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愛を知らない神様  作者: ビター
復讐の開幕編
62/113

美叶を追う者

 

  ここは少し大人の世界かもしれない。

  薄暗い部屋の中、ベッドの上には桃色の髪の女性――美叶と水色の髪の男性――愛瑠が裸で居る。

  美叶の上で寝っ転がるような形で2人はベッドに座っている。

 

  「········」


  愛瑠は美叶の体の上で寝返りをして美叶の上から美叶の胸に頬当てて抱き着く。


  「そうかそうか、僕も愛瑠が好きだよ」


  美叶は微かに微笑みながら愛瑠の頭を撫でた。

  愛瑠は無表情で微動だにしない。

  顔には軽く化粧がされていて肌の色合いが良い。

  それに比べ体の肌はツヤが悪い、まるで死人のような肌色だ。

  目にも光が無い、体に少しの震えも無い、見るからに奇妙だ。


  「君は僕の天使·····僕は君の神·····敵は悪魔だ」


  美叶がそう呟くと愛瑠が真正面から美叶を抱き締める。

  美叶は愛瑠の表情を背後にして虚ろな目をする。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  季節は夏、日差しがギラギラと眩しい。

  魔道士協会は竜介を連れて島にあるマンションを訪れていた。


  「愛瑠さんや他の3人は居なかったんですよね?」


  竜介が問いかけた。


  「はい、これは謎を知る最後の希望です」


  協会の者5人、竜介を含めて6人はマンションの3階まで行き奥から2番目の部屋を訪れた。

  ピンポーン!と玄関チャイムを鳴らす。

  しばらくするとチェーンロックしたまま扉からゆっくりと1人の女性が顔を見せた。

  白いワンピースを着た桃色の髪の女性だ。


  「協会の者·····何でしょう?」


  女性は協会の者が付けている『魔道士協会』と書かれた腕章を見て言った。


  「愛瑠様の事に付いて聞きたいんですけど」

  「愛瑠?」

 

  女性は虚ろな目を細めた。


  「監視カメラの映像で愛瑠様は貴方を抱えて寮の屋上を去りました、あの後愛瑠様や仲間の3人はどこに行ったのか····知りたいです」

  「私を置いてどこか去りました、島内のどこかでしょう」


  女性がそう言うと協会の者は鼻で笑った。


  「愛瑠様達がこの部屋に入るのも監視カメラに映っていましたよ?」

 

  女性は微動だにしない。

 

  「何が目的だ」

  「部屋の中を見せてもらいましょう」


  竜介が腰から抜いた刀でチェーンロックを切った。

  すると女性を無視して協会の者と竜介は部屋の中に入ろうとする。


  「やめてやめて、出てって」


  女性がムシャクシャする中、6人部屋の中をあちこち捜索していた。


  「愛瑠様?寝てる?」


  1人の協会の男がベッドの上で下を向いて座り込む愛瑠を見つけた。

 

  「居ました!愛瑠様が!!」


  男がそう言うと協会の者と竜介は急いでベッドがある部屋に向かう。

  6人はベッドの上で座り込む愛瑠に恐る恐る近付く。

  体は足まで白い布が覆って見えない。

  だが髪色は愛瑠の物だ。


  「寝ていないか?」

  「取り敢えず女を連れて事情を聞こう」


  眠ったように目を閉じている愛瑠を見て協会の1人が女性の腕を掴み外に連れ出そうとする。


  「離せ」

  「話は本部で聞く、愛瑠様も一緒――」


  女性の手を掴んでいた男は突然起き上がった愛瑠に殴られた。

  愛瑠は腕や足に力が入ってないかのように立っている。

  いや、白い布を引きずり足が見えない為、立っているのか浮いているのか微妙だ。


  「な、起きた?」

  「何か変だ」


  愛瑠はそのまま女性の肩に手を回して女性にキスをした。


  「女神様に·····触るな」


  愛瑠の声は以前より少し高く電子音のような声だ。

 

  「分かった、何か変だと思った、愛瑠さんは既に死んでる······奴が殺ったんだ」


  竜介は奇妙に動く体と目に光が無い愛瑠を見てそう言った。


  「確かあの女性は愛瑠さんの仲間だったのだろ?ならば奴はスパイだ!」

  「待て竜介、愛瑠が死んでる?例え死んでても殺ったのはラースだろ?それに愛瑠は今喋ったし、動いてる」


  協会の男は震えながら言う。


  「愛瑠さんがラースに負けるはずは無いんだ、最強の略奪魔法だぞ?奴はきっと七つの大罪のスパイ、あるいは雇われた殺し屋とかだ、仲間なら愛瑠の死体を隠さない」


  竜介は鞘が付いた刀を手に取り女性と愛瑠に近付く。


  「神である僕から天使私奪おうなんて·····これだから男は·····」

 

  女性がそう言うと竜介が女性に刀を振るう。

  だが竜介は愛瑠に殴り飛ばされる。


  「竜介?愛瑠の弟子?そうか」


  女性は窓を割って3階の高さから飛び降りた。

  協会の者が急いで窓を除くと愛瑠と共に女性が街中を逃げていた。

 

  「やばい!逃げられる!」

  「俺が行く、そなた達より早い」


  竜介はゆっくりと立ち上がり足に光輝く魔力を纏った。


  「頼んだ竜介、彼女の名前は美叶、糸の魔法を使う、他にも魔法があるかもしれないから気おつけろ」

  「承知」

 

  竜介はドアから出て素早くマンションを降りて女性――美叶を追う。


  「取り敢えず、島を出ないとならない」


  美叶は糸を使い建物から建物に飛び移り移動していた。

  愛瑠も不思議な事に宙を飛んで美叶についてきている。


  「ん?」


  しばらくすると美叶は違和感を覚えた。

  後ろを振り返ると凄い速さで竜介が走っていた。


  「100m9秒台の速さだ·····光魔法で駆け足のスピードを上げたのか?体力を保ちつつ素早く動いてる」


  美叶も少しスピードを上げた。

  地面に居る竜介を見て建物の屋上から屋上へ糸を使って移動する。

  竜介の死角に入った。


  「逃がさない、師匠を殺し体まで弄ぶとは······相手が女でも日本男子として蹴りをつける!」


  竜介は建物に近付き下から美叶を見上げれる位置まで移動する。

 

  「まだだ、ここじゃ当たらない······もう少し低くて不安定な場所に来い」


  竜介の手は銃の形に似せて建物から建物に飛び移る時だけ見える美叶に向ける。

 

  「確かあの子は光魔法、建物の上まで来れるような魔法じゃないらしい」


  チラリと下に居る竜介を見て呟く美叶。

  だが目の前を見て動きが止まる。


  「ここから先は建物が少ない、あっても低い建物ばかり」


  美叶の逃げた先は高いビルやショッピングモールなどが無く、竜介の視界に入りそうな小さなお店ばかりだ。


  「ここで時間を取られると他の魔道士が来るかもしれない、それに引き返せば島の外と反対方向····」


  美叶は下を覗いて周りを見渡す。


  「今だ!光魔法!」


  竜介から美叶の姿が見えた。

  途端に光魔法の弾丸を美叶に向けて放つ。


  「光!?」


  美叶はギリギリで銃弾よりやや早い光の弾丸に気付くが足に当たってしまう。


  「いっ!」


  屋上から足を踏み外して愛瑠と共に落下する。

  だがすぐに壁に糸をくっ付けて糸にぶら下がる。

  愛瑠も同時に宙に留まる。


  「まだ!」


  2発目の光の弾丸が美叶を襲う。

  それに気付いたように美叶の目の前に愛瑠が現れ、光の弾丸から美叶を守ろうとする。


  「俺の師を盾に使わせない」


  弾丸は愛瑠の前で曲がり、美叶の頭を狙う。

  だが美叶は掴んでいた糸を一瞬離し、自身の頭の位置を下に下げて弾丸を避けた。

 

  「糸が切れた?」


  美叶が避けた事により光の弾丸は糸に当たり、糸を切った。


  「糸魔法」


  再び糸を出し、蜘蛛の巣のように糸を貼り、その上を走る。

  だが竜介は蜘蛛の巣の足場の下を素早く走り抜け美叶の前に出る。


  「スピードを上げた?」

  「光魔法!」


  再び光の弾丸を放ち、美叶の腹に当てる。

  美叶は血を吐いて糸の足場から落ちてしまう。

 

  「動くな!そなたが動かなければ殺しはしない」


  竜介は息を切らしながら倒れる美叶に銃の形に似せた指を向ける。

 

  「僕からまた何か奪う気か·····絶対逃げてやる」

 

  美叶はゆっくりと竜介を睨む。

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