表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛を知らない神様  作者: ビター
スロウス編
50/113

信じた道

 

  七つの大罪が島から居なくなると島全体にアナウンスが流れた。

  イアン達はそれを聞き嫌そうな顔を見せた。


  「あの、ジャック様·····ありがとうございます」


  イアンは口調を敬語に変えて目を逸らしながら頭を下げた。


  「こちらこそ島を守ってくれてありがとうございます」

  「いや、そうじゃなくて」

  「?」


  逸らしていた視線は下を向き、ゆっくりと僕の目がある目隠しを見始める。

  そしてしっかりと僕の方を見て、


  「マザーを助けてくれて·····俺達を救ってくれて·····ありがとうございます」


  深く、長く、お辞儀をした。


  「救ったのはアマノだよ」

  「アマノ?」


  イアンは顔を上げて不思議そうにした。


  「僕の神様·····僕はアマノの意思を引き継いでいる、アマノの存在が無かったらこんな事はしてない」

  「どんな人·····神だ?」


  イアンの問いかけに対し僕は首にかけているペンダントを取り出す。

  ペンダントには小さな写真を入れる物がある。

  僕はゆっくりとその写真を入れる蓋を開ける。


  「こんな神」

  「····ジャック様のお姉様?お母様?それとも····」

 

  写真の中にはアマノの写真が入っている。

  美しい白髪、瞳、顔立ち、肌、まさに女神様だ。

  イアンは僕とアマノの髪と瞳が同じだから血の繋がりだと勘違いしたのだろう。


  「血の繋がりは無いよ、髪や瞳が同じなのは僕がアマノの目を持っているから」


  僕は目隠しを取り、自分の目をしっかり見せる。


  「·····行動してくれたのはジャック様だ、アマノ様にも感謝してるが····俺が1番感謝してるのは貴方だ」

  「嬉しい、ありがとう」


  少し照れながら言う僕を見てイアンは再び目を逸らす。


  「イアン来たよ」

 

  こちらに向かって来るパトカーを見てニコラスが言う。

  ニコラスの後ろにはニコラスの分身3人が1人ずつサントス、シーマス、コルビンを抱えている。


  「鬱陶しいのが来たな·····じゃあ俺らはこれで」


  イアンとニコラスは軽くお辞儀をしてパトカーの方へ去っていた。


  「学園に戻るか」


  2人が去ったのを確認した僕は目をパチパチさせながら再び目隠しをして学園に飛んで向かう。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  ユグドラ病院。

  ユグドラシルにある大きな病院ではスロウスの毒を摂取してしまった生徒達が入院していた。

 

  「毒が無い?健康状態も良い····」


  医者が生徒のレントゲン写真を見ながら呟く。

  医者の目の前にいた1人の男はそれを聞いて、


  「けど亡くなった子の死因は毒でしたよね?」

  「はい、ですが死体の体内にも毒は見られませんでした、魔法の毒だから魔力が切れて解除されたんだと思います」

 

  医者の言葉を聞き男は納得したように黙り込む。


  「それより、生徒から死者を出した····この失態は大きすぎますよ」

  「分かっています、きっと協会の人が1番分かっています」


  男はグッと拳を握り締めて悔しそうに言った。

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  今回2度目の七つの大罪襲撃によって島はかなり傷付いた。

  生徒は15名死亡、怪我人は無し、学園は一部崩壊。

  そんな中、翌日すぐに生徒達の葬式が行われた。


  「しばらく学園休みだね」

  「正直喜べない」


  ヒソヒソと話し声が聞こえる。

  亡くなった生徒の関係者の生徒達が話をしている。

  大人は黒いスーツ、生徒は制服を着て悔しそうな悲しそうな表情を浮かべる。


  「ジャック、治療してくれてありがとな」


  島の高いビルの上から座り込んで葬式の様子を眺めていた僕にアーサーが声を掛けた。

  魔法で造った雲に足をつけながら高いビルまで登ってきた。


  「助けたのはアリスだよ、それよりなぜ僕がここに居ることが分かったの?」


  僕は風のように穏やかに遠くで行われている葬式を見ながら聞いた。

 

  「後をつけてきた、いつも不思議な行動を取るからな」


  アーサーは僕に合わせたように静かに雲から降りて僕の隣に座り込む。


  「やっぱりストーカー体質·····いや、もうストーカーか」

  「違う!」


  静かさと穏やかさをかき消すようにアーサーが怒鳴る。


  「それより何見てるんだ?」


  アーサーが僕に問う。


  「葬式」

  「ここから見えるわけ····あー、神様だからか」

  「真理の義眼を使わなくても視力は全生物の中で1番良い、僕の場合は耳も鼻も直感も優れてるけど」

  「自分で言う事かよ」


  僕とアーサーはしばらく夜の島を眺めた。

  島全体が泣いている。

  けど、泣いている島も美しい。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  七つの大罪アジト。

  ラースは薄暗い部屋で自分の腕を噛み続けていた。

  腕からは血まで出てきた。


  「くっそ····2度目の敗北だ。前回は日本人····今回は殺し屋の囚人·····クソっ!」


  表情からも言動からも悔しさが滲み出ている。

  その一方で悔しさを堪えている。


  「それに加えて白の神·····まさか魔法を封じる為に手を取りに来るとは····」


  ラースは自身の無い両手を見ながら怒る。


  「仕方ない·····バアル――バアル早くしろ!」


  少し怒鳴る。

  すると背後から何者かが現れる。

  背中には黒い羽根、体からは微かに伸びた蜘蛛のような足、頭には黄金に光る王冠――悪魔バアルだ。


  「貴様が怒鳴るなんて珍しいな」

 

  嘲笑いように宙に浮くバアル。


  「悪魔の中に手を再生出来る者は居るか?」

  「治癒魔法を使う者ならたくさんいるが治癒魔法で再生させても時間の立ち過ぎで手が機能しないだろう」

  「ちっ」

 

  ラースはバタッと机に頬を落とす。

  ムカムカするラースにバアルは思い出したかのように、


  「1人他者を優れた治癒魔法の使い手がいる、奴なら」

  「何!?」

  「確か名はレラジェ?」

  「でかした!」


  ラースは飛び跳ねて喜び椅子の上に立つ。

  だが椅子から転げ落ちる。


  「痛い」

  「大丈夫か?」

  「大丈夫だ、問題ない」


  ラースは床に背中を付けたまま胸ポケットに入っている指輪を口で加えて取り出す。


  「プライドが指輪を取り戻してくれた、奴は本当に神様だ」


  ラースは指輪を床に起き、自身も寝返りをして指輪を見つめる。


  「ソロモンの指輪よ力を貸せ!いでよレラジェ!」


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  ラースが居る七つの大罪アジトの別の部屋ではスロウスが何かのパンフレットを見ていた。

  机に肘を付けて眠そうに見ている。

 

  「大学····行ってみようかな」


  スロウスはそう呟いて小さなあくびをする。

  パンフレットの内容は大学の一覧表のような物だった。


  「もう12時····寝るか」


  パンフレットを閉じると立ち上がってロッカーの目の前まで行く。

  ロッカーを開けるとボロボロの学生服があった。

  スロウスはその制服に着替えてベットに潜り込むように寝っ転がる。


  「まず30分、この1年、いや、半年間の幸せを振り返る·····それが終わったらエリザとキースと一緒に大学生活を送る妄想する·····この毎日のルーティンは正直ゲームより楽しい」


  スロウスはフフっと笑いながら丸まって目を閉じる。

  だがしばらくすると悲しそうな表情になり、


  「あの時、キースとエリザを殺したのは正しかったと思い込める·····だけどアーサーに身をあずけて捕まんなかった事·····正しかったと言いきれない······やるべき事はやった、だけどやるべき事をやらなかった時の気持ちだ」

 

  スロウスはギクシャクする自分の心に違和感を覚えながらも瞼をギュッと瞑る。


  「けど今はプライドの言葉を信じよう·····」

 

  スロウスは1滴の涙を流しながらも眠りに入る。

章で分けました。

やっぱり僕は章で分けないと気が済まないらしいです。


スロウス編が終わり、次回から新たな章に入ります。

書くのを楽しみにしていた章なので楽しみです(´˘`*)


改めていつも見てくれてありがとうございますm(*_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ