表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛を知らない神様  作者: ビター
復讐の開幕編
70/113

持つ者持たぬ者

 

  「サン.ウォール」


  アーサーは鉄の鞘がついた剣に形状を変えた太陽の熱を纏う。


  「先手必勝です」


  グリードは爆破を起こしながらアーサーの周りを回る。

  爆破がグリードのスピードを上げ、移動の機動力にもなっている。

 

  「見切れる速さだ」


  アーサーはグリードの首筋目掛けて剣を振るう。

  だが剣はグリードに蹴り飛ばされる。

  グリードの足は火花を放っていた。


  「上手い」


  アーサーは体勢を崩し地に手をつける。

  だがすぐにグリードの膝を踏み台にして飛び、グリードの体に足を巻き付け背後に回り込む。

  だがグリードは背中から怯えもせず地に倒れる。

  アーサーはグリードと地面に挟まれて背中を痛める。


  「半殺しにしてやる!てめぇが殺ってきた事に比べればあまいがな!」


  アーサー痛みを堪えるように歯を食いしばり、睨みながらグリードの首を締め付ける。

  グリードの首はアーサーの手に纏った太陽の熱で焼けていく。


  「貴方も死にます」


  だがグリードは顔色一つ変えずに手から放った爆破で宙に浮く。

  アーサーに首を掴まれたまま宙に浮いた瞬間、両手を上に向けて爆発を起こす。

  爆発の勢いで再びアーサーは地面に叩き付けられる。


  「がぁ!」


  アーサーは苦しそうにしながらもグリードの首から手を離さない。


  「まだまだ子供の力·····大人を舐めてはいけません」


  グリードはアーサーの手を握り潰し首から離す。

  そしてアーサーの胸に肘鉄砲を食らわす。

 

  「いっ!」

  「まだ勝てると思いますか?これでも?」


  そのままグリードはアーサーの頭を掴みアーサーを何発も殴る。


  「暴力を振るう私達に暴力で解決しようとしてる時点で貴方の負けです、そしてこの場合負けは死です」


  頭を掴みながら腹を触り爆破する。

  アーサーの腹は皮膚が剥がれ焼けてしまう。


  「ああああああああぁぁぁ!!!」

  「ラストも同じ痛みを受けました、耐えるべきです·····誰かを恨むのにも覚悟が必要です、足りませんよ?」


  グリードはアーサーを蹴り飛ばす。

  大人の体格と子供の体格はかなり違う。

  パッと見てグリードは身長180以上だ、それに対してアーサーは160ちょっと。

  2人とも細めだがガタイはグリードの方が明らかに良い。

  そんな体格差で殴られ、蹴られ、爆破されたアーサーは今にも死にそうだ。


  「はぁはぁ·····許さねぇ、許さねぇ、俺は決して忘れねぇ、許していい奴だと思えねぇ·····お前らが自由である限り俺は復讐心を忘れねぇ·······神でも悪魔でもない人間の俺がやり遂げる、誰かがやらなきゃならないなら俺がやる」

 

  アーサーは片腕を抑え、足を引きずり後退りをする。

  腹からは血が流れ、表情も窶れている。


  「許さない?許さないなら今すぐ私を倒しなさい!なぜ逃げるのですか?貴方の中には復讐以外にもたくさんあります、それを捨てれない人に私は負けませんよ?それとも第3者に助けをもらいますか?それ以外でこの状況は変えれませんよ?」


  グリードは後退りするアーサーに合わせてゆっくりと近づく。

  両手を広げ、自分が何も持ってない事を見せつける。


  「ウェザー.サン」

  「私は何も持ってない、人として全てを捨てました」


  アーサーは手の平に太陽を創り、グリードに近づく。

 

  「へへっ、悪いな欲張りで」


  アーサーは手の平から太陽を放つ。

  だがグリードに避けられる。


  「外れましたね」


  グリードは鼻で笑う。


  (バカ、そうやって笑ってろ、太陽は操れる、笑うのは俺だ)


  アーサーは心の中でほくそ笑む。

  グリードの背後には飛んで行った太陽が戻って来ていた。


  「がぁ!····さっきの?」


  太陽はグリードの背中に命中し、グリードは膝を落とす。


  「まだ、ウェザー.サン」


  アーサーは再び太陽を創る。

  そして地面に膝をつけたグリードに太陽を当てる。

  グリードは咄嗟に太陽に手をかざし、爆破する。

  アーサーは吹き飛ぶ。


  「瀕死ですから上手く魔力が練れなかったようですね、少し熱いで済みました、貴方も死で済ませます」


  グリードは背伸びしながら立ち上がり近くにあったアーサーの剣を拾う。

  鉄の鞘から剣を抜き、倒れ込むアーサーの目の前に立つ。


  「死ねば嫌でも私を許します、別に許しも要りませんけど」

  「はぁはぁはぁ······俺は····まだ·····」

  「さよなら」


  グリードは剣を振り落とした。

  だが剣はアーサーの顔すれすれで止まる。


  「·····な?」

  「くっ·····」


  突然、グリードは剣を落とし胸を強く抑えて膝を落とす。

  苦しそうにして、過呼吸になる。


  「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

  「な?なんだ?誰かの魔法?」


  アーサーはグリードを見て困惑する。

 

  「······まさか、こんな場所で·····」

  「お前?······もしかして病気持ちか?おい!答えろ!」

 

  グリードは苦しそうに仰向けに倒れ込み、アーサーを目を細めて見た。


  「私は運すらも無かったようです······貴方ラッキーですね·····」

  「······心臓?·····肺か?·····」


  アーサーは戸惑った。

  グリードを見殺しにするか助けるか。

  だが優しさが動いてしまった。


  「ちっ」


  アーサーは慌てて周りを見渡す。

  そして少し遠くに居た男を見て、


  「はぁはぁ······そこの!避難してないのか?助けて欲しい!救急車を呼んでくれ!」


  アーサーは傷口を抑えながら叫んだ。

  男はボロボロのアーサーと倒れ込むグリードを見て慌ててスマホを取り出す。


  「助かった」

  「な、に?を?やめ――」

  「黙ってろ!悪いが俺はお前と違って信頼してくる人、神も居る、そんな奴らを裏切ってまで汚い生き方はできねぇんだよ!てめぇと一緒にすんな!」


  怒鳴るアーサーを見てグリードが黙り込んだ。

  アーサーは魔法で創った雲にグリードを乗っけて、自身も雲に乗る。


  「手遅れだったなんてのは笑えない、できるだけ移動する」


  アーサーは雲で救急車が通ると思われる道を通る。

 

  「貴方いい人ですね、けど復讐者失格です」

  「え?」


  グリードは倒れながらアーサーの首を掴み、爆破する。

  アーサーは首の皮膚が剥がれ焼けてしまう。


  「がぁ!」

  「爆破の威力が足りなかったか·····けど時間の問題······」


  アーサーは血を吐く。

  同時に雲が消えて、グリードと共に地面に落ちてしまう。


  「まさか同じ病気になるとは·····ですが同じ病気で死ねるのは、私にとって幸せ·····ほんと最高」


  アーサーは気絶し、グリードは過呼吸になりながら目を閉じた。

  死を受け入れた顔だ。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  場所はシンガポール、時は······13年前の事だ。

  この時代も魔道士の存在が恐れられていた、正確にはある魔道士集団が恐れられていた。

  七つの大罪では無い。

  この時に七つの大罪はまだ知られていない。

  殺人、強盗、なんでも好き勝手やる集団、奴らは残忍冷酷、神出鬼没、人々は奴らを『犯罪魔道士団』と呼ぶ。

  呼び名通り、犯罪を起こす魔道士達だ。

  奴らは警察の手からも魔道士からも逃れる。

  勿論魔法のおかげだ。

  その中でも特に凶悪で強欲な奴が居た。

  そいつは犯罪魔道士団の中でも極めて危険だった為、悪魔聖書の七つの大罪を由来にこう呼ばれた。

  『グリード』と、意味は強欲······そいつが特に欲しがったは金だった。

 

  「肺がん·····安心しろ、俺が手術代を払う」


  グリードは当時22歳、病気になり病院で人工呼吸器をつけ、寝たきり生活の彼女の為に生きる青年だ。

 

  「団長に金を貰わなければ·····次の集会までに話をつけたい」

 

  グリードは夕方の街中を歩いていた。

 

  「大丈夫か小僧?あ、いや」

 

  街中で1人の少年が盛大に転んでいた。

  頭を抑えながらフラフラと立ち上がる少年は心配そうに話しかけた男に会釈して歩き出す。

  だが少年はフラフラしていたせいか、道路に出て車に引かれてしまう。


  「きゃー!!」

  「だ、大丈夫か!?赤髪?魔道士か·····」


  少年は吹き飛ばされるが何事も無かったかのように立ち上がる。

  車は轢き逃げをし、周りの者は血を流し歩く少年を心配そうに見ている。

  だが誰も少年に話しかけない。

  それはきっと少年の髪色を見て話しかけなかったのだろう。

  赤髪の少年······この時代に魔道士に関わろうとする人は居なかった。


  「あ」


  少年は再び転んでしまう。


  「ちっ、どんくせぇガキだな」


  それを見ていたグリードは少年に近づく。


  「助けを求めろ、死ぬぞ?周りは優しくない」

  「あ、ありがとうございます····お兄さんいい人だ」


  少年は顔を上げた。

  顔立ちの良いアメリカ人だ。

 

  「病院は金がかかる、家で手当してやる、俺も優しくない1人で悪いな······お前名前は?親とか居るか?」

  「ありがとう、名前······ラース、親は居ないよ――」


  少年――ラースは血を流し、気絶した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ