?」
「七つの大罪の一員と言えば分かるかしら?」
アーサーは2人が誰か分かった。2人共七つの大罪のメンバーだ。
1人は転移魔法の使い手ラトニー、もう1人は神である事以外不明なプライド。
「まさか、そちらから来てくれるとは」
「プライド、貴方に任せるわ」
ラトニーがそう言うとプライドがゆっくりとアーサーに近づいてくる。
「ちょうど良い、ジャックを負かすためにまずはこの神を殺る」
「イージーすぎる···スピードクリアを狙うか、ハンデを付けるか····あるいは両方」
プライドはそう言って自分の目元に付けている女性の手を撫でる。