もう1人の復讐者
真っ暗で何も見えない、それどこらか真理の義眼を使えない。
拘束された状態でも魔力を出さない状態でも使える真理の義眼が使えない。
「ルーナ?」
音も一切無い。
「······プライド?」
匂いも気配も無い。
「考えろ······この状況の要因、可能性·····なんの魔法だ?」
僕は考える。
身動き一つ取れない、けど喋れる。
「魔法·····制約とか······いや······あ、分かったよ、これはアイムが使えた幻覚だ、魔法の類では無い」
僕は理解した。
きっと推測は正しいだろう。
「けどアイムは死んだ······まさかルーナも使えるのか?」
幻覚を見せる能力。
僕が魔法を使っても体を動かしても全て無意味。
言わば幻の中に居る。
解除する方法は1つ·····自身に刺激を与える事、つまり痛みによって幻覚を解除される。
だがこの状況では他者の協力が必要。
「そう言えばポムが居る!だがこの時間帯は寝てる·····まだ起きないはず······他に方法は·····」
悩む。
だがこの最強クラスの技に弱点は少ない、それに不意をつかれ幻覚を受けた場合は弱点が無い······。
「え?」
突然、髪の毛を引っ張られる感覚に襲われる。
同時に視界が戻り、音も匂いもするようになった。
幻覚が解除されたのだ。
「でもなんで?ポムが起きてる?·······まさか」
「そのまさかだ、幻覚に気付いたのは流石だが······幻覚内の時間を狂わせた、幻覚内での1分を現実の10分に」
突然目の前に現れたルーナが言った。
ニヤニヤと笑い、僕を嘲笑っている。
「だいたい5分経った、50分経過したのか?じゃあ島の皆は·····」
「もう終わったかもな」
僕は内心、焦りながらも行動と思考を止めなかった。
「まさかルーナが幻覚を使えるとは、幻覚を使えたのはアイムと言う悪魔ただ1人、アイムの能力だ、なぜ君が使える?」
僕はルーナに問い詰める。
「アイム·····俺ら神の間では有名だな、最強の神デモ.ゴルゴンの仲間でありお前の最初の敵だった男だろ?そして最後にアイムが戦ったのもお前、だろ?奴は英雄か敵か最後まで分からない奴だった······あれが闇堕ちって奴かな?」
ルーナは僕の周りをフワフワと飛びながら小馬鹿にするかのように言う。
「アイムは······僕と良く似てた、だから気が合わなかった、自己主張で傲慢、無愛想で目付きが悪い、口も性格も悪い、そして大切な人への愛情が深い、不器用な者同士だったよ········で?なんでアイムの幻覚を使えるの?」
再び、強めに問い詰める。
「最初はごく普通の悪魔だったのに、力を求め誰よりも強くなった·····今でも最強の悪魔だと言われている」
だがルーナは問いかけに答えない。
「アイムを殺したのはクルーニャだった·········君がアイムを殺したのか?」
僕は違う質問をする。
少し焦っているせいか苛立ちが隠せない。
「島の皆が皆が待ってるな、行くぞ」
ルーナは質問に答えずそうい 言って手を差し伸べた。
僕を足止めしたのに最後は仲良く帰ろうなんて·······バカにしてる。
魔道士大会に引き続き今回もルーナに負けた。
足止め成功·····勝ち負けがあるならルーナが勝ちで僕は負け······悔しい。
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魔道士協会本部。
協会の者はモニターの映像で島の様子を確認していた。
「ん?すまん電話だ」
協会の1人がポケットからスマホを出して電話に出る。
「もしもし」
「島の様子を教えろ」
女性の声だ。
「誰かな君は?」
「神だ」
「は?」
「はぁぁ、美叶だ、何かあったらこの番号に電話しろとジャックが親切で言った、何かあるから電話した」
女性――美叶はため息をついて冷静に言った。
「ジャック?あの少年か······で?なぜ島の様子を?」
協会の男が問いかけた。
「七つの大罪が居る場所、教えろ、どうせ人手が足りないんだろ?」
「分かった、ラースは島で1番大きな橋がある場所、エンヴィーとスロウスは刑務所、グリードとラストは学園に向かっていた」
「ラトニーとプライドは?」
美叶の問いかけを聞き、男は急いでモニターの前に立った。
モニターの映像を探る。
「ラトニーはユグドラシル最大のデパートに入った、探すのは難しいだろう·····プライドは探せなかった」
「良くやった、また後で連絡する、その時は素早く出なさい」
美叶はそう言って電話を切った
「美叶はどこに向かったんだ?」
男は不思議に思いながらもモニターの前に座る。
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「着いた、僕の糸ならバイクよりも早いな」
美叶が向かった先はデパート。
ユグドラ学園並の大きさだ。
「なるほどな、移動手段は待機·······なぜ島内で待機を?」
美叶は不思議に思いながら愛瑠と共にデパートに入る。
店の店員達や客は誰1人居なく静まり返っている。
「緊急サイレンで避難したのか、なら探しやすい」
壁や床や天井に糸を引っ付けて体を引っ張ってもらう事でデパート内を移動する。
愛瑠も美叶に引っ張られ宙に浮いているように飛んでいる。
美叶は周りをキョロキョロと見ながら1階から2階と上がって行く。
「ん?」
3階、洋服屋の中に誰か居る。
綺麗な青髪で落ち着いた様子の美女――ラトニーだ。
「あ」
「居た」
美叶とラトニーは目が合う。
美叶は呆然と立ち尽くし、ラトニーは大量の洋服と大量の食料を袋に入れて持っている。
「あの、しっかりお金払っているので見逃して下さい」
「金より命を落とせ」
ラトニーは困った表情を浮かべ、転移空間に洋服と食料を入れる。
その瞬間愛瑠が小刀を取り出しでラトニーに突き刺そうとする。
「あの、悪いのは私ですけど今のは流石に度が過ぎてます、貴方達の方が悪くなりましたよ?」
小刀を避けたラトニーは少し怖い表情を浮かべ、転移空間から銃を取り出した。
「髪の色から見て魔道士か霊媒師·····」
ラトニーは引き金を引き銃の弾丸を愛瑠の脳天に当てる。
「愛瑠!!」
美叶は咄嗟に愛瑠の名前を慌てた様子で叫んだ。
「次は貴方·····え?」
ラトニーは銃口を美叶に向ける。
だが愛瑠は平然として生きておりラトニーに向かって飛ぶのを止めない
「なぜ生きて·····あ、貴方·····」
ラトニーは愛瑠を目の前にして何かに気付いたように表情が固まる。
そして愛瑠に試着室まで蹴り飛ばされる。
周りに掛かっていた洋服も吹き飛び床に洋服の山ができる。
「愛瑠?さっき愛瑠と言った······生きていた?リーダーに負けたはずじゃ······そっちの女性は彼の仲間って事ね」
ラトニーはそう言って転移空間に入り姿を消す。
「愛瑠、構えて」
再び静まり返る。
このデパート内にラトニーは居ない、だがすぐに戻ってくる、美叶はそれが分かっていた。
上か下か右か左か·····どこから来るかは分からない。
ダンっ!美叶は突然胸を打たれた。
銃の発砲音と共に美叶のワンピースは右胸部分に穴が空く。
「正解は既に居た、私は洋服の山に隠れていたの」
倒れている洋服の山から銃を持ったラトニーが現れる。
「がぁ!」
美叶は苦しそうに胸を抑え倒れ込む。
「油断はしないわ」
追い打ちをかけるように美叶の頭に銃口を定める。
「愛瑠の動きも止まった·····やはり死体を操る魔法らしいわね······」
ラトニーはを銃弾を発泡した。




