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愛を知らない神様  作者: ビター
殺し屋編
34/113

魔道士達のドッチボール

すみません、今日は長くなってしまいました。

許してください、長くても暖かい目で見てくださいm(_ _)m

 

  「確実に内野に戻りたい」


  僕はニコラス2に向けて光魔法を纏ったボールを投げる。

  魔法の素早さも能力値が関係してくる、それでもニコラス2には反応できない早さだ。


  「ニコラス2選手アウト!ジャック選手復活!」


  ニコラス2にボールが当たりニコラス2は外野に、僕は内野にテレポートする。


  僕らのチームは植物人形を除き、全然内野に戻った。

  それに比べイアンチームの内野はニコラスだけ。


  「そっち投げる、しっかり取れよ」

 

  ニコラスはボールを拾い、右前に投げる。

  アーサーがキャッチしようとするがボールが5つになり、本物が分からなくなる。


  「また分身か」


  ボールはシーマスの手元に行く。

  シーマスはすぐに外野線ギリギリまで足を運びアーサーに向けて投げる。


  「ウェザー.ウィング!」


  アーサーの創った風はボールの動きを鈍らせる。

  だがボールは妙な曲がり方をして後ろに居たアリスに当たる。


  「何!?」


  ボールは自由落下する早さよりも早く床に落下する。

  まるで床に引っ張られたように。


  「アリス選手完全アウト!退場!」

  「皆ごめん」


  アリスはテレポートしたかのように姿を消した。

  同時にアリスの植物人形達も姿を消す。

  そしてアリスの能力値が僕らに配分される。


  「ボールには見えにくいワイヤーが付いている、奴の魔法だな」


  ルーナはいち早くボールの軌道の謎を解く。

  僕も今気付いたがボールには人間の目では見えないワイヤーが付いていた。

  ワイヤーを操ってボールを動かしたという事だ。


  「正解」


  ボールはシーマスの手元にワイヤーと共に引き寄せられる。

  だがシーマスは足を滑らせたように前に倒れて線から出てしまう。


  「な!何やってるのシーマス!」

  「な、自分でも分からない」


  シーマスやサントスは目を見開いて、動揺する。


  「シーマス選手!線から出た為、退場です!」


  シーマスはテレポートされたかのように姿を消す。

  同時にシーマスの能力値はイアン達に配分される。


  「シーマスのミスには見えなかった····さっきもボールが独りでに動いた、やはり黒髪の魔法だな?だが奴は雷魔法····雷を使ってボールを操るなんて発想が出てこない」

  「だよね、どうするイアン兄さん?」

  「お前は奴を監視してろ」

  「了解!」


  イアンチームの外野はイアン、サントス、ニコラス1~5。

  サントスはルーナを監視し、イアンは先程シーマスが落としたボールを手に取り、投げる。


  「早い!配分された分更に早い!」


  僕らはボールの軌道を読みながらも、目で追えない早さのボールを避ける。

  ボールは内野に居るニコラスに回り、更にニコラスが外野に居るサントスに回す。


  「取ってみろよ」


  サントスからボールを受け取ったイアンがルーナに向けて回転のかかった素早く、重いボールを投げる。

  ルーナはボールを受け止めるがボールは回転を止めない。

  ルーナの防御力はイアンの攻撃力より低い、その影響でルーナはボールのパワーに負け、ニコラスの元まで吹き飛んで行く。


  「おっと!大丈夫か?」

 

  ニコラスは飛んできたルーナを受け止める。

 

  「ルーナ選手アウト!イアン選手復活!」


  ルーナは外野に、イアンは内野にテレポートする。

  外野に移動したルーナは血を流し倒れて居た。

  ゆっくり立ち上がろうとしているがそうとうボールが効いたのだろう、服が破れ腹の肉が軽く抉れていた。


  「サントス」


  ニコラスは再びサントスにボールを回す。

  ニヤニヤと笑うサントスは明らかに僕とアーサーのどちらかにボールを当てる気だ。


  「仕方ない、本当はアリスの方が効果が高いかもしれないが·····ジャックにやって欲しい事がある」

  「え?な、何?」


  アーサーは何か閃いたようにニヤニヤしながら僕の耳元で、作戦を伝える。

  ――けどこんな作戦効くはずない、何より恥ずかしい。

  けどやってみよう。


  「お、お兄さん!ぼ、わ、私死にたくない!·····お願い、勝たせて····」


  アーサーのアドバイス通りつぶらな瞳で、微かな仕草を含め、女の子のように、言う。

  勢いでやってしまったが····僕は男だ!いくら女みたいでもさすがにこんな単純な手に乗るはず――


  「た、確かに、こんな可愛い子を殺そうなんて····僕はなんてことをしようとしてたんだ!」


  ノリのいい人なのか?単純な手に乗ってくれた。


  「アホか!!マザーの事を考えろ!こんなガキ1人に誘惑されるな!」

  「けどイアン兄さん、僕こんな可愛い子見た事ない、妹に欲しいくらい」


  イアンが怒鳴るがサントスは困った表情をするだけでボールを投げようとしない。

 

  「じゃあこいつは殺さなくて良い!勝ったらこいつをお前にやる!だから今は心を鬼にしろ!」

  「まじ!?うれっぴ〜!なら他の子供は殺す!それに僕はイケメン嫌い!」


  サントスはボールを低い位置から投げアーサーの足に当たる。

  いつものアーサーなら避けれてただろう。

  だがブレッドの火の痛み、コルビンに殺られた腹の痛みを我慢しながら無理をしていた。

  僕はもちろんルーナですらそれに気付いていた。

  今考えてみれば気付いていたから最初のジャンプボールでアーサーを行かせなかったのだろう。


  「アーサー選手アウト!退場です!サントス選手復活!」

  「ジャック····変な事言わせてすまん」


  アーサーはテレポートされたかのように姿を消し、サントスは内野にテレポートする。

  ――アーサー、退場前に言う言葉くらい選んでよ。


  「やったー!分身以外全員内野!」

  「まったく、マザーよりあの小娘を選ぶとは·····マザーの方が何倍も綺麗だ」

  「イアンはマザーしか見えてないからだよ。サントスの言う通り白髪の子はモデルとかよりも可愛いと思うよ?金髪の女の子も可愛かったけどね」


  サントス、イアン、ニコラスには余裕がある。

  その証拠に僕とルーナを気にもせずに話をしている。

  内野には僕1人、外野にはルーナ1人、余裕を持ってしまうのも無理ない状況だ。


  「可愛いとか小娘とか····僕は男だ!」


  僕は手から光を放ち、ボールを投げる。

  僕とニコラスの分身以外の皆は眩しそうに目を瞑る。

  ボールはサントスに当たる。


  「サントス選手アウト!完全退場です!」

  「男!?弟でも全然オッケイ!」


  サントスはテレポートされたかのように姿を消す。

  同時に能力値も仲間に配分される。

  ニコラスが床に落ちているボールを拾おうとするがボールは再び独りでに動きルーナの手元に引き寄せられる。


  「また?」

  「ニコラス見てたか?あの黒髪のガキの指を」

  「いいえ」


  僕は見てた。

  ボールが独りでに動く理由がイアンと同じように気づいてしまった。


  「目に魔力を纏わせれば微かな魔力も見える····奴の指からは魔力の糸みたいなのが出てた」


  イアンってのは凄い人だ。

  神や悪魔の魔力の応用技には『マッチ』と呼ばれる技術がある。

  『マッチ』は目に魔力を集中させて視力を良くしたり目には見えない魔力、透明化になった者を見る事ができる。

  イアンは人間ながらそれが出来ている。


  「ほお、マッチを使えるのか?実力はラース並だと見て間違いないかな?」


  ルーナはボールに魔力の糸をくっ付けながら空中にボールを浮かす。


  「魔力を具現化させたり盾にしたり魔力には使い方は多数だが·····俺はこの魔力の糸を『スレッド』と呼んでいる、少ない魔力で戦えるから気に入っているんだ」


  どうやら魔力の糸は『スレッド』と言うらしい。

  初めて見た魔力の使い方だが応用性はある。


  「投げるよー!お兄さん方、取ってくださいッ····ね?」


  ルーナはニヤニヤと笑いながらふざけた様子でボールを投げる。

  ボールは雷を纏いながら真っ直ぐとニコラスへ向かって行く。

  それに反応したイアンがニコラスの前に出てボールを取ろうとする。


  「俺の能力値なら余裕だ」


  だがストレートだったボールはイアンを避けるように曲がり後ろのニコラスに当たる。

  よく見ればまたもやスレッドが付いている。


  「ニコラス選手アウト!完全退場!····ルーナ選手復活!」

  「ふっ、勝ったねイアン、任せたよ」


  ニコラスは鼻で笑いながらテレポートされたかのように姿を消す。

  同時にニコラスの分身も全て姿を消す。

  能力値はイアンに全て追加される。


  「ああ、俺らの勝ちだな」


  イアンはそう言ってボールを拾う。


  「ケッケ、どうやらファイナルラウンドらしいな―」


  内野に戻ったルーナはニヤリと笑いながらボロボロに破れた上のジャージを脱ぎ、腰に巻く。

  ジャージの下のTシャツは腹の辺りに穴が空いてる、そこから見える傷はアーサーの腹の傷より重症だ。


  「奴はまだ魔法を見せてない、けどゲームのラスボスってのはたいていHPが半分になると変身したり進化したりする····取り敢えずそこまで追い詰めようぜ?」


  ルーナは僕の肩に手を回し、少し腰を低くした状態でイアンを嘲笑うように見る。

  正直――距離が近い、別に嫌じゃないけどあまり触られるのは苦手だ。

  女性ならいいけど、男性は軽くトラウマ――まぁ同い年だから良いけど。


  「ファイナルラウンドスタートだ」


 



  能力値――


  ジャック、攻撃力8、素早さ8、防御力3、魔力量6、体力7、回復力9。


  ルーナ、攻撃力5、素早さ6、ボール7、魔力量7、体力6、回復力7。


  イアン、攻撃力16、素早さ18、防御15、魔力量20、体力18、回復力21。

 

  アーサー、アリス、ニコラス、サントス、シーマス、コルビン――退場。

四連休中にドッチボール編が終わると思います。

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