会議
七つの大罪襲撃の件について魔導師協会の者、島の者、そして今回現場に居たSランク魔導師達が会議をしていた。
「まず魔導師の皆ありがとう、君たちが居なかったら子供達が死んでいた」
協会の1番偉そうなおじいちゃんが言う。
「それより、奴らはこの島の場所を分かっていた···次もきますよ?せっかく設立した島ですけど子供達を帰らせるしかないんじゃないんですか?」
ミハエル先生がそう言うとおじいちゃんはニコッと笑い、
「魔導師の中に島を違う場所に移動できる者が居る、発信機さえ付いてなければ大丈夫ですよ」
「そうかい、じゃあ今回の七つの大罪の話していいですか?」
「お願いします」
ミハエル先生は立ち上がり資料のような紙を皆に渡す。
「奴らの能力、戦い方や癖をまとめた物です」
「凄い、これを1人で····しかも戦い中にこんな事を観察してたとは···」
皆は資料を見て唖然として驚きを隠せていなかった。
「私が戦ってない奴は他の魔導師や目撃者から情報を聞きました」
資料の内容、
ラース、人や魔法を引き寄せたり吹き飛ばしたりする魔法。戦い方は単純だが攻撃が当たらない。
だが対象が見えないと弱体化する。
ラトニー、人や魔法を別の場所に送る転移魔法。戦い方は転移空間を使って物を一部壊したり自身の体を転移し相手の背後に廻るなど。(片足切断)
エンヴィー、闇魔法。戦い方は闇魔法を使いながら丁寧に戦う近距離戦。
魔法とは別に鎖を引きちぎったり刀を受け止めたり人間離れした身体能力を持ってる。
グリード、爆破魔法。戦い方は近距の爆破攻撃。
爆破した者の魔法を一定時間使える。
ラスト、空気魔法。空気を鉄砲のように放ったり足場や盾に使う。
戦い方が多数あり見極めずらい。
スロウス、毒魔法。1発でも喰らえば致命傷の毒の為、毒が付いた大中小の3つの手裏剣を使って戦う遠距離型。
プライド、今回目撃者無し。
「情報通りの魔法属性····だが新たにラトニーとラースの魔法属性が判明、大きな一歩だな」
「ですがラースの魔法属性は不明です」
ミハエル先生の話を聞きながら皆が資料に夢中になっていると竜介が手を挙げて、
「その事だけど···俺分かったかも」
皆竜介の方を見て(まさか!?)と言わんばかりの表情になる。
「言ってみなさい」
協会のおじいちゃんがそう言うと竜介は緊張しながらも、
「磁力···名ずけるなら磁力魔法···かな?」
「もっと細かく説明してくれませんか?」
竜介は困った顔をしながら懐から磁石を2つ取り出す。
磁石は丁寧にS極とN極が書かれている。
「皆さんご存知磁石です。磁石は同じ極同士になると反発して違う極になると引き寄せられます、ラースはその原理を使った魔法かと···」
「それだ!」
皆がキョトンとする中、ミハエル先生だけが大声で謎が解けたような表情を見せる。
「待って、分かったけどラースが飛んでいたのはどう説明する?」
1人の魔導師――ブルーハーンが不思議そうに聞く。
「あれは床、つまり地面と自分自身に磁力を働かせていたんです」
「なるほど····確かに辻褄が合う」
皆が納得する中協会の1人が、
「で?倒せますか?最強であったブレッドを一瞬で殺ったそいつを?」
魔導師達は見て顔を伏せて申し訳なさそうにする。
協会の者や島の者も困った表情になり空気が重くなる。
だがミハエル先生が口を開いて、
「他は何とかなっても奴は倒せません、ラースにはあらゆる魔法が効かず近づく事すらできない···近づいた時は死を意味する、今居る魔導師の中に奴を倒せる者は居ない。ただ一人を除いて」
皆ミハエル先生を見て呆然とする。
そして皆が聞きたかった質問を協会のおじいちゃんが、
「だ、誰だそいつは?」
ミハエル先生は目を閉じ腕を組み、
「竜介」
皆はゆっくりと竜介を見る。
竜介は困った顔をして、
「ミハエルさん!変な期待させないで下さいよ!」
「良く考えてくれ、ラースに傷を負わせたのは俺と竜介だけ····だが俺の攻撃は足に刺したナイフの一撃、方や竜介は瀕死まで追いやった、竜介の光魔法はラースの弱点」
すると協会のおじいちゃんが嬉しそうな表情を浮かべて立ち上がり、
「光魔法を使う魔導師ならたくさん居る!彼らを集めればラースは倒せる!」
だがミハエル先生は厳しくも、
「無意味です、光魔法を持つってだけでは死にます。竜介のような精神的にも肉体的にも強い魔導師じゃないといけません」
おじいちゃんはガックリしながら席に座る。
「それなら俺以外にも1人!」
竜介がそう言うとミハエル先生は横目で竜介を見て、
「誰?」
「アーサーですよ!彼の太陽は光魔法と同じく相手の視界を奪います!彼なら肉体的にも精神的にも強い!」
ミハエル先生は口を開けて目をキョロキョロさせ困った表情をして、
「いや待て!あの子はまだ子供だろ!だ、だから彼を戦わせるのは····反対だ」
竜介はミハエル先生にビビったように同様して、
「す、すみません」
「いや····こっちも怒鳴ってすまん」
会議が終わると協会の者は密かに島の位置を魔導師の魔法によって移動させた。
七つの大罪から島の場所を隠す為。
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「お見舞い来たよ」
アーサーは目を覚まし病室のベットで昼ご飯を食べていた。
ブレッドとの試合での火傷がまだ体の痛みとしてあるらしい。
「ジャックにアリス、お見舞いありがとう」
僕とアリスはアーサーの病棟に果物を持って訪れた。
アーサーは元気そうだ。
「聞いたよ、アリスがラトニーから守ってくれたんだろ?ありがとう」
アーサーがニコッと笑いながらそう言うとアリスは無言で果物を渡して椅子に座る。
「どうしたジャック?元気ないけど?」
「え?いや····元気いっぱいだよ」
「別にジャックが落ち込む事じゃないよ」
「気付いてるなら聞くなよ!誤魔化した僕がバカみたい」
1番悔しいのはアーサーだろうに····こんな状況でも他人を励ます。
申し訳ない。
けどアーサーは七つの大罪の事を知りながらも感情を抑えている、最初に出会った頃のアーサーなら今落ち込んで悔しがっていただろう。
「妖撲滅部の出番だな、情報を聞いていい?」
アーサーがそう言うとアリスが紙を渡す。
紙には何か書いてある。
「ミハエル先生が落としたの、そこには今回の情報がまとめてある」
「凄い!」
今こうやってアーサーを見ているとアーサーが七つの大罪を殺したがってる復讐者には見えない。
ただ純粋に七つの大罪を捕まえたい魔導師にしか見えない。
それが何となく――悲しい。




