とある科学者の末路
アーサーはパソコンを開き七つの大罪について調べてる。
「何だこれ?七つの希望?魔導師が居ない元の世界を目指して行動する7人の希望····なるほどな」
ネットでは七つの大罪は七つの希望と呼ばれている。
一般の人からしたら魔導師は不要な存在。
反魔道士と身を呈して戦ってくれるのが魔導師、だが反魔道士も魔導師の類。
それに妖に関しても妖により死んだとしても人々からしたら自然死、魔導師や霊媒師が居なければ妖を知ることもなかった。
「七つの大罪は一般に危害を加えない、それに一般に危害を加える反魔道士も殺している。同じ人間なのに魔法が使えるだけでここまで嫌われるとは····所詮これが人間の本質」
そしてネットには七つの大罪募金と言うサイトがある。
七つの大罪への募金、そのまんまだ。
「この金があるから奴らは働かないで行動できる···そうだ!この金の行き先を調べてやる!」
そして土曜日が来た。
この日はアーサーがシェン先生とユグドラシルの外に行く約束をしていた日。
島の者にバレないように朝4時に出発の準備をした。
2人は車で出口まで向かう。
「この島も広いからなー、あと2時間はかかる」
シェン先生がそう言ってから2時間が経った。
ユグドラシルの入口であり出口である大きな門が見えて来た。
「ここからは荷物検査される、どうする?」
「大丈夫です」
車は門の前で止められ荷物検査される。
「学園の教師ですね?証明書見せて下さい」
シェン先生の車は隅々まで調べられるがアーサーは見つからなかった。
それは車の上空に雲を創り雲の上に乗っていたからだ。
「よくバレなかったね?」
「遠近法で空にある雲と見分けをつかなくしました」
そして車で島の外に向かう。
海が見えてきたその時、車の前に1人の男が現れた。
シェン先生は車から降りて、
「どうしました?ミハエルさん」
車の前に現れた男はミハエルだった。
ミハエルはシェン先生を無視して車の中を見渡す。
だがシェン先生は車を見渡すミハエルに拳銃を発砲する。
音が小さい、拳銃にはサプレッサーが付いていた。
ミハエルは頭から血を流して倒れ込む。
「先生?な、何やってんの····」
「アーサー、外に出たいなら今のは秘密だ」
アーサーは動揺するが深呼吸をしてコクリと頷く。
シェン先生はニコッと笑って車に乗る。
2人は微妙な空気の中、車で海岸まで向かう。
その道中に車の上から何か物音がした。
シェン先生は気になって車を止めて車から降りる。
「俺の魔力属性、知ってるよな?」
車の上には銃弾を食らったはずのミハエルが居た。
頭の傷は無くなっている。
「はい、再生魔法。さすが不死身のミハエル」
シェン先生はすぐにミハエルに拳銃を発砲して車に乗り、ミハエルを車の上に乗っけたまま走り出す。
「先生!ミハエルをどうにかしないと!」
「彼の魔法は物を再生させる···大した事は出来ない、それより早く用意しといた船に向かうべき」
だがミハエルは車の窓を蹴り飛ばし車に入ってシェン先生をぶん殴る。
「先生!」
「私は魔導師ではない····だが魔導師になれた」
シェン先生はそう言ってミハエルの顔を触り手から火を放つ。
ミハエルの皮膚はやけるがすぐに皮膚が再生する。
「魔法!?なぜ?」
「アーサー今のうちに海岸に用意した船に向かって!」
アーサーはシェン先生の言う通り、車を降りて海岸に向かう。
「勝った!」
「勝った?」
シェン先生はミハエルを蹴り車から脱出する。
ミハエルも受け身を取り、車の外に出る。
「アーサーは我々の者!ミハエル···君の体も調べたいが···再生の魔導師は調べさせてくれないだろ?」
「もしや···シェン先生、貴方科学者か?」
「そうさ。それより君も感がいいね?なぜ島の外に生徒が出るって分かった?」
「無意味、知っても無意味だ」
ミハエルは隠していた小刀を取り出してシェン先生に近づく。
「おっと!動くと痛いよ?」
シェン先生も拳銃を構える。
だがミハエルは気にせずに小刀を振るう。
銃弾を食らってもすぐに再生する為、致命傷にはならなかった。
シェン先生は手首を斬られて拳銃を落とす。
ミハエルは動きが止まるシェン先生にもう一撃入れようとするが体が動かなくなる。
「な?」
「ほぉぉ、これ、麻酔銃」
麻酔によりミハエルは眠ってしまう。
シェン先生は手首の傷に布を巻き、車に乗ってアーサーを追いかける。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アーサーは海岸に着き船を見つけた。
だが船の上には七つの大罪が居た。
岩に隠れ置かれた状況を整理する。
(奴らが居る理由が分からない、だが都合いい。向こうから来てくれるとは···だがさすがに7人を殺るのは難しい)
そして勇気を振りぼり深呼吸をして岩の影から出ようとする。
だが気付いた時には目の前に七つの大罪の1人、プライドが居て口を抑えられる。
「俺達7人に勝てる秘策があるのか?無いだろ?」
プライドはそう言って手を離しニヤリと笑う。
アーサーは敢えて攻撃をせずプライドと話をする。
「何の真似だ?」
「魔導師の真似ごと」
「違う、なぜ俺を生かすような真似をしている?俺を殺さないのか?」
「質問には答えない、だけど見逃してやる」
「俺が引くとでも?」
「今死ぬか、逃げるか選べ」
アーサーは困った顔をして座り込む。
しばらく考え込むと悔しそうにしながら、
「逃げる」
「偉い。お前の体を透明にした、5分間は透明だから今のうちに逃げろ」
「気に入らない神だ···今回は礼を言う」
アーサーはそう言ってユグドラシルに向かって走る。
プライドはそんなアーサーが行くのを確認して船に戻る。
「はは!やった!プライドに発信機を付けてやった!」
アーサーは笑いながら走る。
その時、走るアーサーと車で海岸に向かうシェン先生がすれ違った。
だがシェン先生は透明のアーサーに気づけなかった。
「良し、着いた」
シェン先生は海岸に着き船の中に入る。
「おかしい···妙に静かだ、それにアーサーはどこだ?」
船の中は静まり返っており、見張りや迎えの者が居ない。
そして船の中にあるくつろぎの空間のような場所から人の声がしたので急いでその場所に向かった。
階段を上がり恐る恐るその場所を見る。
「来たか、ユグドラシルへ侵入した科学者のスパイ」
シェン先生は一瞬で七つの大罪の者にバレた。
そしてラースがシェン先生に近づき、
「今からユグドラシルの情報を全て吐いてもらう」
そしてシェン先生は悟った。
(今の私は魔法が使える、つまり魔導師。もし魔導師だってバレたら確実に殺される、だが!彼らは必要以上に命を奪う奴らでは無い)
冷静になりながらも次々とラースにユグドラシルの事を教えた。
「分かった、じゃあ死ね」
「待て待て!私は魔導師じゃない!」
シェン先生は慌てて言う。
するとラースは殺す動作を止めて、
「科学者の中には魔導師になった者が存在するらしい···お前の仲間がお前も魔導師だと言った」
「で、デタラメだ!私はただの科学者!」
「どっちにせよ」
「なーんだ、結局は殺すのかい?」
シェン先生は慌てた演技を止めてニヤリと笑う。
「悪の科学者だからな」
「ハッハッハ!そうだよ!私は魔導師の臓器と血液を取り込んだ事により魔導師になった成功作!しかも···複数の魔法が使える!」
「お互い嘘つきだな。俺はお前が魔導師じゃなければ生かすつもりだった」
「まさか、仲間が言ったと言うのは···」
「ああ、嘘だな」
シェン先生はラースの言葉を聞き笑いながら船の壁を火をまとった拳で突き破る。
そしてニヤニヤと笑う。
「さすがに君達7人には勝てない···だが逃げるのは容易い」
シェン先生は中に飛び車と同じくらいのスピードで飛んで逃げる。
「飛行魔法!私は複数使えるがお前ら魔導師は1つ!私は究極の人間!神になる!」
だが徐々にスピードが遅くなり、ついには体が止まってしまう。
そして徐々にスピードが上がり船の方へ引き寄せられる。
「な!体が動かない!」
「危なく射程距離外に行く所だった」
そしてシェン先生はラースの手元まで来て、ラースが持っていたナイフで体を貫かれる。
「がァ!な、さ、最後に教えてくれ···そ、の魔法、属性は?」
「悪人でも同じ人間····教えてやる、俺の魔法は···」
ラースがシェン先生の耳元で囁くとシェン先生は満足した顔で死んだ。




