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愛を知らない神様  作者: ビター
スロウス編
45/113

模範囚

 

  僕の移動魔法の1つコース.レゼンは親しい者の場所に移動できる魔法。

  僕はその魔法でルーナの元へ移動した。


  「来たか」

  「ここは?まさか····」


  移動先はユグドラシル内では無かった。

  見覚えのある、思い出深い場所。

  廃墟のようなビル、それを囲む草原、更にそれらを囲む森。

  アマノの死体が眠る僕とアマノの出会いの場でありアマノの家のような場所。


  ルーナはビルの中階に座り空を眺めている。


  「また時間稼ぎのつもりなの?」

  「まあな」

  「悪いけど島にやり残した事がある、君は僕の魔法で監視させてもらい、僕は島に戻る」

 

  僕がそう言うとルーナは僕を見てニヤリと笑う。

  そしてゆっくりと中を飛び、ビルの最上階に登る。

  僕も釣られるように中を飛び最上階に登る。


  「もし俺がこれを壊そうとしてても·····お前は俺を置いて島に行くか?」

 

  ルーナはアマノの死体が眠るガラスのケースを見ながら僕を脅すように言う。

 

  「僕の方が早いし強い、真理の義眼を使わなくても·····それでも試す?」

  「殺るわけないだろ?ただ時間稼ぎしたかっただけ、けど無駄のようだな。島に戻って大人しく学園の生徒を殺すよ」

  「それもさせない」


  僕は躊躇なく指から光の弾丸を放ちルーナに当てる。

  光はそのまま具現化してルーナを包み込むように体を拘束する。

 

  「ワープ」


  ワープ、その日行った場所どこにでも行ける魔法。

  僕は先程居たユグドラ学園の高等部、廊下に移動する。

  具現化した光の魔法で包まれたルーナも一緒だ。


  「移動が楽に済んだ」


  だがそれを突き破るようにルーナが立ち上がる。

  敗れないような魔法なはずだがルーナにはあまり効かないらしい。


  「皆の命が危ないかもしれないんだ、真理の義眼を使わせてもらう」

  「別に良いけど?」


  僕は真理の義眼で島内の全てを見通す。

  島内には既に七つの大罪が侵入しており、学園内ではアーサーとスロウスが戦っている。

  だが、


  「ぐっ」


  目が割れるように痛む。

  ルーティンである朝の真理の義眼の訓練、スロウスの毒抜き、島内を見通す。

  今日はいつもより使い過ぎた為、痛んできたのだ。

 

  「使い過ぎだな、どんなチートにも欠点はある。諦めて俺の時間稼ぎに付き合え」

 

  ルーナも真理の義眼の欠点を理解してるようだ。

 

  「君を実力で止めて、僕は皆を助けに行く」

 

  僕は魔法陣を出し、そこから妙な紋章が入った白色の目隠しを取る。

  目隠しを目が見えないように押し当てるように巻く。

  僕は視界を封じ感覚を研ぎ澄ます。

 

  「ポム、出番だよ」


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  ユグドラ学園から少し離れた街中では既に七つの大罪が現れていた。

  島に住むミハエル先生を含んだ6人のSランク魔道士達が戦っているが今にも負けそうだ。


  「あっちは5人なのに····せめてラースさえ居なければ」


  七つの大罪はラース、ラトニー、エンヴィー、グリード、ラストの5人。

 

  「前は大会があって厄介な奴らもたくさん居たからな····光を使う日本人はこの島に居ないらしいし、お前らは敵ではない」


  ラースを先頭にほぼ無傷な七つの大罪に比べミハエル先生達はかなりピンチだ。

  ミハエル先生の再生魔法のおかげで何とか見た目の傷は無いが骨が折れている者、内蔵が潰れている者が居る。


  (自国のSランク魔道士10人を1人で殺ったラース、考えて見れば俺達だけじゃ勝てる訳が無い。それに仲間もラース程では無いが強い····)


  ミハエル先生が平然を装って考え込む中、ラースは魔道士達に手をかざし、


  「再生魔法は厄介、先に死んでもらう」

  「またか!」


  ミハエル先生はラースの手元に引き寄せられる。

  距離が近かった為、武器である鎖にも素早く手が届かなかった。


  「必ず死ぬように体を潰す」

  「ミハエル!!」


  ミハエル先生が手元に来る前にラースは何者かに銃で頭を打たれる。

  頭から血を流し、ラースが倒れる。


  「リーダー!!」

 

  魔法が解除され、その隙にミハエル先生は後ろに下がる。

  ラトニーはラースを心配しながら銃弾が来た方向を見る。

 

  「あのガキ共は·····まさか?」


  そこには5人の囚人服を着た囚人が少し高めの場所に居た。

  全員髪の色が異なり、どう見ても魔道士だ。


  「アメリカの殺し屋!?脱獄したのか?」

 

  5人を見てミハエル先生が驚く。

  それを聞いたグリードが反応して、


  「アメリカの殺し屋、鬼の5兄弟、捕まったと聞いてた····それに初めて見ました」

 

  だが赤髪の囚人――イアンが否定するように、


  「いや、俺達はただの模範囚だ」


  5人はミハエル先生やラトニーの近くに行く。

 

  「くっ····まさか囚人を駒に使ってくるとは」


  銃で打たれたラースが軽く血を流しながらゆっくりとラトニーの膝から起き上がる。

 

  「やっぱ生きてた!」

  「当たる瞬間に自身と弾に磁力を発したか」


  囚人達――イアン達はゆっくりと七つの大罪を囲むように回り込む。

  ラースはその状況を冷静に、


  「俺の魔法属性も知られてるのか····」


  イアン達はいっせいに七つの大罪に攻撃を仕掛ける。

  だがラースの磁力魔法により吹き飛ばされる。


  「馬鹿め」

  「サントス、殺れ」


  イアンは状態を起こし、冷静に回りを見る。

  すると緑色の髪をした囚人――サントスが手を天に掲げ、


  「制約魔法」


  紫色の壁のような物が一瞬でイアン達と七つの大罪を囲む。

  ミハエル先生を含めた6人の魔道士は壁の外に居る。


  「イアン兄さんどうする?」


  イアンはスマートフォンを取り出し何かを確認したかのように、


  「この島の学園にある訓練所に俺らを散らせ、終わった者からここに戻れるように。それと磁力使いは俺と共に散らせ、お前らじゃ奴に勝てない」


  七つの大罪がイアン達に攻撃を仕掛けようとする中、サントスはニッと笑い、

 

  「了解!」

 

  紫色の壁とその中に居た者は全て消える。


  「助かった?」

  「らしいですね」


  魔道士達はホッとため息をつきながら座り込む。


  「動ける者は彼らの護衛や生徒達の安全確保を協会と連絡を取りながらしましょう」


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  ユグドラ学園の第1、第2、第3、第4、第5――各訓練所では七つの大罪と呼ばれる魔道士と鬼の5兄弟と呼ばれる殺し屋達が戦いを始めようとしていた。


  第1ではラストとコルビン。

  第2ではグリードとシーマス。

  第3ではエンヴィーとサントス。

  第4ではラトニーとニコラス。

  第5ではラースとイアン。


  イアンやラースが飛ばされた場所はユグドラ学園の訓練所。

  サントスの制約魔法の効果で全員が各訓練所に飛ばされたのだ。


  そして第5訓練所では、


  「いくら1000人以上殺した殺し屋でも魔道士との戦闘経験は俺の方が上だ」

  「マザーの為なら····それにこの学園で安らぐジャック様の為にも····殺されはしない」


  ラースとイアン、2人のリーダーが睨み合っていた。

 

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