動き出す復讐者
「やっと1週間終わった!休日は久しぶりに遊ぼうかなー!」
1週間の終わりにアーサーは決まって喜ぶ。
背伸びをして眠そうに寮に帰ろうとする。
「ウ〜!ウ〜!ウ〜!」
突然島中にサイレンが鳴る。
島の中に侵入者が現れた時になるサイレン。
「七つの大罪か?」
「手遅れになる前に、真理の――」
僕が真理の義眼を使おうとした瞬間、ルーナが僕に目潰しをした。
「い!」
「お前は俺と一緒に神界だ」
ルーナはアーサーにバレないように僕を背後から連れ去り煙のように消えた。
「ん?ジャック?まさか先に行ったのか?早い奴だ」
「皆教室で待機して!寮や家にはまだ帰らないで!」
アーサーが教室を出ようとした途端、ミハエル先生が慌てた様子で教室に入って来て言った。
「今だけ悪い子になる!」
アーサーは教室のロッカーに入った、布で包んだ剣を背中にかけて教室を飛び出した。
「アーサー!戻るんだ!また無意味な事を·····皆は教室で待ってなさい、先生はアーサーを連れ戻す」
ミハエル先生はアーサーを追う。
アリスを含めた生徒達は教室で待機する。
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魔道士協会本部。
「殺られた!まさか先に島の魔道士を狙うとは·····」
モニター映像には5人の男達が七つの大罪ラースと見られる男を相手に戦っている。
5人の男はラースに追い詰められている。
「今動けるのは学園の教師であるミハエルだけ、それに魔道士専用刑務所も襲われた、鬼の兄弟は状況的にすぐには向かわせれない······」
違うモニター映像では刑務所がエンヴィーとスロウスによって壊されかけていた。
建物が崩れ中に居る囚人や看守達が生きているか分からない。
協会の者は皆頭を抱え込む。
「そなた達にまだ希望の光はある、この場に俺が居た事、それが唯一の救い」
そこに椅子に座って居た竜介が刀に手を置いて、自信満々に言った。
「おお!ならばすぐに頼む!状況などはこちらから伝える!」
「任せろ、流石に師を殺されて黙る訳にはいかない、日本男子の誇りが許さん」
竜介は部屋を出た。
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「サイレンの音·····来たな悪魔、待っていたよ」
島の中にある建物の屋上。
ベンチに愛瑠と共に座っている美叶が麦わら帽子を手で抑えながら呟いた。
麦わら帽子にも愛瑠の髪の毛にも雪が積もっている。
「今すぐラースを殺したいが······まずは奴らの移動手段を壊す·····神直々に神の裁きを下す」
美叶は愛瑠と共に立ち上がり、雪を掘ろって海を眺める。
「島の子供達を守ろう、愛瑠が守りたかった者を僕が守るよ」
美叶は屋上から飛び降り、姿を消す。
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「アーサー!待て!」
「無理です!」
ユグドラ学園の廊下では玄関に向かって走るアーサーがミハエル先生に追いかけられていた。
「悪い先生!後で処罰は受ける!」
アーサーは玄関を出て、振り返ってそう言った。
その瞬間アーサーは誰かにぶつかる。
「いてッ」
「捕まえた······貴方達は?」
ミハエル先生はしりもちをついたアーサーの両手を掴み抑える。
アーサーとミハエル先生の前には2人男性が居る。
1人は灰色の髪の持つオシャレな若い男、もう1人は緑色の髪を持つシュッとした体系の男。
「お前は!?ラストと――」
「あー!貴方達はもしかして新しく配属される教師ですね?すみません今非常事態でして、もうしばらくお待ちを」
アーサーの声はミハエル先生の声により掻き消された。
2人の男はキョトンとして不思議そうにしている。
「非常事態が終わるまでこちらの部屋に着て下さい」
ミハエル先生はそう言いながら緑髪の男の目を潰し、灰色の髪の男を蹴り飛ばした。
「くっ」
緑髪の男は目を抑えながらミハエルの体に触り爆破のような現象を起こした。
「効かない」
ミハエル先生はアーサーの背中にかけてある剣を引き抜き、緑髪の男の胸を突き刺す。
「がぁ!」
「アーサー、言いたい事は分かる、こいつらは七つの大罪グリードとラスト····先生も分かってる」
ミハエル先生が剣を引き抜き、緑髪の男――グリードは床に倒れ込む。
「流石ロシア1位、改めて先生が凄いって分かったよ」
アーサーはゆっくりと立ち上がり、ミハエル先生から剣を受け取る。
「鎖が無かった為、やも得なかったが·····アーサー、君は殺してはダメだ、約束は守ってもらう」
「は、はい」
アーサーは剣に鉄の鞘を付けてガックリする。
そして灰色の髪の男――ラストがムクっと起き上がる。
「グリード?あーダメダメ、気にしても何も生まれない、奴らを倒す事を考えなきゃ·····あ、アーサー!再戦できるなんて嬉しい!少し背が伸びた?けどまだまだ子供だね」
ラストは倒れ込むグリードを見て尚、冷静さを保つ。
それどこらかアーサーに手を振り、嬉しそうに笑う。
「本当に生きてやがったとは」
「空気の魔道士ラスト、奴は七つの大罪の中でも多くの魔道士を殺している·····手強いだろうな」
アーサーとミハエル先生は警戒しつつもラストとの距離を縮める。
「上位クラスの魔道士2人?難易度高い!まぁ、関係ないけど」
ラストは指を銃の形に似せてアーサーに向ける。
「空気弾、バーン!」
アーサーは左に避けるが空気の弾丸――空気弾は剣に当たり、剣が後方に吹き飛ぶ。
「空気を割らせない為剣を封じたか、意外と賢い奴だ」
アーサーはそのまま突っ走った。
「もう1発――」
再びラストは空気弾を放とうとするが背後から来たミハエル先生に気付き背後に蹴りを放つ。
蹴りが避けられ、次に壁全体を触るかのように空中を触る。
「見えないが空気か?」
ミハエル先生は違和感を覚え後方に足を運ぶ。
「遅いよ不死身の先生!」
プシューと空気が抜ける音と共にミハエル先生が後方に吹き飛ぶ。
「次はアーサーかな?」
「舐めんな三下、俺はお前より強い!ウェザー.ヘイル!」
アーサーが天に向けて手を上げると上空の低い位置に雲が出来て雲から雹が降る。
「出たよそれ、通称空気殺し、だが空気弾は関係ない!」
ラストは再び空気弾を放つ。
アーサーは瞬き1つせずに空気弾を避けてラストに蹴りを入れる。
「指の方向を見て避けたか?」
「まだ安心するな、邪悪なお前を浄化してやる、ウェザー.サン!」
手の平に小さな太陽を創り、ラストの腹に当てる。
服が燃え、腹が焼けて抉れる。
「がぁ!!」
ラストは血を吐きながら後退りをする。
だが背後から来たミハエル先生によってラストが腕を後ろに回され地に抑えられる。
「強くなったね、スロウスの言う通り、お前は強いな······だけど上には上がいる」
「?」
ラストが低い声で呟いた瞬間、ミハエル先生がグリードによって腹を殴られる。
更に追い打ちをかけるように頭を殴り床に叩き落とす。
「がぁ!」
「再生魔法で癒せるのは傷口や失った部位、ならば再生が無意味の攻撃を食らわすだけです」
ミハエル先生は血を吐いて倒れ、グリードは平然と立っている。
「な、ぜ?剣の傷も目も治って······」
アーサーは困惑する。
「グリードさすが、魔法を取ってたのか····俺ギブ、後頼んだ······ヒューバタン」
ラストはふざけた口調で言い、目を閉じ気絶した振りをする。
「まったくラストは······」
グリードはため息をついてアーサーの方を見る。
「そ、そう言えば思い出した、資料に書いてあった······爆破した者の魔法を一定時間使える·····爆破魔法のグリード·····」
アーサーは唾を飲み込み、背後に落ちてる剣を横目で見る。




