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愛を知らない神様  作者: ビター
天使対悪魔編
53/113

天使に愛を

 

  カフェのような場所で愛瑠の仲間のウリ、ラファ、ガブリはソワソワしていた。


  「ただいま」


  朝7時、愛瑠はカフェのドアを開けてカフェの中に入る。


  「どこ行ってた?」

  「せめて連絡つけなさい!」


  ウリとガブリが少し怒って言った。


  「ごめん、それより美叶は?」

  「美叶の部屋だ」

  「ありがと」


  愛瑠は少し急いだように2階に上がった。


  「美叶!入るよ?」


  コンコン。

  愛瑠は美叶の部屋のドアをノックする。


  「どうぞ」


  美叶がそう言うと愛瑠はゆっくりと部屋に入り椅子に座っていた美叶の元まで行く。


  「どうしましたか?天使様」


  真剣な表情をする愛瑠を見て美叶は首を小さく傾げた。


  「人を殺せるか?」

  「人を?」


  急な質問に美叶は少し戸惑った。


  「実は下に居る皆は前科持ちの殺人経験者なんだ、七つの大罪を倒すってのは殺すって事、僕と君だけが殺しの経験が無い」

  「殺れます、天使様の為なら」


  美叶は即答した。

  それを聞いた愛瑠は嬉しそうに口を軽く開けた。


  「なら、今日、殺せる?」

  「はい」


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  大きなホールだ。

  講演会のような場所で席がビッシリ埋まっている。

  軽く500人は居る、それくらい広い。


  「えー、これから七つの希望様の講演会を始めます」


  ステージの上でマイクを持った若い男が言った。

  白いシルクハットに白いロングコート、そして白い靴。

  白ずくめの男はそのまま講演会を始めた。

 

  「まず皆様に聞きたい事があります、皆様は七つの大罪と呼ばれる反魔道士軍の信者ですか?そうなら手を挙げて下さい」

 

  男がそう言うとほとんど――いや、全員の手が挙がった。


  「次に聞きます、七つの大罪がやり遂げようとしてる事に命を賭けれますか?」


  またまた手が挙がった。

  少しづつ増えていく手は最終的に全員になった。


  「····狂信者共、講演会は終わり終わり!死刑執行に移行する!」


  男は突然態度を変えた。

  するとステージ端から3人の男が現れる。


  「悪魔の信者も共犯者だ!天使直々に始末する!」


  男がそう言うと赤髪の男が手を観客席に向ける。


  「火魔法」


  観客席には上から火の玉が次々と落ちる。

  人々は慌てて4つある出口のドアの元へ行くがドアが開かない。


  「開かない!!」

  「貸せ!」


  人々がドアを引っ張る中、男達がドアを同時に蹴り飛ばす。

  ドアは蹴りの威力に耐えきれず壊れた。


  「良し!ナイスだ!」


  1人の男性が壊れたドアを避けてホールを出ようとした瞬間、男性は首に糸が巻かれ一瞬で天上に吊るされた。


  「きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!」


  天上を見上げて女の人が悲鳴を上げた。

  天上には何人もの人が蜘蛛の糸のような物に首を吊らしていた。

  全員天上で首を吊ったまま死んでいる。


  「光魔法」

  「水魔法」


  ステージに居た青髪の男は手から水の弾丸、金髪の男は手から光のレーザーを放ち次々と人々を殺す。

  人々はホールを脱出する事なく殺される。


  「愛瑠、終わったんじゃないか?」

  「終わったね」


  人々の死体が転がる中、死体に隠れて1人の女性が息を潜めていた。

  だがそこにもう1人の女性が来て女性を見つめた。

 

  「生きてる····」

 

  女性は美女だがとても怖い雰囲気の女性だ。

  髪は桃色、血を浴びた女性は死体に埋もれている女性にゆっくりと触ろとする。


  「助けて下さい!弟が家で待ってるんです!だから命だけは!」


  死んだふりをしていた女性は体を起こし慌てた様子で泣きながら言った。

  すると桃色の髪をした女性は、


  「私も弟が居た······けど貴方みたいな狂信者が居たから死んだ······これは意地悪じゃなくて天使様のお告げなの」


  手から糸を出し女性の首に巻いた。

  そして糸を引っ張るように指を曲げると女性の首も曲がり、死んだ。


  「怪我は無いかい?」


  女性に白ずくめの男が手を差し伸べた。


  「ありがとうございます、天使様」

  「美叶の髪って桃色だったんだね、とても似合っているよ」


  男――愛瑠にそう言われた女性――美叶は少し顔を赤くして目を逸らした。


  「ありがとう····ございます」

  「糸魔法····訓練したらもっと強くなりそうだね」

  「はい、強くなります――」


  美叶はそう言った瞬間膝を落として倒れた。


  「美叶?」

  「すみま――」


  美叶は吐いてしまった。

  胃液を口から吐いて苦しそうにしている。


  「無理もない、死体が生々しすぎる」


  足場が死体で埋まるホールは死体と血の匂いがプンプンする。

  常に死んだ人の肉の感触に触れている状態。

  覚悟が決まっていても吐いてしまうのは無理ない。


  「ウリ、車の準備」


  愛瑠は美叶の背中を擦りながら言った。

  赤髪の男――ウリは青髪の男――ラファの水魔法で体を流してもらいホールを出て行く。

  ラファと金髪の男――ガブリも水魔法で体を流し、血や匂いを取る。


  「よしよし」


  愛瑠が美叶の背中を擦る中、美叶は死体の床に手を付けて虚ろな目をしていた。

 

  「私、これから殺るんだ······七つの大罪もこんな風に」

 

  美叶はそう言ってよろめきながら立ち上がる。

  だが体が崩れ落ちる。


  「くっ·····」

  「無理はしない」


  崩れ落ちた美叶を持ち上げお姫様抱っこする愛瑠。

 

  「天使様····すみません」

  「お疲れ様」


  愛瑠は美叶と共にラファの水魔法で血を流しホールを出た。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  愛瑠達は車で1時間掛けてカフェに戻った。


  「愛瑠着いたよ」

  「····眠い」

 

  車で寝ていた愛瑠と美叶は目を覚ます。

 

  「お腹空いたー」

  「今作る」


  汚れた服は洗濯機に放り込む。

  シャワーだけ浴びて着替えたガブリは料理を始めた。

 

  「美叶、お風呂どうぞ」

  「ありがとうございます」


  その間に他のみんなは順番にお風呂に入る。


  「わお!」


  ガブリ以外お風呂から上がると机には食事が並んであった。

  パッと見、牛肉、ピザ、唐揚げ、サラダ·······デザートにはケーキまである。


  「天使である事に感謝を込め·····いただきます」


  皆が席に着くと愛瑠が落ち着いた様子で言った。

  そして皆も、


  「「「いただきます」」」


  食事は楽しい。

  愛瑠達の食事は腹を満たすことを目的としてはいない、娯楽を目的としている。

  それは楽しそうにしながら気ままに話し、ゆっくりと食べる愛瑠達を見たら分かることだ。


  「ごちそうさまでした」


  皆が食事を終えたのは食べ始めてから1時間経った頃だった。

 

  「ねぇラファ、おすすめの音楽とかないの?」


  食事を終えても楽しい会話は終わらなかった。


  「何だろう······あ、最近早りのバンドの曲で『天使に愛を』って曲かな?けど歌い手が最近死んだ?らしい」

  「天使!!聞きたい!」


  天使と言う言葉に反応したかのように愛瑠が嬉しそうに言った。

 

  「そのバンドの歌い手、私の弟です」


  美叶が無表情で言った。

  ラファは申し訳なさそうな顔をし、ウリとガブリがラファを睨む。


  「·····良かったら歌ってくれない?ここにはマイクもあるし」


  空気が重くなる中、愛瑠が美叶を見つめて言った。


  「愛瑠!?」

 

  ウリやガブリが困った顔をしながら愛瑠を見る。

  だが美叶は愛瑠を見て、


  「ぜひ」


  少し微笑んだ。

  愛瑠からマイクを受け取った美叶はカフェの1階にあった小さな小さなステージのような場所に上がる。


  「『天使に愛を』、歌います」


  透き通るような声だ。

  それで尚、感情が伝わってくる。

  苦しい人が必死に生きているような、そんな歌詞と歌の雰囲気。

  美叶は泣きそうになりながらもニコッと笑い歌った。

  その歌は愛瑠を泣かせた。


  「いい曲だ····毎日聞きたいくらいだ」


  愛瑠達はうるっと来た。

  そして歌い終わった美叶に拍手をする。

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