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愛を知らない神様  作者: ビター
スロウス編
43/113

スロウスの選択

 

  ユグドラ学園霊媒師、3年B組。

  その教室ではキースが血を吐いて倒れている。

  すぐ近くには血を浴びたロスが固まったように教室のドアを開けたエリザを見ている。


  「さっきの銃声みたいな音って·····キース?え?」


  状況が把握出来ないままエリザはゆっくりとロスの近くに行き、倒れているキースを見る。


  「うそ·····」


  エリザはキースが死んでいる事に気付き膝を落として涙を流す。

 

  「僕が殺した」


  ロスが静かに寂しそうに呟く。

  すると信じられないと言わんばかりにエリザがロスを見る。


  「な、んで?」

 

  ロスもゆっくりとエリザの方を見て、


  「僕が七つの大罪、スロウスだから」


  空気が凍りつくようにシーンとなった。

  エリザはその空気を壊すかのように拳を強く握りしめ、


  「止めてよ·····そんなの嘘!だけどそんな顔されたら····否定できないよ」


  ロスもエリザも悲しい表情だった。

  それ以外の表情も感情も無い。


  「君のお兄ちゃんを殺したのも、キースを殺したのも僕だ。そして今から君を殺すのも····全て僕だ」

 

  ロスはそう言った瞬間エリザに殴られる。

  そして仰向けになって倒れ込むロスにエリザが馬乗りになり何発も拳を入れる。

  ロスは全ての拳を受け、抵抗しなかった。


  「お兄ちゃんを返して!!キースを返して!!返して!返して!!返して!!!返してえええぇーーー!!!」


  エリザはロスをボコボコに殴り、涙を流しながら怒り、叫ぶ。

  ロスはただそれを悲しそうに見ているだけだった。

  痛いのは体のはずなに、違和感があるのは心だった。

  しばらくするとエリザはロスの胸をトンッと軽く叩いて、


  「それが出来ないならロスを返してよ」


  エリザの涙がロスのクマがある涙袋に零れ落ちる。

  エリザがロスに跨り、拳を胸元に置いてる、その時間が2人には長く感じた。

  しばらくするとロスが気持ちに答えたかのようにエリザの頬を両手で触る。


  「ロス?戻ってきた――」


  エリザは悲しみの表情から喜びの表情になりロスを見つめた。

  だがロスは頬に当ててた手を下げて、エリザの口に両親指を入れる。

  そのまま口を上に上げてエリザを強引に笑わせる。

  同時に親指から毒を放つ。


  「がァ!····がぁぁ····ケホッ」

  「大量に毒を飲ませた····後1分もせず、君は死ぬ」


  慌ててエリザはゲホゲホと苦しそうに首を手で押える。

  そして再び悲しい表情を見せ、


  「何一つ返してくれないなんて·····最低よ」

 

  苦しそうにしながらもゆっくりと上半身を起き上がらせる。

  ロスはその時不思議と安心していた。


  (ありがとう、最後まで僕を嫌いで居てくれて)


  心の中でエリザに感謝するくらい安心していた。

 

  だが1分が経つ時間になるとエリザが拳を握って、


  「あんたなんか大っ嫌いよ、くだばれスロウス――」

 

  弱々しい拳でロスの頬を殴る。

  ロスはエリザがそのまま死ぬと思い安心しきっていた。

  だがエリザは続けるように、


  「生きてロス·····私は貴方を愛してる」


  ロスに抱き着くように倒れ込みニコッと微笑む。

  エリザの体は冷たくなっており、ロスの体の上に倒れ込んだ時には死んでいた。


  ロスは身動きが取れなかった。

  決してエリザの体が重くて立ち上がれない訳では無い。

  逆にエリザの体を抱き締め、涙を流す。

 

  「分かってても苦しいよ····泣かないって決めたのに」


  暖房も付いてない凍えるような教室の気温、エリザの冷たい体。

  温かい要素は無いはずなのに、不思議と心が温まるようだった。


  「戦争を一生やらされて不幸で居ることは怖くない·····けど幸せが崩れ落ちるのは怖いし苦しい」


  そう呟いて目を閉じる。

  教室で2人の死体に囲まれ1人寂しくなったロスは涙を流したまま動かない。

 

  (もう動きたくない····体を動かすと心も揺れちゃいそうで·····この幸せでも不幸でも無い時間が一緒続いて欲しい)


  だがロスのそんな願いは叶わない。

  それはロス自身が1番よく分かっている。


  ロスはエリザの死体を体から下ろし、ポケットからスマートフォンを取り出しLINEを開き連絡する。


 


  「ケッケッケ。愛するが故に憎しみが生まれ、平和を求める故に戦争が起きる、光と影は切り離すことができないように全てが因果関係。矛盾が矛盾を呼ぶ、まさに天邪鬼」


  ロスが居る教室を窓越しに外から眺めていた少年がそう呟く。

  中に浮き、ニヤニヤと笑いながら荒れた教室と悲しいロスを見て笑っている。


  「まぁ、けど自分の手で殺せただけ幸せだったな」


  そう言って魔法陣を出し、そこから6つの手を取り出す。

  6つの手は2つずつ、目元、首、に付けられる。

  少年――プライドはそのまま気配と姿を消す。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  「くっそ····やっぱ立ち直れない·····僕は何がしたいんだよ」


  教室を出ようとしていたロス――スロウスは膝を落とし涙を流しキースとエリザの死体を見る。

 

  「僕もそっちに行っちゃダメかな?」


  スロウスはキースの近くにある銃を見つけ、足を引きずりながら銃を取りに行く。

 

  「もう生きたくない·····こんなに苦しいなら」


  銃を手に取り、自分の頭に突き立てる。

  キースとエリザ、2人の死体に挟まれながら引き金を引く。


  バァン!と音がなり銃口からは煙が出る。


  だがスロウスは傷一つ付いてなかった。

  死の代わり居たのは指で銃弾を摘むプライドだった。


  「プライド?」

 

  困惑する。

  プライドが居る事、プライドが銃弾を摘んでいる事に。

 

  「はぁぁ――諦めるな!」

 

  プライドはため息をしたかと思うと小さくハリのある強い声でそう言った。

 

  「たかが18年生きたお前が不幸がるな。生きるのを諦めても何も見いだせない·····立って笑えるような事に目を向けろ、苦しいなら苦しみをぶっ飛ばす物を探せ」


  プライドはそう言ってスロウスの涙を指で拭き取るように触る。

  そしてニヤッと笑って、


  「下向いてると、新作ゲームを見逃すぜ?」


  スロウスの手を取る。

  そのまま手を引っ張り立ち上がり、


  「まだゲームオーバーじゃないだろ?」


  プライドはスロウスの手を離し、ニヤニヤしながら目元、首、腰に付けていた手を取り外す。

  そして髪で片目を隠し、


  「俺は違う場所でゲームをクリアする。そっちはやるかやらないか、自分で決めろ」


  スロウスは涙を拭いニヤニヤ笑うプライド見ながら泣くのを止める。

  そしてプライドの頭を撫でるように触り体を抱き寄せ、


  「ありがとう」


  スロウスはニコッと笑い、プライドは軽く抵抗しながら嫌そうにする。


  「離れろ、血がつく」

  「ごめん」

 

  スロウスがニコッと笑い謝るとプライドは教室を出て行く。


  「励まされたな····ははっ」


  スロウスはそう言って背伸びをする。


  「僕も行くか」

  「そんなとこで何をしている?」


  スロウスが教室を出ようとした途端、1人の少年が教室のドアを開けて血を浴びたスロウスを見る。


  少年は金髪の髪に美しい顔立ちをしている。

  ゆっくりと教室に入りキースとエリザの死体を目にする。


  「君は····アーサーだね?君を殺してこの心の傷を癒そうかな?」


  スロウスはそう言って自分の机だと思われる机の中から大きさの異なる3つの手裏剣を取り出す。

  金髪の少年――アーサーはスロウスの顔と手裏剣を見て、


  「お前·····スロウスか?制服を着ているって事は····スパイとして潜入していたのか?どっちにせよ七つの大罪にまた会えて嬉しいぜ」


  背中に身に付けていた剣を取り出す。

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