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愛を知らない神様  作者: ビター
神様の街編
3/113

部活

 

  「笑って!」


  目の前でアマノが目を閉じてニコリと笑って言う。死んだはずのアマノがまた死にそうになっている。

  これは···死ぬ前のアマノ、なぜ今アマノが居る?


  「アマノ!」


  どうやら夢だったらしい。けど···夢じゃない見たいだ。

  僕は少しガッカリしながら、けど安心しながらベッドから降りる。

  僕は親も親戚も居ない。だが家はある。立派な家に住んでいる。


  「カイさんおはよう」

  「おはようございますジャック様」

 

  カイさんはこの家の主人で僕の親って言うか執事見たいな人だ。

  頼んだらなんでもしてくれるし、僕の気持ちをよく理解してくれている数少ない大切な人だ。


  「学園はどうです?」

  「1人、神だって事···バレた」

  「ありゃまー」

  「それよりタナトスは?」

  「昨日からカフェで仕事してますよ」

  「いくら寝ないからって···最近働きすぎじゃない?金は心配要らないのに」

  「好きでやってるから良いんじゃないてますか」

  「だね」


  僕はカイさんとの朝食を終えて学園に行く支度をする。

  家にはカイさん以外にもタナトスと言う元死神が居るが、仕事らしい。


  「行ってきます」

  「行ってらっしゃい」


  家を出てまずお姉ちゃんの家に向かう。

 

  「ジャック!わざわざ来てくれたの?」

  「うん」


  お姉ちゃんを迎えに行くと歩いてお姉ちゃんと共に学園に向かう。


  「じゃあ私こっちだから」


  お姉ちゃんは僕と違い高等部の生徒の為、僕と学園では会わないだろう。

  そして入学2日目、問題があるとするなら。


  「良し、ジャックに魔導師の心得を教えてやる!」


  アーサーだ。僕が神だと知るものは学園でお姉ちゃん以外にアーサーただ1人。

  神だと分かってからずっと付きまとってくる。やはりストーカー体質があったか。


  「ジャックは俺の何倍強い?魔導師は神に勝てるのか?」


  けどアーサーのおかげで魔導師について良く分かった。

  まず魔法を使える者のほとんどが魔導師、霊媒師に属す。魔法の属性は基本、火、水、風、光、闇の5つらしい。

  そしてそこからあらゆる属性に変化する。魔法属性は1人1つ。


  魔導師は魔法を使い妖を倒す者。霊媒師は魔法が使えないが普通の人には見えない者が見える、つまり魔導師の劣化職だ。

  まとめると人には見えない者が見えて魔法を使える人間、そして人には見えない者が見える人間、そして両方無い一般的な人間が存在する。

  魔法を使える者を魔導師、人に見えない者が見える者を霊媒師と呼ぶ事もある。

  彼らは100万人に1人の割合で居る。アーサーもその1人だ。


  「その···アーサーを襲った奴は魔法を悪用する反魔導師って奴なの?」


  反魔導師は魔法を使えながらも悪用する者を指す。

  魔導師も反魔導師も上の位からS、A、B、Cに分けられる。

  単純に強さが違い。


  「ああ、それに奴らは七つの大罪のメンバーの一員だ。」


  反魔導師の中でも特に恐れられているのが七つの大罪と呼ばれる7人の反魔導師だ。

  彼らはSランク犯罪者で構成される反魔導師軍である。


  「奴らはこの世から魔導師、いや、魔法を使える者を消すのが目的なんだ···だから俺も襲われた。」

  「強いの?」

  「俺はこう見えて魔導師の中でも5本の指に入る実力者なんだ、1人1人が俺と同等、あるいはそれ以上に強い」


  アーサーはああ見えて凄い魔導師らしい。

  だが七つの大罪のメンバーは1人1人がアーサー並の強さを持つ。

 

  「特にヤバいのが七つの大罪のリーダーだ」

  「どんな人?」

  「奴は元々魔導師で常に1番だった、だがある日Sランク魔導師を全員殺して姿を消した、Sランク魔導師は10人も居たんだ、なのに皆殺された」


  アーサーが怒っているように見えた。まったくそんな表情は見せていないが、なぜかそう見える。


  「名は?」

  「ラース、と呼ばれている」


  どの世界にこう言う奴が1人は居るんだな。魔導師を殺して何がしたいか知らないが···正直関係ないし、必要以上に関われない。


  「大変だね、アーサーも」

  「そこでジャック様!一緒に奴らを倒してくれませんか?」


  ハナからこれが狙いだったか。七つの大罪を倒して名を挙げたいのか?それとも···


  「神の王様に言われている、人間達にむやみに関わるなって」

  「その神様の王ってジャックより強い?」

  「僕よりじゃないが強い···それと僕より強い神はいない、今のとこ」

  「まじ?」


  別に力を貸しても良いが、七つの大罪を倒すのが正しい事とは限らない。

  アマノが喜ぶか確信が持てない、それに善悪は人間が決めるものであり神が決める物ではない。


  「王様は北欧神話で有名なロキだよ?直接言ったら?」

  「ロキってまじで存在するのか!」


  ヤバっ。口が滑った。アーサーと居ると何でもかんでも話してしまいそうだ。気を付けないと。


  「けど人として、友達?としてなら手伝うよ」

  「ありがとう!じゃあさっそく···」

  「え?」


  アーサーは僕を連れて先生達のたまり場、通称職員室に向かった。


  「先生、部活作りたいんだけど良い?」

 

  おい!聞いてないぞ!部活ってあれだろ?放課後にする授業見たいな奴だろ?僕にそんな時間は無い!


  「何部だ?」

  「妖撲滅部!妖を倒す為の部です!」

  「別に良いが···顧問は?」

  「先生です!」

  「俺?···アホか!」

  「じゃあ先生に月10万あげるんで」

  「仕方ない!やりたくないが、良いだろう、許可する」


  交渉成立したようだ。いろいろツッコミどころがあるが···。まず先生が金に釣られちゃダメだろ、立場的にアウトだろ。


  「ここを使え、旧校舎でボロボロだが掃除したら広くなるだろ」

  「先生ありがとう!」


  放課後、先生が案内してくれたのは旧校舎の空き教室だ。

  広いがかなり汚い。目立つような場所にはないが···


  「なぜ部活?」

  「魔導師が妖倒す部活してたら七つの大罪の奴らは必ず目を付けると思って···それに楽しいじゃん!」

  「確かに人として手伝っているが···僕まで部活に入らされるとは」


  僕はアーサーと共に部室の掃除をした。

  汚かった部活はミルミルと綺麗になり広々とした快適な空間になる。


  「部活やっているの秘密だからな?部員増えたら部員の命が危険だ」

  「分かった、けど···僕達は何をするの?」

  「表向きは妖退治!裏では七つの大罪を追う」

  「まぁ、面白そうだしアーサーに付き合うよ」


  七つの大罪なんていつでも見つけて捕まえれるが···あくまでアーサーの意思だからな。

  友達?として手伝うか。


  「とりあえず妖が居るか見に行こうか」


  妖とは人の悪感情から生まれ人を内部から食らう者。

  妖に食われた者は寿命が尽きて事故死、病死、とにかく死ぬ。

  知らぬ間に妖に襲われている人々を守るのが神様の役目なんだが···役目が魔導師に持ってかれた。


  「居た、アーサーの魔法を見せてよ」


  僕はアーサーと共に外で妖を見つける。

  黒いモヤのような形をしていてかなり大きめの妖だ。

  魔導師が妖にどれほど対抗できるか見てみたい。


  「良いよ、天気魔法!ウェザー.サン!」


  魔導師が使える魔法属性、あるいは種類が1つ。アーサーは天気の魔法を使うらしい。

  手元に小さな太陽な物が現れそれを妖に投げつける。

  太陽が妖に当たると妖はジュ〜と焼けて消えた。


  「凄いね」

  「まあね!ん?」


  僕は妖の前で祈りを捧げる。アーサーはそんな僕を不思議そうに見ながらも一緒に祈りを捧げてくれた。


  「この街の妖率は全世界でも1番少ない、ジャックのおかげだろ?」

  「いや、アマノのおかげ···かな?」


  僕とアーサーは妖の見回りを終えて学園に戻る。

 

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