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愛を知らない神様  作者: ビター
魔道士大会編
25/113

絶体絶命

 

  「俺も1つ聞いていいか?」


  プライドは突然聞いてきた。

  さっきまで黙って紅茶を飲んでいたのに、なんの前触れも無く聞いてきた。


  「いいよ」

  「今は白の神と呼ばれる英雄だが3年前までは黒の悪魔と呼ばれてた厄介者、そんなお前は今何を目的にして生きてる?お前はアマノの為にしか生きれない奴だと聞いている、だがアマノは死んだ」

  「よく知ってりね。聞いたと言うより近くで見ていた者が言う言い方だけど····まぁいいや、それに関してはただ1つだけ」

 

  プライドは目を閉じて顔に付けていた手を外し何とも言えない表情で、


  「ただ1つ?」

  「僕が生きる事でアマノの存在は残る、そんな気がするから」

  「同じだな」

  「何が同じなの?」


  妙な空間になってきた。

  プライドは睨んでいるような微笑んでいるような表情で、


  「全てだよ」

  「全て?」

  「···もう一杯付き合え」

 

  プライドはそれ以上自分から話さなかった。

  だが最初に会った時より嬉しそうに見えた。

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

  「スロウス、お前はこれ付けてろ」

 

  観客席に多く居た魔導師の子供達はユグドラシル内のSランク魔導師や協会の者により避難させられていた。

  ラストとスロウスはその子供を追って空気の足場を造り空中から移動していた。

  スロウスはラストから貰った仮面を顔につけ顔を見えないようにする。


  「この距離ならいける」


  スロウスは子供の近くまで行くと上空から毒の雨を弾丸のように降らせる。


  「岩魔法!」


  だが子供達を避難させていた魔導師の1人が岩を大きな傘のようにして毒から身を守る。


  「早く行け!こいつらは任せろ!」


  その隙に子供達は地下のような場所に向かって走る。

 

  「あーあ〜、相性悪いな」

  「どうしたら良いかな?」

  「子供はいつでも殺れる、護衛の魔導師全員殺ろう!」


  ラストがそう言うと空気の足場を階段のようにして地に下がる。

  ラストとスロウスの目の前に居る魔導師は4人。


  「確か全員Sランク?けど上位勢じゃないね」

  「油断しちゃダメ、一気に蹴りつけよ」


  ラストとスロウスはそう言って魔導師達に立ち向かって行く。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  「はぁはぁ」


  ミハエル先生達が居た場所ではラース、グリード、エンヴィーによって半数殺られていた。


  「グリード、後何分使える?」

  「後5分です、数は5個程取れました」


  それに比べグリードやエンヴィーは無傷だった。


  「あのグリードとか言う奴、爆破した者の魔法を一定時間使えるらしいな、それにエンヴィーはただただ強い、ラースは言うまでも無いな」


  魔導師の1人がそう言うとラースが手を突き出し、


  「一気にやるぞ」


  だがラースは地に引きずり込まれてしまう。

  まるで泥の中に埋まったように。


  「リーダー!」

  「王!」


  ラースが地に引きずり込まれるとグリードとエンヴィーに隙ができる。

  それを見逃さなかった魔導師達は鉄や鎖を使い2人を拘束する。


  「は!早い!」

  「無神論者のガキ共····王をどこに!!」


  鉄を放ったのは大会に参加していた慧能、鎖を放ったのはミハエル先生だ。

  グリードは鉄で、エンヴィーは鎖で拘束されている。


  「ラースは?どこに?」

  「泥···ブルーハーンの仕業か!」


  ラースを地に引きずり込んだのはアーサーと大会で戦った泥魔法のブルーハーンだ。

  だが先に地から出てきたのはラースだった。

  地を粉々にして吹き飛ばしながら地から出てきてそのまま中に浮き始めた。

  同時にブルーハーンも吹き飛ばされながら地から出てきた。


  「大丈夫か?」

  「だ、大丈夫だが···あれは、な、何だ?」


  ブルーハーンは地に浮き自由に地を歩くように移動するラースを見て震えている。


  「どういう事だ?奴の魔法は引き寄せたり吹き飛ばしたりするだけじゃないのか!?」

 

  魔導師達はラースを見て同様する。

  まるで神を見たかのように。


  「グリードとエンヴィーが捕まり、敵は後7人。あの時よりはまだ楽だ」


  ラースはそう言って1人の魔導師を手元に引き寄せようとするが周りの魔導師がさせまいと引き寄せられそうな魔導師の体を引っ張る。


  「なんて力だ!」

  「これ以上は無意味、俺に任せろ」


  ミハエル先生がそう言うと周りは手を離し魔導師は地に引き寄せられる。

  だが魔導師の体を必死に掴んでいるミハエル先生も上空に引き寄せられる。

  ミハエル先生はラースに向けて鎖を投げるがラースの体を避けるように鎖が弾かれる。


  「ガァ!」


  そして引き寄せられた魔導師は短剣で刺され地に落ちる。

  ミハエル先生は悔しそうにしながらもラースに拳を振るうが吹き飛ばされる。


  「ミハエル!」


  下に居た魔導師がミハエル先生をキャッチする。


  「今、奴を倒そうとするのは無意味だ。奴には魔法も攻撃も当たらない、あれは同じSランクの領域じゃない」


  ミハエル先生はそう言いながらゆっくりと立ち上がる。


  「さすが王」

 

  エンヴィーはそう言って鎖を引きちぎる。

  明らかに人間の力ではない。


  「馬鹿な!」

  「いつでも解けたんだよ、ガキ」

 

  エンヴィーはそう言って1歩下がる。


  「わっ、私は!?私を助けて下さい!」

  「捕まったお前が悪い、王に迷惑かけるな」

  「そんなー!」


  だがグリードは鉄魔法で拘束されたままだ。

 

  「絶体絶命だな」

  「最後までやりきるぞ、我々が戦わなかったらこの島の子供達は死んでしまう」


  魔導師達はラースやエンヴィーに立ち向かう。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  「可哀想な子、神様、いや···プライド様、この子が生まれ変わったら魔導師になりませんように」


  ラトニーは治療室のベットで眠っている傷だらけのアーサーを見ながら悲しそうにする。

  そして持っていたナイフをアーサーの胸に刺そうとする。


  「植物魔法!フィトーネ!」


  だが樹木のようなものがラトニーの体を縛りナイフを吹き飛ばす。

  ラトニーがふとドアの方を見ると金髪ロングの少女が居た。


  「貴方は?」

  「アリス、その人の友達よ」


  少女はアリスだった。

  アリスは警戒しながらラトニーに近づく。


  「アーサーは可哀想なんかじゃないわ」

  「同じ女なら言葉じゃなく度胸で証明しなさい」


  ラトニーは樹木に触れながら両手から転移空間を出す。

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