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愛を知らない神様  作者: ビター
復讐の開幕編
72/113

何も無い男

 

  シンガポールのとある地下入口前。


  「ラトニーはここまで待ってろ、俺とお兄さんで行ってくる」


  ラースはラトニーに拳銃とチョコレートを預けた。

 

  「護身用の銃は分かるけど、チョコは逆バレンタイン?」

 

  ラトニーは手元のチョコレートを見ながら不思議そうにした。

 

  「そういう訳じゃ····ただ待ち時間にと思って」

  「ははっ、ラースって面白い、ありがとう、生きて戻ってね」

  「分かってる」


  仲良く話すラースとラトニーを見てグリードは呆れていた。


  「俺にガキの恋愛を見せんなよ、緊張感が無くなっちまった」

  「別に恋愛じゃない」


  ラースはドアに手をかける。

  開こうとしたその時、グリードはラースの手を強く掴んだ。


  「な、何?」

  「お前が邪魔だったら即殺す、もう貸し借りは無しだ」

  「分かってる、お兄さんもその傷でくたばらないように気おつけな」


  グリードとラースはドアを開けて地下の中に進んだ。


  「暗いな」

  「お兄さん勝負しないか?どっちがたくさん殺れるか」

  「良いけどお前が死ぬのが先だ、犯罪魔道士団を舐め過ぎだ」


  小声で話しながら地下を進む。

  少し歩くと男達の声が聞こえた。


  「行くぞ、誰1人逃すな、団体で地獄に落す」


  部屋のドアを開けた。

  男達は一斉にグリードを見た。


  「今日までお世話しました、そして死ね」


  グリードは投げナイフを3人の男の喉に投げた。

  そして流れるように先頭の男の顔面を掴み、爆破させて男達に死体を投げる。


  「死ね!」


  だが男の1人がグリードの腹を蹴った。

  グリードは傷口が開き、思わずしゃがみ込んでしまう。


  「死ねや!」


  男はグリードをナイフで刺そうとした瞬間、後方に吹き飛んだ。

  ものすごい速さで何かに反発したかのように。


  「死ね死ねって、兄さん方少し言葉選んだら?」


  男達は一斉にラースを見た。

  ラースが吹き飛ばされた男に手をかざしてるのを見て悟る。


  「あのガキの魔法だ!ぶっ殺せ!」

  「死に損ないのグリードは後だ!」


  3人の男はラースに銃弾を放った。

  だが反射したかのように銃弾が自身に戻ってきて3人の男は死ぬ。


  「な?銃はダメだ!直で殴れ!」


  5人の男達がラースに襲いかかる。

  グリードは腹の傷を抑えるだけで何も出来ない。


  「や、やめ」

  「5人か、良い練習になる」


  ラースが先程同様、男達に手をかざした。

  すると男達は体が僅かに浮き上がる。


  「え?」


  更にラースの手元に引き寄せられる。

  ラースはボクサーのジャブ並の速さで、男達の胸を1人1回、ナイフで刺した。


  「「「「がァ!」」」」


  5人の男達が死に、立っていたのはラースただ1人だった。


  「やる······じゃん」


  グリードは唖然とラースを見る。

  ラースはグリードに肩を貸した。


  「1番厄介な団体を殺れて良かった」

  「ん?まてラース、団長が居ない」

  「·····なら探す、拷問開始」


  ラースはグリードに肩を貸したまま、微かに生きている男を手元まで引き寄せた。


  「チャンスは1度、団長は?」

  「ひぃ!か、グリードの彼女が居る病院だ!だから助けてくれ!」


  ラースの質問に男は恐怖しながら答える。

 

  「見逃す、俺はな」

  「俺は助けない」


  男はグリードによって頭を爆破され、死んだ。


  「ラース、さっきの小娘、ラトニーの魔法で病院まで」

  「貸し借り無しじゃなかった?」

  「頼む」

  「分かった」


  ラースはグリードを自身の魔法で自身の背中にくっ付けた。

  持たなくて良いおんぶだ。


  「はぁはぁ、流石に180の男は重い」


  ラースは地下を出た。

  地下を出てすぐ右にはラトニーが椅子に座ってチョコレートを食べていた。

  美味しそうに食べている。


  「病院まで、グリードの彼女が居る病院」

  「分かったわ」


  ラトニーはすぐに転移空間を開き、病院に向かった。

  夜の病院だ。

  ラース達が転移空間からから出た場所はグリードの彼女が眠る病棟。

 

  「な?」


  病棟には何人か医師と看護師が倒れていた。

  そしてグリードが目を疑ったのは彼女の口元だ。

  寝たきりの彼女には人工呼吸器がついていた、だがその人工呼吸器が外れて、生体情報モニターが彼女の死を表していた。


  「俺は殺してない、彼女は病気で死んだんだよ」


  窓に座り込んで居た団長がグリードを小馬鹿にするように言った。

 

  「嘘だ······俺は·····団長?」

  「泣くなグリード、報酬はやる」


  膝を落として涙を流すグリードに団長は金の入ったバックを投げた。

 

  「また仲間を作り楽しく暮らさないとな、殺しや盗みも楽しいが、絶望の表情を見るのはもっと楽しい、じゃあなグリード」


  団長はそう言って窓から飛び降りようとした。

  だが体が宙に浮いてしまう。


  「え?」

  「俺も好きだ、絶望の表情、だから見せろ」


  団長はラースの手元まで引き寄せられて行く。

  ナイフを持って待っているナイフを見て団長は青ざめた。


  「ちょっ!止めろ!待て!」

  「待った」


  団長はラースの目の前で止まった。

 

  「ふぅ、流石に殺しはしないか·····金か?何が欲しいんだ?」


  団長はヘラヘラとしながらラースに問いかける。

  空中に浮いたまま、ヘラヘラしている。


  「何が欲しい?絶望の表情、2度言わせるな」


  ラースは団長の目玉にナイフを刺す。

  そして片耳、片腕を切り落とす。


  「ぎゃあああああああああ!!!」

  「よく見ろ、楽しいか?」


  ラースはラトニーから受け取った手持ちサイズの鏡を団長に見せつける。

  鏡には団長の絶望の表情が鏡にうつる。


  「ああああああああぁぁぁ!!」

  「楽しんでもらえて良かった、文字通り楽に死ねるね」


  ラースは団長の心臓を刺し、団長を殺した。

 

  「グリードのお兄さん、貴方はこれからどうするんですか?」


  血を浴びたラースはグリードを見下ろしながら聞いた。

  ラトニーはグリードの涙を拭き、悲しそうにしている。


  「殺せ、俺には何も無い、何も要らないし、何も無い、奪って奪って奪った結果、何も無くなった、生きる気力も無い」


  グリードは静かに呟いた。


  「そう、なら与えてくれ」

 

  ラースはしゃがみ込み、グリードに寄り添った。

  2人の少年少女がグリードに優しく寄り添っている。


  「俺に力を貸してくれ、何も無い人間は1番強い、どうせ死ぬだけなら俺の為に生きてからでも良いだろ?」

 

  グリードは顔を上げ、ラースと目を合わせた。


  「まさか魔道士を全員殺すって本当に?」

  「俺は信頼できる人が必要だ、貴方を仲間の第2号にしたい」


  ラースの言葉にラトニーが反応して嬉しそうにした。

 

  「そうだな、奪った物を返す気は無い、けどお前に俺の全てを預けるのはアリだな」

  「決まりだな」

  「俺の全てやる、だから俺の全て奪ってくれ、この涙も悲しみも苦しみも要らないんだ」


  泣き崩れるグリードにラースは優しく抱き締めた。

  背中をさすり、血を浴びた邪悪な人殺しが邪悪な人殺しを慰める。


  「お前の強欲さも、俺が預かっとく」


  グリードはその日、最愛の人と共に全てを失い、ラースに仕える事を選んだ。

  何も無いグリードを必要とした悪魔的な王様に全てを委ねた。

  奪う側から与える側に、だが与える相手はラースとその仲間だけ。

  実際失ったのは最愛の人ただ1つ、大した事では無い、だがグリードにとってそれが全てだった。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  現在、ユグドラシル。

  グリードは過呼吸になりながら倒れていた。


  「最後に残った命も、失う時が来ましたか」


  グリードはそう言って目を瞑る。

  だが誰かが足音が聞こえた。

  小さく、微かだが足音が。

  グリードは薄く目を開けた。


  「命の危機が1番大きいのはここ、アーサーとグリードの命だったか」

 

  現れたのは白髪の少年だ。

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