動き出す者達
ユグドラ学園魔道士科、中等部2年A組。
「また明日元気に登校して下さい」
白髪の少年ジャック――僕のクラスはその日の授業が全て終わり放課後の帰る時間帯になっていた。
「ん?」
僕がアーサーと共に帰ろうとするとミハエル先生が慌てた様子で走ってきた学園の先生に連れてかれた。
話を聞いていたミハエル先生も焦った様子だった。
「何かあったのかな?」
アーサーには聞こえてなかったようだが僕にはしっかり聞こえていた。
「高等部の3年生が大勢倒れ込んだらしい、僕見てくる」
僕はそう言ってアーサーを置いて高等部へ移動魔法を使ってテレポートする。
「あ!置いてくなんて·····俺も見にいくしかないだろ!」
アーサーは急いで教室にある自分のロッカーから布に包まれた長い物を取り出しその場を去る。
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僕は気配と直感を頼りに園内を探る。
すぐに高等部の体育館に違和感を感じ、体育館に移動した。
「これは····」
体育館では高等部の3年生と思われる生徒達が苦しそうに血を吐いて倒れていた。
中にはもう死んでる者も居るが生きている者も居る。
「アマノ様、力を借ります·····真理の義眼!」
すぐに目を真理の義眼に変えて倒れ込む全員の体内を見る。
体内には魔力が含まれた毒が入っていた。
「魔法の毒?······スロウスか!?」
そして超能力のように全員の体内から毒を抜き、命の状態を正常に戻す。
だが真理の義眼は完璧では無い、使い過ぎたり規模が大きいと目が痛いなる。
それに過去や遠くの未来は変えられない、何より死んだ命までは復元できない······真理の義眼はそこまで完璧じゃない。
タッタッタッ。
足音が聞こえた。
大人が5人くらい·····きっとミハエル先生達だろう。
「スロウスが居るってなれば七つの大罪も居るかもしれない·····そう言えばルーナを見てない!?」
僕は両目を軽く抑えながら再び戻るかのようにルーナの居場所に移動魔法でテレポートする。
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「学園が大きいから高等部まで来るのに時間が掛かった····ん?」
アーサーは高等部の3年生教室がある階に着いていた。
そして少し遠くの教室から物音がした気がした。
ゆっくりとその教室に向かい、教室のドアをゆっくりと開ける。
「天気の魔道士·····アーサーか?」
「七つの大罪、スロウス」
そこには血を浴びたスロウスと2人死体が居た。
教室の机や椅子は乱雑に置かれている。
そしてお互いに武器を取り合う。
大、中、少の3つの手裏剣を持ったスロウスと輝く剣を構えるアーサーが睨み合う。
「落ち着けアーサー·····俺は復讐者だが悪人では無い、殺しちゃダメだ······感情を抑えろ」
「落ち着けスロウス·····僕は七つの大罪でロスでは無い、壊せ」
お互いに自分に言い聞かせるように精神統一をする。
アーサーには剣に鉄の鞘が付いていて斬れないようになっている。
「真似しやがって·····修行の成果披露してやる!」
剣を持ったままアーサーは机を踏み台にしながら走ってスロウスに近寄る。
だが通常のサイズの手裏剣が飛んでくる。
「情報通り」
手裏剣は剣によって弾かれる。
だが弾いたはずの手裏剣が背後を周りアーサーの周りを一周する。
「な!」
アーサーは腕と足が体にビタリとくっつき何かに結ばれたように動けなくなる。
よく見ると見えるか見えないかくらいの見えずらいワイヤーが手裏剣に付いており、手裏剣を軸にアーサーの体を結んでいた。
「ラストに勝ったらしいけど、相性が良かっただけらしいね·····僕との初見はラストより強いよ?」
スロウスは身動きの取れないアーサーに通常のサイズよりやや大きい手裏剣を両手で振り回し、投げる。
「サン.ウォール」
だがアーサーを拘束していたワイヤーは体から放たれた熱のような物によって溶ける。
そして剣によってやや大きい手裏剣――中くらいの手裏剣が弾かれる。
「避けた?今の魔法は天気関係には見えなかった······けど天気で例えるなら太陽·····まさか太陽の熱を体に纏ったのか!?」
考え込み、答えを推測したスロウスを見てアーサーはニッと笑い、
「当たり!お前が必死に学園の生徒を演じていた間に俺は魔法の応用、剣の使い方、魔力の特訓!たくさん強くなっていたのだ!」
どうだ!と言わんばかりに余裕を見せた状態で笑うアーサー。
だがスロウスはお構い無しに、
「ラストを半殺しにした事、まだ許してないからね?」
中くらいの手裏剣を投げる。
手裏剣には見える太さの紐が付いている。
「サン.ウォール」
アーサーの剣には太陽の熱のような魔力が纏われ微かに熱を発している。
その剣で飛んで来た手裏剣を弾き、紐を斬る。
「手裏剣は2個とも落ちた、最後の武器を出しな」
「お望み通り」
スロウスは床に置いていた手裏剣を持ち上げる。
手裏剣は人の体並に大きく、スロウスの細い体で持てているのが不思議なくらいだ。
その大きな手裏剣にはアーサーが持つ、鉄の鞘付きの剣では斬れないような鎖が付いている。
「勿論鎖にも手裏剣にも毒はたっぷり付着してある。肉体に触れれば溶け、体内に入れば麻痺して死ぬ」
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「七つの大罪がユグドラシルに侵入しました!今魔道士達が戦っていますが負けるのも時間の問題かと····」
魔道士協会の者と見られる者が複数のモニターを見ながら慌てた様子で言う。
「――奴らを出すしかない······ユグドラ刑務所に連絡しろ!」
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ユグドラシル内にある魔道士専用刑務所――ユグドラ刑務所。
囚人が入る牢屋の近くに駆け足で看守と魔道士協会の者が向かっている。
「なんだ?」
看守1人協会の者1人――その2人はある牢屋の前に立ち尽くし中にいる5人の囚人を見下ろす。
「島に七つの大罪が侵入した、今からお前らには七つの大罪を倒しに行ってもらう」
看守がそう言うと囚人の1人が、
「はい分かりました····と言うと思うか?」
「分かっている。取り引きとして欲する物を1つ言え」
看守が待っていたかのように言うと囚人達は考え込む。
だが1人の囚人がすぐに、
「俺達は無期懲役だろ?模範囚なのにそれは酷い······だから刑期を無くす、あるいは短くしろ」
「模範囚だがお前らは殺しすぎた、短くできても4年は居てもらう。それで良いか?」
看守のその言葉を聞き1人の囚人が、
「待って待って!ケーキ4年分ってバカなの!?もっと違うお願いが良い!」
「·····バカはお前だ。ケーキじゃなくて刑期だ」
「·······」
看守も囚人達もその囚人に呆れたような顔をしている。
だが気を取り直したように先程の囚人が、
「刑期4年間で良いだろう、希望が見えて来た。マザーを待たせるのはかっこ悪い」
「交渉成立」
看守は5人の囚人を牢屋から出す。
そして釘をさすように、
「お前には発信機が埋め込まれている、島の外に出れば爆発するようにもなっているから妙な気は起こすなよ?」
「はーい!分かったよ看守のおじさん!」
5人の囚人には看守からスマートフォンを1つ渡される。
「ここには七つの大罪の情報、あとこのアプリで連絡する」
看守はスマートフォンの中身をスライドさせアプリを1つ1つ丁寧に説明する。
「聞きたいんだが·····殺していいのか?」
囚人の1人が思い出したかのように振り返る。
「出来れば捕獲、最悪殺していい」
「了解····依頼はこなす」
囚人達はスマートフォンの地図を見ながら七つの大罪が居る場所へ向かう。




