失態
プライドは飲み終わった紅茶のカップを僕に渡して席を立つ。
そして顔に付けている手をしっかりと付け直して、
「ばいばい、お前も早く戻る事だな」
「うん、また今度」
プライドは別れの言葉を言うと神々の魔法、移動魔法でその場から立ち去った。
「早く戻らないと」
僕はテーブルとカップを魔法で別空間に片付け移動魔法で観客席まで戻る。
一瞬で観客席まで瞬間移動した時にはアリスだけじゃなく観客達は皆居なくなっていた。
さらに大会会場は先程より激しく壊されていて魔導師と思われる人が何人も倒れている。
「何があったんだ?アーサーやアリスは····もしや!?コースレゼン」
コースレゼン、親しい人物の元へ移動する魔法。
僕がアリスを思い移動するとアーサーとアリスが廊下のような場所で倒れている。
「2人でお昼寝?···いや、そうじゃないみたい」
近くには人の足と思われる物が血と共に落ちていた。
よく見てみると女性の足だと言う事が分かる。
その下の床はなぜか穴が空いている。
「誰かと戦ったみたい、大会会場にも人が倒れていた····僕の推理が正しいならプライドにやられた」
僕はアーサーとアリスを抱えようとしたが誰が来る音がしたので体を見えないように透明になり気配と音を殺す。
「ミハエルさん達は協会や島の人達に任せたから大丈夫、けどアーサーがヤバい!····あれ?」
そこに来たのは竜介と日本の魔導師の2人だった。
ボロボロになりながらも刀を杖のようにして足を引きずりながら隣の魔導師の肩を借りて歩いて来た。
「アーサーと···少女?生きてますよ」
「おー!良かった良かった!」
2人はゆっくりと座り込みアーサーとアリスの様子を見る。
僕は安心して透明化のまま大会会場に向かう。
「こっちまだ生きてるぞ!」
大会会場では魔導師協会の者や救急隊員が倒れている魔導師達をタンカーで救急車まで運んでいた。
中には既に死んでいる魔導師も居る。
「急げ!急げ!」
「今連絡が来たんですけど学園の避難場所の近くにも魔導師が倒れているらしいです」
これ程の被害···考えれるのは七つの大罪が襲撃して来たという事だがこの被害だけではそう判断できない。
けどプライドが僕の元に現れた事で確信に変わった。
プライドは真理の義眼を持つ僕の注意を引く役だった。
してやられた。
「落ち込んでも仕方ない、今からできる事を探すんだ」
僕は運ばれて行く負傷者の傷を見て命に危険がないかよく見る。
「生きていたのは5人だけか···次、念の為に島全てを見る·····真理の義眼!」
真理の義眼でユグドラシル内に危険な物が無いか見る。
僕の目には島の全てが脳内にサーモグラフィーのように見えていた。
危険な物、あるいは危険になりうる物が赤く見えた。
島で保有してる物もある···だが明らかに島の者のが保有してない物がある。
それは発信機、魔導師や霊媒師の子供達の体内には1つある。
だが体外に出ている発信機がある。
これを仕掛けたものは·····プライドだ。
「島の位置を分かるように仕掛けたのか···これは機能不能にしておこう」
真理の義眼を使い発信機を超能力を使うように遠隔操作で壊す。
「後は···大丈夫、島の位置はバレているが····それは協会の者に任せよう」
真理の義眼を解除して目を閉じる。
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「くっ···はあ!はぁはぁ···あああ!!」
七つの大罪アジト。
誰の部屋かは分からない···だが部屋のベットの上でラトニーが悲鳴を上げて悶絶する。
足が片方無くなりジンジン痛む。
その足をプライドが魔法を使いながら丁寧に治療する。
「治癒魔法で足を作りたかったが時間が経ちすぎて作っても機能しない、今度義足を作ってやる」
「はぁはぁ···ありがとう」
足の傷は包帯で巻かれ治療が終わる。
プライドはラトニーに布団をかけて部屋を出て行く。
そして隣の部屋に入る。
その部屋のベットにはラースが気絶した状態で倒れている。
その近くではエンヴィーが腕で組んで立っている。
「ケッケ。お前が居なかったらリーダーは死んでいたな」
プライドはエンヴィーの方を見ながら笑いながら静かに言う。
「日本のガキ····」
「今回はあまり計画通りにいかなかったな、それに発信機も既に壊された····俺個人では計画通りだが」
「プライド···お前どうやって帰ってきた?それに俺達が戦っていた間何をしていた?」
ギロっと睨みながら体に闇魔法を纏うエンヴィーを見てプライドは、
(俺が神って事はラースとラトニーしか知らない····別にバレても構わないが言っても信じないし今バレては面白くない···)
そしてゆっくりと近くの椅子に座り、
「リーダーの命令で先回りして島の情報を得ていた····帰りはラトニーの転移魔法で帰ってきた」
「あの状態のラトニーに無理させたのか?これだからガキは····」
「····ラストとスロウスは?」
「ゲームしてたぞ」
「ありがと」
プライドは素っ気なく礼を言って部屋を出て1階に降りテレビゲームをするラストとスロウスの元へ行く。
「あれ?いつ帰ったの?ラトニー今魔法出せる状態じゃないでしょ?」
プライドを見てラストが言う。
「無理させた、それよりスロウスはそんな怪我してるのにゲームして良いのか?お前の事になるとエンヴィーがうるさいぜ」
「大丈夫ー、それよりプライドもやらない?」
「その言葉を聞きに来た、やる」
プライドはテレビの前で座り込みスロウスからコントローラーを受け取る。
「今回は戦いに参加できなかったから退屈だった」
「お疲れ様」
スロウスは傷だらけの顔でニコリと笑いプライドの頭を撫でる。
プライドは嫌そうにしながらも手を振り落とす事はせず、ただただゲームに集中する。
「今回は良いプレイヤーが居たか?」
「プレイヤー?あー、居たよ、ね?ラスト」
「え?···あー!ミハエルか?それとも1番最初に死んだ最強の魔導師ブレッド?」
ラストがそう言うとスロウスは目を細めながら、
「そいつらは当たり前!泥の奴とかも居たじゃん!あとやっぱり····日本の魔導師!じぃ···エンヴィーが言うにはリーダーを瀕死に追いやったって」
「名前なんだっけ?大和魂?」
「それは名前じゃないよ、確か竜介?光魔法を使うらしいよ」
ラストとスロウスの会話を聞いたプライドはニヤリと笑って、
「知らない魔導師だな····他はどうだった?」
「んーーあッ!見てはいないけどラトニーの足を奪った少女!確か金髪で名前がアリス?」
「ん?アリスって前拐った子じゃない?」
「忘れたよ、そんな子」
スロウスがそう言うとプライドの顔に付いていた手がズレてしまう。
そして目に指が当たる。
「来週から学園···」
「いいな〜プライドもスロウスも学園行けて」
「学園にいい思い出は無いが、今回は楽しめそうだ」
「今回?」
ラストは不思議そうにプライドを見る。
そしてゲーム内で死んでしまう。




