情報整理
ユグドラシル3度目の七つの大罪の襲撃。
いや、ラースと愛瑠の戦いを含めたら4度目。
島の住民で死者は居なかった。
魔道士専用刑務所とデパートが破壊されたがミハエル先生の再生魔法で直ったらしい。
幸運な事に脱走した囚人も居なかった。
「ほんとだ······プライドがラトニーを殺してる·····どういう事だ?」
魔道士協会本部。
会議室で協会の者達が島の魔道士を含めた会議をしていた。
中には美叶と愛瑠、それに竜介も居る。
皆はスクリーンに映る映像を見ている。
「だがラトニーを追い詰めたのは僕だ、プライドが殺らなくても死んでいた」
美叶は年寄りの男に向かって少し不満そうに言った。
年寄りの男は協会の会長だ。
「それは分かっとるが·····島の魔道士達を縛り上げる事は止めてくれないかな?業務妨害じゃよ」
会長の表情を見て、美叶は少し困った顔をした。
だがすぐに、
「違うんだよじいちゃん、この男達は僕をジロジロと見るんだ、女である者からしたら恐怖なんだ、セクハラだよね?」
「·······そうなのか?」
会長は魔道士達を見た。
「違います!」
「騙されないで下さい!」
魔道士達は強く否定した。
「だってさ」
「おじいちゃん、正直どうでもいい、本題だ、ラトニーが死に、グリードを捕らえた、これは喜ぶべき、凄い事だ」
美叶ははしゃいだ様子だったがいつもの美叶に戻る。
虚ろな目で会長を真面目に見た。
魔道士達は話を切り替えた美叶に苛立っている。
「そうじゃの」
「ラトニーが死んだ、つまり転移魔法が無い、奴らは足をもがれた、奴らが島に来るのは難しくなった·····とゆうか不可能だ」
美叶は周りを無視するかのように会長だけを見ている。
隣には死んだ目で下を向いた愛瑠が大人しく座っている。
「それじゃ、今回は我々の勝ちだと言っても過言じゃない、良くやってくれた」
会長は嬉しそうだ。
「それより、謎や情報が多い、一つ一つ整理するべき」
「じゃな、じゃあーまずはミハエル、頼む」
会長がそう言うと皆の視線がミハエル先生に集まった。
「私が戦ったのはラストとグリード、生徒でありS魔道士でもあるアーサーと共に戦いました。ラストの強さはアーサーくらいです、ですが能力の応用があったり、仲間が死んでも平気でいるなど精神的に人間離れしてたり、1体1なら負けてました――」
協会の者はミハエル先生の言葉を録音しているようだ。
大事な情報の為、美叶もしっかりと話を聞く。
「厄介だったのはグリードです、私は不意をつかれ気絶し、アーサーが1人で戦ったらしいです。ですがボロ負けでした、手も足も出なく、魔法を1発当てるのが精一杯だったと······アーサー言わく本気を出せば島の魔道士全員に勝てると······それほど強かったらしいです」
「待て待てミハエル!じゃあどうやって倒したんだ?」
魔道士の1人が慌てて疑問を問いかけた。
ミハエル先生は一瞬その魔道士を見て、
「病気持ちだったらしい、戦闘中に突然膝を落とし過呼吸になったと······だが不思議な事にグリードを検査したら病気なんて無かった」
「はい?ほんとかそれ?グリードは何がしたかったんだ?」
「グリード本人に聞いた、彼は1人の欲の強い少年に病気を治してもらったと言っていた」
皆考え込むように黙り込んだ。
だがすぐに魔道士の1人が、
「誰それ?少年って事は生徒だろ?」
「それは教えてくれなかった」
「そうかい」
皆が再び黙り込むと会長が、
「ありがとうミハエル、次は·····竜介」
「はい」
竜介は組んでいた足を下ろし、腰に差してる刀に手を置く。
「俺は刑務所に行った、刑務所では囚人の1人と協力して負傷した看守と囚人を守りながらエンヴィーとスロウスと戦った、俺が驚いたのはエンヴィーやスロウスの強さよりも協力してくれた囚人の強さだ、確か······あ、い?い――」
「イアンか?」
「それ!イアン!」
会長のフォローで名前を思い出した竜介は少しはしゃぐ。
「イアンは俺の2倍は強かった、身体強化の魔法を使ってエンヴィーを相手にした、俺はスロウスを相手にした。だがもっと驚いたのはエンヴィーの体だ······イアンはエンヴィーの体をバラバラにぶっ壊れるまで殴った·····だが奴の体は再生するかのように治ったんだ!」
「待て待て竜介!誰も分かってないぞ?1から説明してくれ」
魔道士の1人が困ったように竜介を見た。
竜介はキョトンとした周りの者を見て恥ずかしくなる。
「えっと·····エンヴィーの体は機械でできていた、しかもその機械は機械らしからぬ妙な動きをする。鞭のようになったり、機械から複雑な形が生成されたり。イアンはその体をぶっ壊した、なのにバラバラになった機械は元に戻った、まるで粘土のような機械だ」
「さっきよりは分かった、つまりエンヴィーは魔法以外に機械の体を持つと?」
会長は問いかけた。
「うん。それにもう1つ」
「もう1つ?」
竜介は少し大人しくなっていた。
「イアンは星の数人を殺して来た殺し屋らしい、戦い慣れてるイアン······エンヴィーは更に戦い慣れしてた、才能とかじゃない····明らかに経験によっての動き、剣術を極めてる俺だから分かる、エンヴィーはまるで何年も生きて、何年も戦っていたような·····そんな気がする」
「そうか·····分かった、ありがとうな」
竜介は横目で周りを見ながら恥ずかしそうに深く座った。
「最後にプライドの事だが······美叶、頼む」
「はい」
会長は美叶を見て言い、美叶は再び姿勢を正した。
他の魔道士達は、
「なんであの女が」
「Sランク魔道士でも無いのに」
不満があるようだ。
美叶を贔屓する会長も美叶も気に入らないようだ。
「皆ご存知、プライドは奇妙な見た目をしてます――」
それでも美叶の話はしっかりと聞いている。
「奴はラトニーの傷を癒す魔法を使ってた、他に力は見せなかったが·····奴はヤバい·····プライドに睨まれた時、蛇に睨まれた蛙の気持ちを理解した······他に言う事は無い」
「·······」
美叶の言葉の足りなさに一同は困ってしまう。
だが会長は笑って、
「分かった、ありがとう、魔道士の者は帰って良い、あとは協会の者で情報を整理する」
ミハエル先生や他の魔道士達、美叶や愛瑠や竜介は席を立って会議室を出て行った。
会議室を出てすぐに美叶はさりげなく竜介に近寄った。
「君、竜介は悪い奴だと思っていたが、勘違いだった」
竜介は美叶を横目で見て少し顔を赤くした。
「なんですか、いきなり·····」
「君に会って半年、謝っていなかったから、謝る機会があったから言った」
「そうですか·····勘違いしてたのは俺です、愛瑠さんの恋人だったなんて知らなくて·····それに美叶さんもただの優しい人でした·····すみません」
竜介は顔を赤くしたまま謝り返す。
美叶は虚ろな目で竜介を見つめ嬉しそうにしている。
「敬語も使えて偉い、君のような純情な男は好きだよ、僕も愛瑠も」
美叶は竜介の頭を軽く撫で、愛瑠と共に前方に去ってた。
「彼女が死体を人間と思い込む噂の魔道士か」
ボーとしていた竜介の肩に手を置いてミハエル先生が言った。
「え?あ、まぁ」
「他の魔道士は今回の事もあって気に入っていないが、意外に普通の女性だな」
ミハエル先生は竜介に歩きながら話しかけて来た。
「まぁ、俺は美叶さんを見守る事しか出来ません、美叶さんを救えるの·····純情な白い天使くらいでしょう」
「そうか、無意味にならないよう頑張れ、応援してる、日本1位の魔道士」
「ありがとうございます」
ミハエル先生は外にある車に入り、竜介から去っていた。
大変申し訳ないのですが今日から毎週日曜日投稿にします。
完全に自分事になってしまいますが、学校が辛く病み気味なんで笑
勉強にも力を入れたいので負担を減らす為に毎週日曜日にします。
代わりに4000文字から5000文字くらいに変えます。
週一でもよろしくお願いします。




