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愛を知らない神様  作者: ビター
スロウス編
40/113

2人の少年兵

 

  アフリカ、スーダン。

  少年兵達も大人の兵士も銃や戦車を使って殺し合いをしている。

 

  「こんな銃より空気弾の方が強い!」


  ラストはスロウス――僕とは違い積極的に戦争に参加していた。

  殺し合いを楽しんでいた·····唯一の楽しみが殺しだから仕方ない気はする。


  「なんだアイツら?」

 

  敵軍に向かって走っていた兵士達が同時に足を止めて、困惑している。

 

  「なんだ?ここからじゃよく分からないぞ」


  僕とラストは遠くに居たため何が起きていたかよく分からなかった。

  急いで兵士達の方にラストの空気魔法を使って移動する。

 

  「一体何が?」


  良く見てみると仲間の兵士だけじゃなく敵軍の兵士も足を止めて困惑している。

  兵士達の目線は兵士達に囲まれた4人に行っていた。

  服装からして明らかに兵士では無い。


  「馬鹿者め!何をぼさっとしている!?」


  敵軍の司令官のような人が兵士達に向かって叫ぶが兵士達は周りに倒れている死体と中央の4人を交互に震えながら見て、


  「打てば死にます·····彼らに向かって打った弾は自分に返ってきます······あ、あれは魔道士です」


  周りの兵士達は徐々に後ずらりをし始める。

  まるで人が熊に出会って見つめられた時の対処法のように。


  「子供の魔道士は居るか?名前は確か――」

 

  4人の内1人が兵士達に聞こえる声で言う。

  すると仲間の1人が言葉を繋げるように、


  「スロウスです」

  「そう、スロウスと言う少年を連れて来い」


  僕は驚いた。

  スロウスは僕の名前だからだ。

  少年兵となった時からその名前では呼ばれず「62番」と呼ばれていた。

  ラストも「25番」と数字で呼ばれていた。

  つまり4人の中に僕を知るものが居る。


  「スロウスは僕です」

 

  僕が4人の前に姿を現す。

  仲間の兵士は僕を引き止めようとするがすぐに自分達が身を優先した。

  僕を引き止めようとしたのは心配とか優しい感情ではなく、魔道士と言う戦力を失うのが嫌だからだ。


  「こいつかエンヴィー?」

  「スロウス·····大きくなっているが間違いない」


  4人の内の1人――エンヴィーは僕を知っているようだった。

  僕の顔を見て安心や感動をしているように見えたがすぐに目を閉じ、表情をリセットする。


  「この地獄に残るか俺達について来て地獄を抜け出すか、自分で選べ」

 

  仲間の1人の言葉を聞き僕はすぐに返事をした。

  答えはもちろん、


  「ついてく、これ以上の地獄は無いから少しでも上に行く」

  「ならばこの手を取れ」


  男は手を差し伸べた。

  だが僕は手を取らずに、


  「1人では行かない、友達が居る」


  後ろを振り向き、兵士達の人混みを避けラストの元へ行きラストの手を取って4人の魔道士の元へ戻る。


  「彼は僕の唯一の友達、この人も一緒じゃなければ行かない」


  先程の男はラストを見てニヤッと笑ったように見えた。

  そしてラストに近付き、


  「魔道士か?友達の割には歳が離れてるように見える。お前は18、19くらいだろ?名前は?」


  ラストは男を嫌そうに見て、


  「25番、確か·····8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19····19歳だ、あんたより高さも俺の方が少し上だな」


  男は「ふっ」と鼻で笑い、


  「名前は無い·····数えないと分からない、身長を高さと呼ぶ。精神年齢はスロウス以下だな、だが魔道士ならば連れて行こう」


  するといきなり僕とラストの体は男の手元に引き寄せられて4人に囲まれる。

 

  「名前は俺が付けてやる」

 

  男は考え込みながら言うがラストは男を睨みながら、


  「ヤダね!新しい名前ならそっちのお姉さんにつけて欲しい!」

  「このガキ·····仕方ない、ラトニー付けてやれ」


  女性――ラトニーは一瞬困った表情を浮かべるがすぐにラストを見つめて、


  「ラスト、貴方の名前はラスト、リーダーには礼儀正しくしなさい」

  「はーい!」

  「俺には懐かないのにラトニーには·····」


  男が落ち込む中、ラトニーが不思議な空間を開き、


  「行きましょ」


  僕とラストは4人と共に不思議な空間の中に入る。

  だがリーダーと呼ばれていた男だけは空間を跨ぐ時に足を滑らせ転けてしまう。

  ラトニーはそんな男の手を取りながら不思議な空間を閉じる。


  この4人は後の七つの大罪のメンバー達だ。

  まだこの時にはプライドは居なかったがこの半年後すぐにプライドと名乗る不思議な子供がメンバーに入った。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  「と言う事があったんだよ」


  七つの大罪アジトでスロウスがプライドに話をし終えた。

  同時にスロウスのテレビゲームの画面には『GAME OVER』と表示される。


  「戦争してたからお前ら強いんだな、俺も戦争ゲームしたな〜」

  「ゲームとはかなり違うよ」

  「········」

 

  プライドは黙り込み、ゲームの電源を切る。

  そしてゆっくりと立ち上がり2階に上がる。


  「プライドは何考えてるか分からないね」

  「何も考えてないんじゃない?」

  「それはラストでしょ」


  ラストとスロウスはゲーム機を片付けてそのままソファーに寝っ転がって目を閉じる。


  2階ではプライドがラトニーの部屋に居た。


  「ノックもせずどうしたの?」


  薄暗い部屋の中、ラトニーは椅子に座って読んでた本を閉じ、プライドを見る。


  「なぜお前····ラトニーは七つの大罪として生きてるんだ?」

  「特に理由は無いわ。それに神様が知るべき事じゃないわ」


  プライドは下を向き、目元、首、腰に付けていた6つの手を魔法陣の中に入れ、魔法陣を閉じる。

  そしてラトニーの目の前の椅子に座る。


  「貴方から私に関わるなんて珍しいわね」

  「自由なのが神だ、俺は今日この椅子で眠る」


  プライドはそう言って腕を組み、目を閉じる。

  ラトニーは椅子から立ち上がり足を引きずりながらプライドに毛布をかけ、部屋の電気を完全に消す。

 

  「神様だから自由·····けどせめてベッドで寝なさい」


  小さく呟きながらラトニーの手からは転移空間を開きプライドの体を部屋にあるベッドに移動させる。

  そしてラトニー自身もプライドの隣に横になり目を閉じる。

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