魔道士達のドッチボール
すみません、今日は長くなってしまいました。
許してください、長くても暖かい目で見てくださいm(_ _)m
「確実に内野に戻りたい」
僕はニコラス2に向けて光魔法を纏ったボールを投げる。
魔法の素早さも能力値が関係してくる、それでもニコラス2には反応できない早さだ。
「ニコラス2選手アウト!ジャック選手復活!」
ニコラス2にボールが当たりニコラス2は外野に、僕は内野にテレポートする。
僕らのチームは植物人形を除き、全然内野に戻った。
それに比べイアンチームの内野はニコラスだけ。
「そっち投げる、しっかり取れよ」
ニコラスはボールを拾い、右前に投げる。
アーサーがキャッチしようとするがボールが5つになり、本物が分からなくなる。
「また分身か」
ボールはシーマスの手元に行く。
シーマスはすぐに外野線ギリギリまで足を運びアーサーに向けて投げる。
「ウェザー.ウィング!」
アーサーの創った風はボールの動きを鈍らせる。
だがボールは妙な曲がり方をして後ろに居たアリスに当たる。
「何!?」
ボールは自由落下する早さよりも早く床に落下する。
まるで床に引っ張られたように。
「アリス選手完全アウト!退場!」
「皆ごめん」
アリスはテレポートしたかのように姿を消した。
同時にアリスの植物人形達も姿を消す。
そしてアリスの能力値が僕らに配分される。
「ボールには見えにくいワイヤーが付いている、奴の魔法だな」
ルーナはいち早くボールの軌道の謎を解く。
僕も今気付いたがボールには人間の目では見えないワイヤーが付いていた。
ワイヤーを操ってボールを動かしたという事だ。
「正解」
ボールはシーマスの手元にワイヤーと共に引き寄せられる。
だがシーマスは足を滑らせたように前に倒れて線から出てしまう。
「な!何やってるのシーマス!」
「な、自分でも分からない」
シーマスやサントスは目を見開いて、動揺する。
「シーマス選手!線から出た為、退場です!」
シーマスはテレポートされたかのように姿を消す。
同時にシーマスの能力値はイアン達に配分される。
「シーマスのミスには見えなかった····さっきもボールが独りでに動いた、やはり黒髪の魔法だな?だが奴は雷魔法····雷を使ってボールを操るなんて発想が出てこない」
「だよね、どうするイアン兄さん?」
「お前は奴を監視してろ」
「了解!」
イアンチームの外野はイアン、サントス、ニコラス1~5。
サントスはルーナを監視し、イアンは先程シーマスが落としたボールを手に取り、投げる。
「早い!配分された分更に早い!」
僕らはボールの軌道を読みながらも、目で追えない早さのボールを避ける。
ボールは内野に居るニコラスに回り、更にニコラスが外野に居るサントスに回す。
「取ってみろよ」
サントスからボールを受け取ったイアンがルーナに向けて回転のかかった素早く、重いボールを投げる。
ルーナはボールを受け止めるがボールは回転を止めない。
ルーナの防御力はイアンの攻撃力より低い、その影響でルーナはボールのパワーに負け、ニコラスの元まで吹き飛んで行く。
「おっと!大丈夫か?」
ニコラスは飛んできたルーナを受け止める。
「ルーナ選手アウト!イアン選手復活!」
ルーナは外野に、イアンは内野にテレポートする。
外野に移動したルーナは血を流し倒れて居た。
ゆっくり立ち上がろうとしているがそうとうボールが効いたのだろう、服が破れ腹の肉が軽く抉れていた。
「サントス」
ニコラスは再びサントスにボールを回す。
ニヤニヤと笑うサントスは明らかに僕とアーサーのどちらかにボールを当てる気だ。
「仕方ない、本当はアリスの方が効果が高いかもしれないが·····ジャックにやって欲しい事がある」
「え?な、何?」
アーサーは何か閃いたようにニヤニヤしながら僕の耳元で、作戦を伝える。
――けどこんな作戦効くはずない、何より恥ずかしい。
けどやってみよう。
「お、お兄さん!ぼ、わ、私死にたくない!·····お願い、勝たせて····」
アーサーのアドバイス通りつぶらな瞳で、微かな仕草を含め、女の子のように、言う。
勢いでやってしまったが····僕は男だ!いくら女みたいでもさすがにこんな単純な手に乗るはず――
「た、確かに、こんな可愛い子を殺そうなんて····僕はなんてことをしようとしてたんだ!」
ノリのいい人なのか?単純な手に乗ってくれた。
「アホか!!マザーの事を考えろ!こんなガキ1人に誘惑されるな!」
「けどイアン兄さん、僕こんな可愛い子見た事ない、妹に欲しいくらい」
イアンが怒鳴るがサントスは困った表情をするだけでボールを投げようとしない。
「じゃあこいつは殺さなくて良い!勝ったらこいつをお前にやる!だから今は心を鬼にしろ!」
「まじ!?うれっぴ〜!なら他の子供は殺す!それに僕はイケメン嫌い!」
サントスはボールを低い位置から投げアーサーの足に当たる。
いつものアーサーなら避けれてただろう。
だがブレッドの火の痛み、コルビンに殺られた腹の痛みを我慢しながら無理をしていた。
僕はもちろんルーナですらそれに気付いていた。
今考えてみれば気付いていたから最初のジャンプボールでアーサーを行かせなかったのだろう。
「アーサー選手アウト!退場です!サントス選手復活!」
「ジャック····変な事言わせてすまん」
アーサーはテレポートされたかのように姿を消し、サントスは内野にテレポートする。
――アーサー、退場前に言う言葉くらい選んでよ。
「やったー!分身以外全員内野!」
「まったく、マザーよりあの小娘を選ぶとは·····マザーの方が何倍も綺麗だ」
「イアンはマザーしか見えてないからだよ。サントスの言う通り白髪の子はモデルとかよりも可愛いと思うよ?金髪の女の子も可愛かったけどね」
サントス、イアン、ニコラスには余裕がある。
その証拠に僕とルーナを気にもせずに話をしている。
内野には僕1人、外野にはルーナ1人、余裕を持ってしまうのも無理ない状況だ。
「可愛いとか小娘とか····僕は男だ!」
僕は手から光を放ち、ボールを投げる。
僕とニコラスの分身以外の皆は眩しそうに目を瞑る。
ボールはサントスに当たる。
「サントス選手アウト!完全退場です!」
「男!?弟でも全然オッケイ!」
サントスはテレポートされたかのように姿を消す。
同時に能力値も仲間に配分される。
ニコラスが床に落ちているボールを拾おうとするがボールは再び独りでに動きルーナの手元に引き寄せられる。
「また?」
「ニコラス見てたか?あの黒髪のガキの指を」
「いいえ」
僕は見てた。
ボールが独りでに動く理由がイアンと同じように気づいてしまった。
「目に魔力を纏わせれば微かな魔力も見える····奴の指からは魔力の糸みたいなのが出てた」
イアンってのは凄い人だ。
神や悪魔の魔力の応用技には『マッチ』と呼ばれる技術がある。
『マッチ』は目に魔力を集中させて視力を良くしたり目には見えない魔力、透明化になった者を見る事ができる。
イアンは人間ながらそれが出来ている。
「ほお、マッチを使えるのか?実力はラース並だと見て間違いないかな?」
ルーナはボールに魔力の糸をくっ付けながら空中にボールを浮かす。
「魔力を具現化させたり盾にしたり魔力には使い方は多数だが·····俺はこの魔力の糸を『スレッド』と呼んでいる、少ない魔力で戦えるから気に入っているんだ」
どうやら魔力の糸は『スレッド』と言うらしい。
初めて見た魔力の使い方だが応用性はある。
「投げるよー!お兄さん方、取ってくださいッ····ね?」
ルーナはニヤニヤと笑いながらふざけた様子でボールを投げる。
ボールは雷を纏いながら真っ直ぐとニコラスへ向かって行く。
それに反応したイアンがニコラスの前に出てボールを取ろうとする。
「俺の能力値なら余裕だ」
だがストレートだったボールはイアンを避けるように曲がり後ろのニコラスに当たる。
よく見ればまたもやスレッドが付いている。
「ニコラス選手アウト!完全退場!····ルーナ選手復活!」
「ふっ、勝ったねイアン、任せたよ」
ニコラスは鼻で笑いながらテレポートされたかのように姿を消す。
同時にニコラスの分身も全て姿を消す。
能力値はイアンに全て追加される。
「ああ、俺らの勝ちだな」
イアンはそう言ってボールを拾う。
「ケッケ、どうやらファイナルラウンドらしいな―」
内野に戻ったルーナはニヤリと笑いながらボロボロに破れた上のジャージを脱ぎ、腰に巻く。
ジャージの下のTシャツは腹の辺りに穴が空いてる、そこから見える傷はアーサーの腹の傷より重症だ。
「奴はまだ魔法を見せてない、けどゲームのラスボスってのはたいていHPが半分になると変身したり進化したりする····取り敢えずそこまで追い詰めようぜ?」
ルーナは僕の肩に手を回し、少し腰を低くした状態でイアンを嘲笑うように見る。
正直――距離が近い、別に嫌じゃないけどあまり触られるのは苦手だ。
女性ならいいけど、男性は軽くトラウマ――まぁ同い年だから良いけど。
「ファイナルラウンドスタートだ」
能力値――
ジャック、攻撃力8、素早さ8、防御力3、魔力量6、体力7、回復力9。
ルーナ、攻撃力5、素早さ6、ボール7、魔力量7、体力6、回復力7。
イアン、攻撃力16、素早さ18、防御15、魔力量20、体力18、回復力21。
アーサー、アリス、ニコラス、サントス、シーマス、コルビン――退場。
四連休中にドッチボール編が終わると思います。




